カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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これも台風の置き土産か? 東北~関東~東海地方太平洋側で大雨の恐れ

2010-10-31 23:49:18 | インポート

①10月31日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月31日21時の天気図 気象庁HPより引用

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③10月31日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④10月31日21時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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台風14号が関東の東海上に去って温帯低気圧に変わり、本州付近では台風一過の青空と行きたいところでしたが、そうは行かず。大陸から500hpaの谷が日本付近へ東進してきており、引用図①②より、31日夕方、四国沖に低気圧が発生し、31日21時現在、紀伊半島沖を北東へ進んでいます。

引用図③より、この低気圧に向かって、南から暖湿流が大量に流れ込んでおり(水蒸気雲画像では、白輝域が南海上から ハの字 型になって、紀伊半島沖の低気圧のすぐ前面の流れ込んでいますよね。白輝域のコントラストは低気圧に近ずくにつれて、一層鮮やかになっています。)、引用図④より、31日21時現在、紀伊半島付近で非常に激しい降水が観測されております。

引用図③より、この南海上からの暖湿流の通路を見てみますと、南海上から、本州のはるか東海上にある台風14号から変わった低気圧に向かって流れ込んでいる様子が判りますね。

つまり、この暖湿流は、台風14号の縁を廻るようにして本州付近へ流れ込んできた暖湿流の名残のものであり、言ってみれば、台風14号の ありがたくない 置き土産 と言えるでしょう。

台風が本州付近を通過後、500hpaの谷が日本付近へ進んできる場合(本州からみて西谷になる場合)、通過した台風の縁を廻るようにして流れ込んだ暖湿流が南海上に残っていることが多く、500hpaの谷の東進に伴って、本州付近(特に四国沖~東海道沖)に低気圧が発生する場合、当該低気圧が前記した南海上に残っている暖湿流を引っ張り寄せて、雨雲を発達させることが多いものですから、油断なりません!

⑤11月1日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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引用図①で、紀伊半島沖にある低気圧は、北東に進んで、引用図⑤より、11月1日9時には、関東南岸へ達する予想です。これに伴って、当該低気圧のすぐ前面にある非常に発達した雨雲も北東に進んでくる予想です。

これから11月1日にかけて、東北南部~関東~東海の太平洋側では、大雨にご用心!特に、局地的に発生する 件の 沿岸前線 発生箇所を中心に雨量がかなりまとまる恐れがあります!


台風14号 夜 関東に再接近 その後 台風一過とはならず・・・

2010-10-30 13:40:19 | インポート

①10月30日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月30日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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季節外れに、本州を伺う台風14号ですが、30日9時現在、紀伊半島の南東沖を北東へ進んでいます。

台風は、30日21時頃、千葉県房総半島にかなり接近する見込みです。

引用図②より、台風の北側~北東側に、水蒸気雲画像上、ひときわ白く輝く帯状雲(帯状に多湿な区域。上昇流がひときわ活発な区域を示すもので、非常に発達した雨雲を表現しています。)があり、当該、台風を取り巻く非常に発達した雨雲は、台風の北東進と共に、30日午後から、関東地方や東海地方へとかかって来ますから、これらの地域を中心に、激しい雨となりそうです。

特に、関東平野の各地では、30日12時現在、内陸部では、気温がおおむね13℃以下なのに対し、千葉県の太平洋側では、気温が軒並み15℃以上、勝浦では17・7℃、銚子では17・5℃となっており、関東平野内陸部に滞留したりする冷気と、関東東海上からの気流とが、千葉県太平洋沿岸で局地的な前線(沿岸前線)を発生させており、今後、当該沿岸前線周辺を中心に、雨量が相当多くなると思われます。

また、引用図①より、台風の北側~北東側の東北地方南部~関東地方、東海地方や近畿地方では広範囲に等圧線の幅が混んでおり、、台風の接近と共に、当該等圧線の幅もさらに混んできますから、関東地方は勿論、東北地方太平洋側や東海地方など、台風の中心から離れていても、強風が吹きまくりますから、油断なりません。!

この台風14号が、関東の東海上へ去った後ですが、通常、台風の通過後は、台風一過、すがすがしい青空が広がる と言うことが多いものですが、今回は、そうは行きませんね。

引用図②より、30日9時現在、水蒸気雲画像上に、中国大陸南部と中部に、500hpa(上空5500m付近)の谷があり、当該谷の前面の、ァ:日本海中部~朝鮮半島~東シナ海 と ィ:九州付近~東シナ海に、おおむね東北東から西南西方向へと帯状に分布する湿潤域が見られます。

これら、ァ、ィの湿潤域は、言うまでも無く、500hpaの谷の前面の、上空3000m付近の上昇流域に対応するもので、当該、上昇流域は、東進中で、今後、日本海や本州の太平洋側あたりで低気圧を発生させる可能性が高いですね。

よって、台風14号が東海上へ遠ざかる31日は、各地とも台風一過の青空は期待できません。

さらに、台風が東海上へ去った後、500hpaの谷が本州付近の西側にあり、当該谷が東進してくる場合、当該谷の中層以下では、以外に、南海上からの暖湿流を引き寄せやすく、強い雨が降ることも多いですから、注意が必要ですね!


台風14号は沖縄近海へ 台風の暴風域強風域は台風の渦巻きだけを反映していません

2010-10-29 10:12:54 | インポート

①10月29日8時の台風14号進路予想図 気象庁HPより引用

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②10月29日6時の天気図 気象庁HPより引用

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強い勢力を示す台風14号は、29日朝には、沖縄本島の東海上にあって、北東へ進んでいます。

台風情報で、よく、台風自体の暴風域(風速25m以上) 強風域(風速15m以上) が図示され、「〇〇地方は暴風域に入りました。××地域は暴風域から抜けました。」と言うコメントがされますが、この、台風に伴う 暴風域や強風域というもの、台風自体の反時計回りの渦巻きの気流のみを反映しているものではありません。

引用図①を見てみると、29日8時現在の台風14号の暴風域や強風域は、円形として表示されていますが、台風自体の中心位置が、暴風域、強風域の中心にはなっていませんね。

ちなみに、29日8時現在 台風14号の暴風域は台風の中心より北西側170㎞ 南東側130㎞ 強風域は台風の中心より北西側440㎞ 南東側370㎞ となっています。

台風と言うもの、いかに発達しようが衰弱しようが、中心に向かって反時計回りに気流が吹き込む渦巻きであり、中心から同心円状に渦巻きは回転します。ですから、本来、台風の暴風域や強風域は、台風の中心から同心円上に分布するはずですね。

では、なんで、前記のような、台風の暴風域や強風域が台風の中心から同心円にならないのか?これは、気象庁では、気象衛星からの台風自体の渦巻きの回転速度だけでなく、地上の観測地点の実況値等も考慮されて、台風の暴風域や強風域を図示しているのです。

したがって、台風の暴風域や強風域というもの、台風の移動に伴って、台風の発達・衰弱に伴うことなく、その範囲が広がったり狭まったりしますし、地形的特性を考慮されているものではありません。語弊を承知で言うなら、必ずしも正確な予想値ではありません。

一般的に台風の周辺で等圧線が混んでいる方向に、暴風域や強風域は広がりますし、移動速度の速い台風など、進行方向右側に暴風域や強風域は広がる傾向にあります。

さらに、以前、本ブログ内で紹介しましたが、地上で観測される台風の風速ですが、台風の渦巻きに伴う部分+台風自体に移動する速度となります。ですから、移動速度が速い台風の進行方向の右側にあたる地域では、台風情報で発表される中心付近の最大風速、暴風域や強風域の位置で推測される風速よりも、風速はだいぶ強まりますから、油断なりません!


シベリアには強い寒気 日本列島へ 本州付近には帯状に3つの雲の多発箇所

2010-10-25 13:30:42 | インポート

①10月25日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月25日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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つい、先月の彼岸の入りくらいまで、日本列島では各地で猛暑が続いていましたが、シベリアには、上空に強い寒気が顔をのぞかせて、明日26日以降、日本付近では冬型気圧配置が強まって、強い寒気が北から流れ込んできそうです。

ただ、寒気が流れ込んで来る前のセレモニーと言えるべき現象が、日本付近に現れています。

それは、中層以下で湿った気流が帯状に分布した区域(雲がまとまりやすい地域と言えます。)が幾重にも、日本付近に現れることです。

引用図①と③を見比べてみましょう。

引用図③より、25日9時現在、水蒸気雲画像上には、 関東南東沖から本州南海上にかけて(a)、三陸沖から中部地方、西日本各地を通過するもの(b)、北海道付近から日本海北部を通り、朝鮮半島から中国大陸へ延びるもの(c )と言った、3つの帯状湿潤域が見られます。

ちなみに、(a)は、南海上の暖湿流が収束して形成されたもの (b)は、三陸沖の低気圧から本州上に延びる前線によるもの (c )は北海道の北の低気圧から日本海北西部へ延びる寒冷前線に伴うもの となりますが、このような、水蒸気画像上で、湿った気流が帯状に分布した区域が幾重にも、日本付近に現れることです現象は、北の寒気と南の暖気との勢力差が拮抗している証なのです。

北からの寒気が日本付近へ流れ込んでくるに従って、前記した、、(a)(b)(c )は東~南東方向へ移動し、日本列島上を通過します。この際に、地表付近で局地的に気流同士の収束等が発生すると、その地域ではみるみるうちに雲が分布して、雨雲としてまとまり、悪天をもたらすようになりますね。

さらに、前記した、水蒸気雲画像上での帯状湿潤沖の画像の白輝域のコントラストにも注目!当該、白輝域がより鮮やかになる部分こそ、雨雲がより発生・発達しやすい区域となります。


奄美大島で記録的豪雨 原因のひとつに台風13号も!

2010-10-20 16:54:00 | インポート

①10月20日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月20日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③10月20日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④10月20日12時の奄美大島付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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10月20日は、本州の南海上に前線が停滞して、この前線の南側の南西諸島から九州の南海上には、暖湿流が流れ込んで大気が不安定となったため、南西諸島や奄美諸島では、非常に激しい雨が降り続いています。

特に奄美大島では、20日昼前から雨雲が猛烈に発達して停滞気味となったため、所によっては1時間に120㎜に相当するような豪雨となり、名瀬では、20日15時までの24時間に402㎜と、記録的な大雨となりました。他、南西諸島の各地でも、軒並み、24時間の降水量が150㎜を超えています。

この、奄美大島の記録的大雨の原因は何か?と言えば、引用図②の輝白域の分布形状や引用図③で、上空1000mと2000mでの風向が、石垣島で西南西風~南西風、大東島では南西風~南南西風に対し、名瀬では南東風~東より風で風速10m以上と強めになっていることから見て、本州の南海上に停滞する前線の南側に流れ込む暖湿流同士が、奄美大島付近で局地的に収束してとりわけ強い降水域を形成したため と思われます。(引用図④より、奄美大島付近の発達した降水域の形状は、丁度、人 の字型をしており、当該中央部に南北に非常に発達した降水域が見られますよね。)

これらの暖湿流は、まず 

ァ:フイリピンの西海上に停滞気味である台風13号の外縁を廻るようにして流れ込んできたもの

・・・・・石垣島で西南西風~南西風

ィ:本州のはるか南海上の夏の太平洋高気圧の外縁を廻るようにして流れ込んできたもの

・・・・・名瀬で南東風~東より風 

とになって流れ込んできているものであり、当該暖湿流同士が、奄美大島付近で収束したと考えられるわけです。

暖湿流は、前記、ァ、ィの状態になって流れ込む状態はすぐには変化しそうに無く、暖湿流の収束箇所も暫くは奄美大島付近へ停滞しそうです。

Ⅰ:暖湿流同士の収束+Ⅱ:暖湿流収束箇所が長時間停滞する の状態になると、とりわけ局地的豪雨災害は発生しやすくなります。奄美大島の皆さん!今後も、充分に警戒してください!!