カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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高気圧の谷間 実は厄介な部分!

2012-07-20 14:31:45 | インポート

①7月20日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月20日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工。※引用図内の 高 低の表示は、高圧部、低圧部を表現しているもので、地上天気図上の高気圧、低気圧の位置を厳密日本気象予報士会HPより引用表現しているものではありませんので、あらかじめご承知置きください!

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7月20日、本州付近では太平洋高気圧の勢力は後退して、東日本から西日本にかけて、オホーツク海から張り出す高気圧と、太平洋高気圧との谷間に入り込んでいます。

実は、高気圧の谷間と言うもの、暖湿流が入りやすく、雨雲がはっせいしやすいばしょでもあります。

特に、引用図①②のように、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧との谷間では、当該高気圧同士素の外縁部で互いに暖湿流を大量に流入させやすく、雨雲が一層発達しやすいものです。

引用図②で、太平洋高気圧の外縁部とオホーツク海高気圧の外縁部とから流れる暖湿流が流れ込んでいる区域を赤丸で示しておりますが、当該地域では、水蒸気画像上で帯状に白くぼやけており、所々で白く輝く画像域となっています。暖湿流が大量に流れ込んでいる状態を如実に表現しているものですね。

と言うわけで、夏季に、太平洋高気圧が南に後退したり、ましてや、それと同時にオホーツク海方面から高気圧が張り出してくる場合が重なる時などは、地上天気図上に前線が表現されていなくても、当該2つの高気圧の谷間では、暖湿流が大量に流入して、雨雲が発達しやすく、大雨の恐れが高くなります。

③7月20日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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引用図③より、20日9時現在、前記した引用図②内で、赤丸で表示されていた暖湿流が大量に流れ混んでいる地域に対応して、所処で強い雨が降っている様子が解ります。


梅雨末期の豪雨続く 神奈川県西部でも1時間104・5㎜を観測 

2012-07-14 12:16:15 | インポート

①7月14日3時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月14日3時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③7月14日3時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④7月14日3時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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梅雨末期の豪雨が九州地方中心に降り続いています。

大分県や熊本県など、河川の水位が軒並み氾濫危険水位に達して、氾濫してしまっている箇所も続出。熊本件の一部では、降り始めてからの総雨量が700㎜を超えている箇所もあります。

また、昨日夜から今日朝方にかけては、前日と同様に、関東南部や山梨南部、静岡県なども激しい雨に見舞われて、神奈川県西部の丹沢湖では、14日3時10分までの1時間に104・5㎜の猛烈な雨を観測しています。

引用図②③より、関東以西の各地では、上空1000m~3000m付近で西~南西風がおおむね風速10m以上と強まり、この強風域に対応して、水蒸気画像上の白くぼやけた画像域が帯状に分布し、所処で幾つも白く輝く画像域があります。

これは、日本海沿岸部にある梅雨前線に向かって、南海上から暖湿流が大量に流れ込んで、当該梅雨前線周辺で、暖湿流同士が収束して、所処で非常に発達した雨雲を形成している状況を示すものです。

前記した関東以西の各地では、大雨となるポテンシャルが強い状態と言えますが、では、どういう箇所でとりわけ雨雲が発達しやすいでしょうか?

それは、

Ⅰ:500hpaの生渦度が通過する区域 

Ⅱ:地形的特性で、下層(上空およそ2000m以下)での気流が局地的に収束している箇所

以上Ⅰ.Ⅱの条件を兼ね備える区域と言えますね。

特に、前記Ⅱの区域は、暖湿流の流れ込んでくる方向に開いた山の斜面にあたる地域狭隘部になっている区域などですが、さらには、関東平野や大阪平野周辺など、平野が海岸線から内陸部まで比較的入組んでいる区域の沿岸部が該当し、このような区域では夜間、雨雲がしやすい傾向があります。

さらに、雨雲が非常に発達する区域は、局地性が極めて強いのが特徴で、前記した神奈川県丹沢湖では24時間雨量最大でで190・5㎜を観測しているのに対し、直線距離で南へおよそ20㎞しか離れていない、おなじ神奈川県の箱根では24時間雨量最大が76㎜と、およそ2・5倍もの差があるほどです。

こういった特性も、大雨発生時には、不意を着かれて大きな災害に見舞われやすい要因となるものですね。


3日昼前 関東や静岡伊豆などでやや強い地震

2012-07-03 13:27:00 | インポート

引用図は3日11時31分頃発生した地震の震央と各観測地点震度分布図です 気象庁HPより引用・加工

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3日11時31分頃関東地方や静岡県伊豆地方などを中心に、やや強い地震がありました。

震源地は東京湾 ( 北緯35.0度、東経139.8度)で震源の深さは約100km、地震の規模(マグニチュード)は5.4と推定されます。

この地震は、関東平野などが載っている北米プレートの下に沈みこむ、太平洋プレートの内部の深い箇所で発生した地震であると私は考えています。

この手の、太平洋プレートの内部の深い箇所で発生した地震は、比較的短周期の地震波が発生しやすく、ガタガタと小刻みに揺れやすい特性がありますね。

この地震で、千葉県内の君津市 鴨川市 神奈川県内の横浜市中区 南区 横須賀市 小田原市、秦野市 箱根町 さらに、静岡県内の熱海市、東伊豆町で震度4を観測しました。

東海道新幹線では、この地震発生後、東京~新富士間で自動的に送電線停電となり、およそ10分後に運転再開。運行ダイヤが乱れました。


前線や暖湿流による大雨続く こういう時は地形図にも注目!!

2012-07-03 13:02:37 | インポート

①7月3日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月3日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③7月3日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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④7月3日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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7月になって、九州地方では連日のように大雨が降り続いています。

大分県の耶馬溪では、6時45分までの1時間に91㎜もの猛烈な豪雨となりまして、11時40分までの24時間に245㎜もの降水量を観測しました。

ほか、3日朝から昼前にかけて、大分県や福岡県の一部で、広島県広島市内で、1時間に60㎜を超す、傘が全く役に立たずになるような豪雨を観測しています。

引用図①②③を比較すると、地上天気図の前線の位置と、特に強い降水域の位置とは、ぴったりと一致するものではないことが解ります。

前線と言うもの1本の線としてではなく、1本の帯状の雲の集団として取らえるべきであること以前、本部ブログ内の記事で記載させていただきましたが、当該、前線として捉える1本の帯状の雲の集団の中に、降水域が強まる部分が散在すると言うことを私は考えています。

そして、降水域が強まる地域の原因は何か?と強まりやすい箇所は何処が?と言えば、下層での気流の収束であり、気流同士の収束が生じる要因として、下層(上空およそ2000mより下側)でも地形的特性と考えます。

そのような地域は何処でしょうか?

ⅰ:暖湿流が流れに直交する山の斜面に強制上昇したり、山脈の外縁部で収束することがあります。

さらに、

ⅱ:山地の地形的鞍部で収束する場合もあります し

ⅲ:暖湿流同士が陸上と海上の移流摩擦差ににより風向差が生じて収束することもあります。

ⅲ:暖湿流と、内陸部に滞留する相対的に気温の低い気流との間で前線として収束すること もありますね。

ですので、暖湿流流入での大雨が懸念される場合、地形図にて、前記したⅰ、ⅱ、ⅲに該当する地域がある場合は、降水量が多くなりやすいと考えるべきですね。

他にも、水蒸気画像上で、帯状に白くぼやけた区域にも注目! 当該帯状に白くぼやけた区域同士が互いに合流する地域では、特に暖湿流が強まっている地域であり、降水量が多くなりやすいもの。こういった地域と前線とが相見える地域には、前線が ∧ 型になって、新たに低気圧が発生するようになります。引用図④より、3日21時には、関東地方周辺に、前記した、前線が ∧ 型になる地域が差し掛かります。

これから、西日本のみならず、3日午後から夜にかけて東海や関東地方、甲信越地方南部でも、次第雨脚が強まる箇所がありそうです。