カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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関東甲信地方南部で大雪 河口湖で28㎝ 東京や横浜でも積雪

2012-02-29 23:56:11 | インポート

①2月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月29日9時の館野(茨城県つくば市)エマグラム図 オハイオ州立大学HPより引用

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③2月29日9時のウインドプロファイラー風向風速分布図(全国) 気象庁HPより引用

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2月29日は、関東地方~甲信越地方南部~静岡県東部では、地表付近に昨日までの乾いた寒気が残っていた所へ、低気圧が本州南海上を東進したため、内陸部を中心に大雪となりました。

29日22時までの降雪量は

河口湖で 28cm

奥日光で 21cm

前橋で 17cm

宇都宮で 16cm

秩父で 12cm

熊谷で 10cm

甲府で 7cm

横浜と水戸で 5cm

東京都心で 2cm

などとなっています。

また、静岡県東部の山間部でも、降雪量が20cm以上となった箇所がある様子で、29日朝方、静岡県東部には、一時、大雪警報も発表されました。

引用図②より、29日9時には、茨城県つくば市館野上空1500mの気温は-3・3℃で、関東平野各地に降雪となる目安である、-3℃以下となっていますものの、引用図③より、29日9時現在、関東地方付近の上空1000m付近では、内陸部で風向は疎らで風速は10m未満とよわめなのに対し、勝浦や静岡と言った太平洋沿岸部の地点では、おおむね風向は東北東~東より風で、風速が10m以上と強めになっています。

以上のことより、関東地方周辺では、内陸部では冷気が滞留している状態(乾いた気流へ降水があったため、水蒸気蒸発による気温低下が大きな要因の一つ)ですが、雪を降らせる原動力の一つとなる北日本~千島近海の冷気の入り込みはさほどでも無く、関東南部沿岸部では、海上からの相対的に気温の高い気流も入り込んでいた思われ、丁度、千葉県周辺には、局地的な前線が発生していたと推測されます。

このため、千葉県の各地では、銚子や勝浦、館山では、雨やみぞれで終始し、千葉でも、降雪となったものの、積雪を観測するまでには及びませんでした。

29日、積雪となった地域では、これから、3月1日朝方にかけては路面凍結には、どうか、充分に注意をしてください!!


日本海側の各地で大雪 京都でも積雪5cm

2012-02-19 00:18:27 | インポート

①2月18日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月18日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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18日は、本州の上空にこの冬最強ともいえる強い寒気が流れこんできました。

上空5500m付近で-36℃(平野部でも大雪となる目安)の等温線が、北陸地方付近まで南下してきているため、東北地方から山陰地方、九州地方北部まで所処で大雪となりました。

18日22時までの24時間降雪量は

長野県 野沢温泉 で 55㎝
長野県 飯山 で 54㎝ 
長野県 小谷 で 50  ㎝
新潟県 関山 で 50 ㎝

を観測しました。

引用図②より、本州上空の寒気があまりに強いため、寒気吹出しに伴う筋状雲が、一部、伊勢湾周辺や、近畿地方、四国地方まで延びており、このため、京都市内でも18日は、午前中、断続的に雪が降り続き、5cmもの雪が降り積もりました。

東海道新幹線や名神購読道路など、この降雪で混乱した様子です。

明日19日朝は、各地で冷え込みが厳しくなりそうです。路面凍結や水道管凍結等にはどうがご用心ください!


再び強い寒気本州上空へ 関東でも降雪 これも寒気流入の露払い

2012-02-17 23:50:32 | インポート

①2月17日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月17日18時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③2月17日18時の関東地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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平成24年になって、本州付近上空には繰り返し強い寒気が流れ込んできて、日本海側の各地では、積雪量が軒並み平年の2~3倍に達していますが、またまた、今夜から本州上空には、強い寒気が流れ込んできました。

本ブログで、強い寒気の先端箇所では、550hpaの正渦度が移流してくる場であり、それはまた、上空3000m付近の上昇流域となっていて、降水域が発生・発達しやすい場と記事にしていますが、今回も多聞に漏れず、17日午後からは、550hpaの正渦度の移流が一番顕著な箇所(上空の気圧の谷)が日本海から本州を伺いつつあります。

関東地方南部では、関東北部でおおむね北~北東風、伊豆諸島ではおおむね西より風と、風向の明瞭なコントラスト(シアーライン)が発生しており、とりわけ降水域が発達しやすい場となったことで、17日夕方より、あちこちで雪や雨が降り出しています。

前記、500hpaの正渦度の本州上空の通過と共に、本州上空には、強い寒気が流れ込んできますので、関東地方南部中心にでは、広範囲で雪となり、あす18日朝にかけて積雪となる箇所もありそうですね。

17日23時現在、神奈川県相模原と千葉県北西部には、大雪注意報や着雪注意報が出されています。

17日23時30分の航空実況を見ると、羽田空港では、気温2℃で、弱いみぞれ。 成田空港では気温0℃で、弱いしゅう雪 となっております。

明日朝方の路面凍結が心配ですね。


関東以西の太平洋側で大雨 関東南部では沿岸前線も

2012-02-07 17:01:57 | インポート

①2月7日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月7日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③2月7日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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6日から7日にかけて、低気圧が本州南岸を東進して、前線が本州南岸に掛かりました。

これら低気圧と前線に向かって、南海上から暖湿流が大量に流れ込んだため、関東以西の本州南岸では、所処で、この時期として珍しく大雨となりました。

24時間降水量は 静岡県天城山で263㎜(11時50分まで) 同じく静岡県の御殿場で211㎜(12時20分まで)を観測しましたし、神奈川県や山梨県、長野県、静岡県の一部では100㎜を超えました。

引用図③より、本州に向かって、南から暖湿流が強風となって吹き付けている様子が解りますが、関東平野南部では、この地域特有の気象現象が発生しました。

それは、本ブログでも再三紹介した 沿岸前線 というものです。

④2月7日9時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤2月7日9時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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引用図④⑤より、7日9時現在、神奈川県内や千葉県内の沿岸部、それに伊豆諸島では南~南西風がおおむね風速10m以上と強まっていますが、関東地方の内陸部では、風向は比較的弱めで、丁度東京23区南部付近~千葉県北西部にかけて風向のコントラストが明瞭な部分(シアーライン)が見られます。

当該シアーラインを境にして、南側と北側とでは、気温差は10℃以上もあり、たとえば、千葉県北西部の船橋では気温が5・5℃なのに対し、船橋より南西におよそ20kmしか離れていない千葉では、気温が17・4℃と、気温差にして20℃近くの差があるほどです。

この沿岸前線というもの、関東平野(南部や東部)だけでなく、東海地方太平洋沿岸、紀伊水道に面した和歌山県~徳島県沿岸、それに、高知県沿岸や宮崎県沿岸などで発生しやすくなります。

沿岸前線の発生する条件として 

ⅰ:内陸部に冷気が残っていた所へ、西から暖気移流が顕著となる場合 

さらに関東平野では、

ⅱ:比較的勢力の強い高気圧が東海上へ去り、関東地方東沖で等圧線の走向がほぼ南北から南東~北西方向に走る場合 

ⅲ:日本海で低気圧が発達するなどして、本州南岸で南~南西風が強まりそうな気象条件時で、朝方、関東平野内陸部には、南~南西風が吹き込んでいない場合(夜間から朝方の気温低下による冷気が関東平野内陸部には対流してしまうため)

です。

さらに、この 沿岸前線 は、南海上からの暖気移流の流れ込みの強さ如何で、内陸部に移動してきます。

関東平野の場合、◆千葉県勝浦の風速が南東でおよそ10m以上となると、房総半島中央部へ、沿岸前線が差し掛かってきて、

◆千葉県南部や神奈川県沿岸部で南西風で風速がおおむね10m以上となる場合、神奈川県中央部~東京23区から多摩地区東部~埼玉・千葉県境付近まで入り込んできます。が、これより関東平野内陸部に入ることはありません。(筆者調べ)

この沿岸前線にそって、降水域が発達しやすく、竜巻や突風等の激しい気象現象を引き起こすことが多く、当該沿岸前線が一定箇所へ停滞気味となる場合、大雨災害につながりますから、油断大敵です!

さらに、この沿岸前線発生箇所に隣接している羽田空港や成田空港に離着陸(特に着陸時)する航空機にとっては、当該沿岸前線面のあたる地域(高度およそ700m~800m以下)周辺では、低層乱気流 となっていますから、厄介千万ですよね!

7日の午前中、羽田や成田を離着陸する航空機は、さぞ、揺れたことでしょうね。


気圧の谷本州付近へ接近 南からは暖湿流 

2012-02-05 23:54:10 | インポート

①2月5日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月5日21時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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                                                                        ↓

③2月6日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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                           ↓

④2月7日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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本州付近上空の強い寒気も東海上へ去り、冬型気圧配置は次第に緩みつつあります。

が、今度は本州付近には南海上から暖湿流が流れ込んできそうな気配です。

引用図①②より、5日21時現在、東シナ海には東西に前線が延びて、前線上の九州の南西には低気圧が解析されていますが、当該低気圧や前線の南側に帯状に強い降水域が見られますね。

低気圧や前線の南側(暖気側)に強い降水域が見られるのは、

ⅰ:当該低気圧や前線に向かって南から暖湿流が大量に流れ込んでいること。

ⅱ:当該低気圧は発達する傾向にあること。

ⅲ:前記ⅱの結果、本州付近には暖気がながれこんでくること。

以上3点が言えることです。

北海道~山陰まで、日本海側では、平年より2~3倍もの積雪となっている箇所が多くなっていますが、今後、6日~7日にかけては、これら積雪地帯の広範囲で、暖気移流の影響で、雪ではなく、雨となる箇所も多くなる予想です。

こうなりますと、積雪が多い地域では、屋根からの 落雪 や山間部では なだれ には、ごうかお気をつけてください!!