カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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北日本中心に強い冬型 冬型気圧配置時は本州付近の中層以下の風向の東西分布に注目!!

2010-11-29 14:00:10 | インポート

①11月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月29日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③11月29日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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11月29日は、北海道の北で低気圧が発達して、北日本中心に強い冬型に気圧配置となっています。

本州付近の上空には寒気も入り込んで、北海道や東北北部では軒並みに本格的な雪となり、札幌でも29日9時までに積雪9cmを観測しています。

29日12時現在、北海道の一部と青森県(下北地域を除く)に、大雪注意報や着雪注意報が出されています。

冬型気圧配置時には、本州付近の等圧線の幅だとか、季節風の強さ、上空の寒気の強弱に注意が行きがちかと思いますが、もうひとつ、本州付近の中層(上空およそ3000m以下)の風向の東西方向の分布状況にも気をつけましょう。

ウインドプロファイラー風向風速分布図等を参考にされて、中層以下の風向が

Ⅰ:北日本や東日本で南西~西より風であるが、西日本の各地で、西~北西風となっている場合(気流の流線が ∪字型となっている)・・・・・本州上空を500hpa(上空5500m付近)の谷が通過中か、これから東日本や北日本を通過する証拠

Ⅱ:北日本や東日本で北西~西より風であるが、西日本の各地で、西~南西風となっている場合(気流の流線が ∩字型となっている)・・・・・西から本州付近に気圧の谷が接近してくる証拠

となります。

Ⅰ、Ⅱより、とにかく、本州付近で中層以下の風向に変化がある場合は天気の変わり目ということになりますが、特にⅠに該当する場合(引用図②がそうですが)、500hpaで新たな寒気の中心が本州付近にやってくる前兆でもあり、前記した500hpa(上空5500m付近)の谷の通過に際して、大気が非常に不安定になりやすく、急な強い降水や、雷、突風、竜巻などを引き起こすことが多いものですから、とりわけ注意が必要ですね。

前記Ⅰに該当する場合、上空を500hpa(上空5500m付近)の谷が通過する直前の上空3000m付近の上昇流が強まる地域では、日本海では、地上天気図上の等圧線に低圧部が発生し、冬型気圧配置に伴う雲や降水域が、筋状ではなく、幾重にも筋が集まっている帯状となるもの、このような地域では、前記した、急な強い降水や、雷、突風、竜巻等の発生する可能性が一層高まりますから、油断大敵です!!


暖湿流が本州付近へ流入 本州南岸では強雨の恐れも!

2010-11-22 11:45:26 | インポート

①11月22日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月22日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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またまた、本州付近に厄介な 暖湿流が流れ込んできました。

引用図①より、22日6時現在、樺太の西に発達した低気圧があり、この低気圧から延びる寒冷前線が日本海へと延びています。一方、千島南東沖には、高気圧があり、その勢力を北海道から関東の南東沖まで広げています。

高気圧が本州の南海上にあることばかりでなく、引用図①のように、発達した低気圧の東~南東側に高気圧がある場合でも、当該高気圧はその勢力が強く、当該高気圧の南~西縁を廻るようにして暖湿流が流れ込んでくるものです。特に、当該高気圧の中心が日本の東海上に位置している場合はなおの事ですね。

さらに、発達中および発達した低気圧の南西側にも、暖湿流が流れ込んできやすいもの。当該暖湿流の動向は、下層(上空2000m以下)の気流の風向・風速に着目するべきです。水蒸気雲画像上では、帯状に白輝域として映し出されますね。地上天気図や地上の実況値ばかりで、暖湿流の動向は見極めることは出来ません。

また、暖湿流が本州付近へ流入時には、水蒸気雲画像上で、前記した帯状の白輝域が北に膨らんで ⌒型のようになり始めて、帯状白輝域内の中にも、所々一層白く輝く地域が発生するようになったら(引用図②のaやb)要注意!当該暖湿流の流入量が増大してきている証拠です。

このような場合、前記した、水蒸気画像上で一層白く輝く地域や下層(上空2000m以下)の気流の風向・風速に特に注意し、

Ⅰ:水蒸気画像上の顕著な白輝域や暖湿流収束している箇所がどこなのか? 

Ⅱ:水蒸気画像上の顕著な白輝域や暖湿流収束している箇所の移動方向は何処か?に気をつけましょう!

収束している箇所が停滞気味になったりしていたら、その地域の地上付近では大雨災害が発生する懸念大です。

前記した水蒸気画像上の顕著な白輝域aやbは、引用図にはありませんが、東進中の様子ですので、さしあたり、22日は、本州南岸沿いの地域では、ところどころで強い雨が降恐れがあります。


これも寒気流入の狼煙 関東では午後から雨

2010-11-15 23:57:19 | インポート

①11月15日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月15日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③11月15日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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11月15日は、低気圧がオホーツク海で発達して、大陸にある高気圧が本州付近に張り出して、一見、冬型の気圧配置のように思われる気圧配置でした。

が、引用図にはありませんが、15日9時現在、沿海州から日本海中部に500hpa(上空5500m付近)の谷があり東進中。当該谷の移動方向前面にあたる、北日本の日本海側から北陸地方の上空3000m付近では上昇流が卓越した状態となっていました。(引用図②の帯状に分布する中層以下の湿潤域aは上空3000m付近の上昇流域に対応しています。)

こういう条件下で、引用図③より、関東地方周辺の下層では、地形的に、北より風と西より風とが衝突している状態(冬型気圧配置の伴っての日本海からの季節風が中部山岳で分断されてしまった結果です。)であったため、500hpaの谷の東進に伴って、上空3000m付近の上昇流域が掛かり初めた午後からは、関東地方ではみるみるうちに雲が発生・発達して、ほぼ全域で雨が降り出してしまいました。

④11月15日18時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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引用図④より、冬型気圧配置時における、本州上を500hpaの気圧の谷の通過する際に発生する降水域の形(雲画像上で画像の形もそうですが)は、おおむね北東~南西方向へ帯状に分布する形となるのが通常ですが、三陸沖から関東地方東沖に顕著な前線がある場合は、当該前線に伴う降水域が、関東地方周辺の気流の収束箇所に対応して、前記した前線に伴う降水域が西~北西方向へと広がるようになるのが特徴です。

そして500hpaの谷が日本列島の東へ去ってから、日本列島に寒気が一気に流れ込んでくることが通常で、15日午後からの関東地方周辺での降水は、寒気流入の狼煙 と言えそうですね。


低気圧が日本海で発達 北日本や北陸では大荒れ 日本海で等圧線円形はなかなかくせ者!寒気流入は西から!

2010-11-09 22:54:17 | インポート

①11月9日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月9日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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11月9日は、低気圧が日本海で発達したため、北日本や北陸では雨風強まる荒れた天気の1日となりました。

東北の日本海側や北陸など、平均でも20mを超す暴風があちこちで吹きまくり、暴風警報や波浪警報が発表されました。

今日のように、低気圧が日本海で発達して、日本海一帯で等圧線の走向が円形となる場合は、雲画像(特に水蒸気画像や赤外画像)に注目! 当該、水蒸気画像や赤外画像上では、螺旋系に雲が連なっていることが通常で、当該、螺旋状の雲の下では、強い降水や雷、突風や竜巻と言ったシビアーな現象をもたらすものです。

特に、前記した螺旋状雲が水蒸気画像上で、白輝域と暗域のコントラストが強くなっている箇所(引用図②で↑印箇所)では、より一層、シビアーな現象をもたらしやすく、当該、螺旋状雲の外縁部では、特に強風となりやすくなりますので、油断なりません!

関東地方など、前記した螺旋状雲が通過時には、当該螺旋状雲の活動が弱まり、雲画像上からはっきりしなくなることも多いですが、そんな時でも強風は吹きやすく、中層以下で気流が非常に乱れやすくなります。当該箇所に航空機が入り込むと、乱気流の襲撃を受けることも多いものですね。

③11月9日22時までの日最高気温平年差一覧図 気象庁HPより引用

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さらに、日本海で等圧線が円形に走るようになると、引用図③のように、寒気流入は西日本からとなるのが通常で、気温は 東高西低 となるのも特徴ですね。