カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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東北~近畿にかけては雷や強い雨、突風や竜巻の恐れ!特に雲画像上のこういう箇所で要注意!!

2012-05-29 12:51:13 | インポート

①5月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月29日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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東北~近畿にかけては、29日11時現在、地上ではおおむね気温25℃以上となっているのに対し、本州の上空5500m付近では、-18度以下、さらに、これから夜にかけて、-20℃以下を観測する強い寒気が流れ込んでくる予想(各種予想図より)で、昨日よりも大気の状態が不安定となる見込みです。

このため、昨日以上に大気が不安定で、昨日以上に、雷や急な強い雨 突風や竜巻などの激しい気象現象が生じる恐れがあります。

では、天気図や雲画像上のどういう箇所に注目するべきでしょうか?

引用図②には、地上天気図の低気圧の位置を示し、水蒸気画像上の水蒸気の濃淡具合をしましております。画像上で、より白く映し出されている地域ほど、下層から中層の上昇流域が発達しており、発達した雨雲が存在し得うることを表現するものです。

まず(29日9時現在ですが)、

◆山陰沖の勾玉型になった白輝域Aがありますが、特に、当該Aの周辺(南側でより一層)で画像が白く鮮やかになっております。この箇所に、暖湿流が収束して特に発達した雨雲(積乱雲)が存在しているわけです。

さらに、Aの東側に注目しましょう!

◆Aの東側には、ほぼ南西~北東方向に帯状に白くぼやけた画像域があり、当該画像域は、幾重にも縞状に画像の濃淡のコントラストが広がっております。水蒸気画像でこのような画像が現れるのは、暖湿流が大量に流れ込んでいる証拠であり、とりわけ、当該水蒸気画像の濃い部分と、地表付近の気流が地形的要因などで収束した箇所とが合致した箇所(②ではBが該当します。)で、これまた、雨雲が発達するようになります。

事実、29日9時~11時頃にかけて、Bが掛かる千葉県九十九里上空では、成田空港の着陸進入アプローチラインに当たってしまい、この時間帯に成田空港に着陸する航空機の多数が、気流の乱れによる大きな揺れを受けた模様です。

今後は、前記したAの動向に注目!各種実況図より、Aは東進中の模様。

これからAが掛かる地域では、

◇A本体を形成する雨雲のみならず、Aの進行方向前側に発生する雨雲にもご用心!当該雨雲が(Aの前側に流れ込んでいる暖湿流と、Aを形成する積乱雲から周囲に吹き下りる気流とが収束して発生するものです。)がより発達する傾向もあります。

◇さらに、地表付近で気流が地形的要因などで収束している箇所にも注意!当該箇所上を、前記したAをはじめとする積乱雲の集団が通過するような際に、竜巻等の激しい突風が発生する危険が極めて強くなります!


今一度、突風(竜巻やダウンバースト)の種類について

2012-05-18 11:47:14 | インポート

上空に寒気を伴なった気圧の谷や暖湿流の影響で、日本列島の所処で強い雨や雷など気象状況が頻発している昨今ですが、本ブログ前回5月6日の記事に対し、コメント投稿頂いたり、メールにても多数の方々から、突風について質問いただきました。

ブログに投稿や質問いただいた方々。誠に有り難うございました。

今回記事では、これを受けて、局地的ではあるものの、時として甚大な被害をひき起こす突風(竜巻やダウンバーストなどが代表的ですが)について、解説していきましょう。

※気象HPや、それを受けての筆者の見解を基に記述してまいります。

去る5月6日の茨城県や南西部から中部、それに栃木県南東部の事例のように、局地的な強風災害が発生すると、最寄の気象台、測候所で現地調査を行い、「竜巻」か「ダウンバースト」か断定されますが、その基準発議の通りです。

①被害地域の被害痕跡が一列に並んで、建造物や樹木の転倒方向が収束性痕跡(渦巻状)になっている。被害地域で漏斗雲が見られた。ジェット機が通過するようなキーンという音がした。など。・・・・・「竜巻」と断定

②被害地域の被害痕跡が一列になっていない。建造物や樹木の転倒方向が収束性痕跡になっておらず扇状の広がりが見られる。など・・・・・「ダウンバースト」と断定。

前記①②いずれにもあてはまらない場合③のケースでは、単に「突風が吹いた」とか、「竜巻、ダウンバーストいずれにも断定できなかった。」と、発表されます。

前記①②③より、被害地域の被害痕跡によって、竜巻 や ダウンバースト と判断するわけですが、私自身、本ブログ内で、記事として記述させていただいてますように、

◆語弊を承知で言うなら、「竜巻」や「ダウンバースト」双方とも、発生原因の源となる部分は同じであると考えています。雷雲内の強い上昇流が、地表付近まで及んで、地表付近が低気圧性循環となるのが「竜巻、」

◆一方、雷雲内の強い上昇流の影響で隣接部分に強い下降流が発生し、雷雲周辺の乾燥空気を当該雷雲に引きずり込んで、下降流をさらに発達させたのが「ダウンバースト」 となるのではと考えています。

よく、気象の書物では、一般論として「ダウンバースト」は、一般的に中層に乾いた気流が流れ込んで、この中を雨粒が通過する際に、雨粒自体の蒸発が盛んになる為に、下降気流が加速されて生じると言うことがいわれていますが、この状態は、「ダウンバースト」をまさに引き起こそうとしている雷雲の中層に当該雷雲の隣接区域から局地的に強い下降流で乾燥空気が流れ込む形が考えられます。
このためには、当該下降流に隣接した、前記のダウンバーストを引き起こす雷雲内に局局地的な強い上昇流が不可欠となります。質量保存の法則によりますからね。

では、前記した雷雲内の局地的な強い上昇流発生原因は何かと言いますと、鉛直シアー(鉛直方向で風の風向風速の差が大きい状態)によるものではと考えます。それ以外に原因は考えられませんね。

よって、

◆「竜巻」と「ダウンバースト」は発生源が同じであるので、当然、双方、隣り合わせて共存して発生、なんてことも充分ありえます。

さらに、私自身、前記③のケースに当てはまる局地的な突風についても、侮れるものではない と思っています、

前記③のケースに当てはまる特徴として

ⅰ:局地的に地形の狭隘部となっていたり、山地(標高おおむね1000m以下、狭い範囲でも該当)に隣接した地域にて、当該地形的な狭隘部に平行して、および、山地の直交方角に強風が吹くもの・・・・・当該地形的狭隘部や山地の前側20km~100kmに、地表付近から上空3000m付近の部分(特に上空1000m以下の部分)で上昇流域になっている場合は

ⅱ:積乱雲がマルチセル上やスーパーセル上に分布して、当該積乱雲の集団の後面が、上空3000m付近の下降流が強まっている場合、当該積乱雲の集団より進行方向前側(まれに、進行方向後面にも吹く場合もあります。)に、帯状に地表で乱流を伴なった強風域(積乱雲より吹き降りる気流となります。)が発生、当該帯状の強風域が、前記した積乱雲の移動よりも移動速度早く、先行して移動するようになる(ガストフロントと呼ばれるものです。)


本州上は大気が不安定 所処で雷や強い雨 雹も 茨城県や栃木県内では突風(竜巻)被害発生!!

2012-05-06 17:50:22 | インポート

①5月6日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月6日12時のアメダス関東地方周辺風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③5月6日12時00分現在の茨城県栃木県周辺レーダーエコー合成図 気象舎HPより引用

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                        ↓

④5月6日12時30分現在の茨城県栃木県周辺レーダーエコー合成図 気象舎HPより引用

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⑤5月6日12時50分現在の茨城県栃木県周辺レーダーエコー合成図 気象舎HPより引用

(凡例)Ranknw_4

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ゴールデンウイーク最終日となる5月6日 本州上では上空に寒気が入ったことと、下層には南から暖湿流が流れ込んだことで、ほぼ全国的に大気が不安定となり、あちこちで、雷や急な強い雨、また、東京都内など一部では、雹も降りました。

さらに、ネット上のニュースより、

◆6日12時50分~13時頃にかけて、茨城県つくば市や栃木県真岡市などで竜巻とみられる突風が発生、計80棟以上の住宅が倒壊するなどし、少なくとも80人以上がけがをした とのことです。 

◆栃木県東部の真岡市や益子町でも同じ頃、激しい突風が発生。真岡市消防本部などによると、計約10人が負傷、家屋損壊も約50棟に及んでいる。小学校の窓ガラスが割れたり、納屋やビニールハウスが飛ばされる被害が発生した模様。

との情報が入っています。

竜巻の発生原因について、本ブログでも何度か記事にて紹介しております(本ブログ平成21年7月20日記事など)が、一言で言うと、

地表の水平方向と鉛直方向の双方で、局地的に風向のシアー(不連続部分)がある箇所に、発達中の積乱雲(レーダーエコー図上では強い降水強度のエコーとなりますが)が通過する際に発生しやすいものですが、

竜巻発生が懸念される際には、

◆地表付近の風向の明瞭な不連続箇所やレーダーエコー図上で、現存している活発なエコー集団を監視するのみならず、当該現存している活発なエコー集団の前面に新たに発生するエコーにもより注意するべき と私は考えています。

現存しているエコー集団の進行方向のかなり前側に、地表付近の風向の不連続部分がある場合、現存している活発なエコー集団から吹き広がる気流が発生し始めると、周辺部から当該エコー集団へ吹き込む気流と収束して新たなエコーが発達。当該エコーで竜巻などの激しい突風を引き起こすことがあります。

要は、発達途上のエコー(この場合積乱雲を指しますが)であれば、進行方向前側の地表付近で風向の不連続部分がある場合、大きさはどうであれ竜巻などには要注意!と思いますね。

引用図②③④より、6日12時現在、レーダーエコー合成図上で、埼玉県中部~群馬県東部にかけて強いエコー(積乱雲)があり、関東地方の栃木県東部~茨城県西部~埼玉県南東部にかけて風向の不連続部分があり、前記した強いエコーから引き広がる気流も混在して、帯状に風向が疎らになっている様子が解ります。

さらに引用図④⑤より、6日12時00分現在、埼玉県中部~群馬県東部にかけての強いエコーは栃木県西部へと移動しますが、12時30分になると、その前側の茨城県南西部と栃木県南東部に、それぞれA、Bの新たなエコーが急激に強まり、12時50分にかけて、発達しながら北東へと移動していますが、このA、B2つの急激に発達したエコーが通過した、茨城県つくば市や、栃木県真岡市などで竜巻が発生した と思われます。


大雨の範囲は東北太平洋側~北海道太平洋側へ このほかにも要注意地域がこんな所!

2012-05-04 16:19:25 | インポート

①5月4日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月4日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③5月4日12時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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                                                         ↓

④5月4日15時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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一昨日から本州に太平洋側に各地に、5月としては季節はずれの大雨を降らせた低気圧とその前側の暖湿流ですが、その後、ゆっくりと北東へ移動し、大雨の範囲も東北地方太平洋側~北海道の太平洋側へと移ってきました。

岩手県の山田では、4日15時までの24時間に345㎜と、観測史上最も多い降水量となってのをはじめ、北海道の胆振地方や東北地方太平洋側の各地で、24時間降水量が軒並み200㎜を超えています。

岩手県内や宮城県内では、氾濫危険水位を超えた河川が続出、流域の各世帯多数に、災害対策基本法に基ずく避難指示や避難勧告が出されました。

引用図①と②、③とを見比べると、天気図上に描かれている低気圧の進行方向前側には、水蒸気画像上で広範囲に白く輝く画像域が見られ、当該画像域に対応して発達した降水域が見られます。

これは、低気圧の進行方向前側に暖湿流が大量に流れ込んでいるためですね。

さらに、引用図②の、別の水蒸気画像上で白く輝く画像域であるAとBに注目!A,Bともに、500hpaの正渦度移流域を反映したものですが、こういう箇所では、上空3000m付近での上昇流が顕著な区域で、雨雲(雪雲)が発達しやすい箇所でもあります。

引用図③④より、A,Bのかかる地域に対応して、強い降水域が見られますが、Bのかかる鳥取県内では、3日15時までの24時間に90㎜以上のかなりまとまった降水となっています。

Aに対応する降水域も強いものですが、東~南東に移動しながら、一部がさらに強まっている様子が解りますね。

これは、関東平野に日中吹き込む海風が関東西部で地形的に収束したことが原因と思われ、当該、発達した雨雲の掛かる関東地方(特に南部)などでは、一時的に強い雨や雷等が発生する懸念があります。


東海や関東で5月としては記録的大雨 大雨範囲は東北へ

2012-05-03 17:37:38 | インポート

①5月3日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月3日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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                                                          ↓

③5月3日12時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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昨日の記事の続きになりますが、進行方向前側に暖湿流が大量に流れ込んで、発達した雨雲を伴なった低気圧は、その後、2日夜以降、紀伊半島沖から東海沖を北東へ進んで、3日9時には引用図①より、関東南岸まで進んできました。

このため、暖湿流が東~南東風となって長時間吹きつけた形となり、当該方向へ開いた斜面沿いにあたる、関東西部や甲信地方東部、東海地方太平洋側では、強い雨が断続的に降り続きました。

静岡県の天城山では24時間降水量が649㎜と、5月としては観測史上最も多い降水量を観測しましたし、24時間降水量が300㎜を超えた地点としては、三重県尾鷲 383・5㎜ 東京都大島 358㎜ 神奈川県箱根で348㎜ 三重県熊野新鹿で305㎜ となっています。

このほか、関東地方や東海地方太平洋側のあちこちで24時間降水量が200㎜を超えました。

東京23区内でも西部を中心に軒並み24時間降水量が150㎜を超えて、東京都心(千代田区気象庁)では152㎜と、5月の月間降水量に匹敵するような降水量を観測しました。

このため、各地で山がけ崩れや低地の浸水が相次ぎ、東京23区内でも、一時、氾濫危険水位まで水位が上昇した河川がありました。

今回の大雨ですが、東~南東へ開いた斜面沿いで特に降水量が多くなっているのが特徴ですが、関東平野に限ると、3日未明から、前記した東より風が、鹿島灘方面から吹きつけた後、陸地を吹きぬめる際の摩擦の影響で、北東方向へ気流が向きを変えたため、南岸からの東~南東風とが、神奈川県東部や東京都23区あたりで収束したため、この地域でも降水量がまとまりました。

引用図②③より、強い雨雲は次第に、関東地方から東北地方へと移動しています。

これから、東北地方太平洋側(地形的に東側に開いた斜面沿いにあたります。)では、大雨災害には厳重な警戒が必要ですね!