①10月30日9時の天気図 気象庁HPより引用
10月30日は、北日本を寒冷前線が通過しました。
このため、北海道地方や東北地方では所々で雷を伴なった強い雨が降りましたし、30日9時30分頃、秋田県能代市では竜巻と見られる(と言うより、漏斗上の雲も見られましたし、止まっている車が浮き上がった。と言う証言から考えて、竜巻と断定して良さそうです。)突風が吹き、民家の破損等の被害もありました。
竜巻発生当時の、アメダス能代のデータを見ると、30日午前9時には西南西7mを観測していましたが、30日10時には、風向が変化し、西北西5mとなり、竜巻発生当時の能代市付近には、風向の水平方向の不連続(シアー)があることが推定されますし、引用図にはありませんが、各種実況図より、秋田県付近上空1500m付近では、西より風で風速20m以上と、地表付近から鉛直方向に気流の不連続(これは鉛直シアーとなりますね)が認められます。
続いて、竜巻発生時刻直前空発生時刻までの、③10月30日9時10分、④10月30日9時20分、⑤10月30日9時30分 の東北地方レーダーエコー合成図(ペパーランド気象センターHPより引用)をご覧頂きましょう。
③
④
⑤
③④⑤とも、能代市(男鹿半島の北北東約20km)付近には、ほぼ西南西~東北東方向へ連なるエコー(マルチセルからスーパーセルになりたてでしょう。)が見えますが、当該エコーの外縁部がほぼ小豆型をしてくっきりしており、エコーの中心部から外縁部にわたって、ほぼ一様に強いエコーとなっていますし、9時10分、20分、30分となるにつれて、時系列で当該エコーの強度は増しています。
実は、こう言う特徴を持つエコーと言うもの、典型的に、発達中の積乱雲を示すものなのです。このような発達中の積乱雲が、竜巻やダウンパーストと言った局地的な突風をもたらすことが多いものです。このような状況下で、今回の竜巻は発生したわけです。
ちなみに、エコー自体、外縁部の形がぎざぎざ上でくっきりしなくなると、当該エコーは、衰弱途上に入った積乱雲を示すものです。
このように、レーダーエコー合成図より、エコーの強度を読み取ることも重要ですが、エコー強度の時系列変化や、エコーの形状より、積乱雲が発達中が衰弱しつつあるか も読み取ることが重要と思いますね。