カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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寒い朝にグラリ!山梨県東部富士五湖地域で強い地震!

2012-01-28 14:06:12 | インポート

引用図は1月28日7時43分発生した地震の震央と関東地方周辺各観測地点震度分布図です。気象庁HPより引用・加工

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強い寒気の影響で、ここ数日、朝方の厳しい冷え込みが続いている関東地方や甲信越地方ですが、28日7時43分頃関東地方から甲信越地方南部にかけて強い地震がありました。

震源地は山梨県東部・富士五湖  ( 北緯35.5度、東経139.0度)で震源の深さは約20km、地震の規模(マグニチュード)は5.5と推定されます。

この地震で、山梨県忍野村忍草 と 同じく 山梨県富士河口湖町長浜 で震度5弱を観測しましたし、関東地方では、小田原市や相模原市などで震度4、さらに、東京23区や多摩地区、それに神奈川県の広範囲と千葉県北西部の一部で震度3を観測しました。

この地震の影響で、JR御殿場線が、28日11時現在も、一部区間で運転見合わせとなっていますし、東海道新幹線も、新横浜~新富士間で、地震発生より、およそ10分間、運転がストップしました。

今回の地震が発生した、山梨県東部富士五湖地域は、およそ500万年ほど前に、関東平野が載っている北米プレートに向かって、南から丹沢山塊が衝突し、その後、50万年程前に箱根や伊豆半島が衝突した経緯があり、北米プレートと、伊豆諸島が乗っているフィリピン海プレートとが接する地域に隣接し、比較的地震発生の多い地点でもあります。

また、当該、山梨県東部富士五湖地域で発生する地震の地震波は、丹沢山塊や山梨県東部の桂川沿い、さらに、箱根山塊と丹沢山塊との間の地形的鞍部になっている地域に沿って伝播しやすく、当該地域では揺れが大きくなりくなる傾向があります。

過去、この地域に発生した地震としては(理科年表、気象庁監修 気象より)

(1)昭和51年6月16日 マグニチュード5・5・・・・・山梨県、神奈川県、東京都多摩地区で建物一部損壊69棟の被害

(2)昭和58年8月8日 マグニチュード6・0・・・・・丹沢山地で落石あり、死者1名、山梨県、神奈川県、東京多摩地区、静岡県内などで、負傷者33名、家屋全半壊2棟の被害。JR御殿場線谷我駅のホームが一部崩壊。

(3)平成8年3月6日 マグニチュード5・8・・・・・山梨県河口湖で震度5を観測。負傷者6名(山梨県3名、神奈川県3名)のほか、住家一部損壊29棟の被害。

となっています。

山梨県内(東部富士五湖)のみならず、神奈川県、東京都(多摩地区)なども侮れませんよね。


強い寒気が居座る 日本海側では所処で大雪 東京では本冬初めて冬日!

2012-01-25 23:17:37 | インポート

①1月25日6時の天気図 気象庁HPより引用

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1月25日は、本州付近ではおおむね冬型気圧配置が続いて、上空には強い寒気が居座りぞくけています。

東北以西の日本海側ではおおむね雪となり、北陸や東海地方北部を中心に大雪となり、25日22時までに、福井県の九頭竜では63cmもの新雪が積もりました。

また、西日本では、四国や九州の山間部でも積雪となった箇所もあります。

反対に、太平洋側の各地では、おおむね晴天となりましたが、朝の冷え込むが強まりました。

②1月25日6時の関東地方周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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朝の最低気温が、東京都心では-0・1℃(午前6時30分) 横浜では-0・4℃(午前7時08分)を観測して、東京都心では、本冬初めての冬日(最低気温が0℃未満の日)を観測しました。


関東では降水域が北上することもあります!夕方から降雪の予想も

2012-01-23 13:34:14 | インポート

①1月23日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月23日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③1月23日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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昨日から今日朝にかけて、北海道の東部では、新たに30cmもの降雪がありましたが、関東や甲信越では、これから降雪となるおそれがでてきました。

すでに、東京など、関東地方で、所々弱い雨が降っていますけどね。

ます、引用図①より、日本列島付近では、西から次第に冬型気圧配置となってきつつありますが、日本海西部の等圧線の走向に注目すると、等圧線が く の字が斜め右側に傾くように走っております。

これは、日本海西部が低圧部となっていることですが、同時に、大陸から日本海に向かって、500hpaの正渦度が移流してきている状態であり、この500hpaの正渦度の移流域の前側では、上空3000m付近の上昇流域となっていることを示すものです。

引用図②より、日本海西部の低圧部に対応する雲の集団Aが、そして、上空3000m付近の上昇流域に対応する雲の集団Bがみられ、このBは引用図②③を比較すると、水蒸気画像上の白くぼやけた区域の対応しており、当該、水蒸気画像上の白くぼやけた区域は、東北~西日本の各地まで広がっております。

さらに、引用図②より、伊豆諸島から関東南東沖にかけてCの雲の集団がありますが、前記した上空3000m付近の上昇流域と重なりつつあり、雲の集団に伴う降水域は、次第に北へ広がりつつあります。

500hpaの正渦度の移流域の前側の上空3000m付近の上昇流域というもの、上空1500m付近では等温度線が混んでいる部分でもあり、23日9時現在、上空1500mの気温は、関東地方の茨城県館野では-0・8℃に対し、およそ西北西に300㎞離れた石川県輪島では-8・7と、気温差が著しいですね。

その様子を、④1月23日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 と ⑤1月23日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 とで比較してみましょう。

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徐々に、伊豆諸島から関東南東沖の降水域は、次第に北へ広がっている様子が解ります。

これから、500hpaの正渦度の移流に伴い、前側の上空3000m付近の上昇流域が関東地方周辺にもかかってくる予想で、伊豆諸島から関東南東沖の降水域は、、さらに北へ広がり、関東地方周辺にもかかって来るとみられ、関東地方周辺では、気温も次第に低下すると見られますから、関東地方や甲信越地方では、次第に降雪となる箇所が多くなってきそうですね。

雪道による転倒や、車のスリップなど、充分に注意してください!


関東甲信の山間部中心に大雪 東京や横浜では初雪を観測!

2012-01-20 23:57:15 | インポート

①1月20日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月20日9時の関東甲信越地方周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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1月20日は、低気圧が本州の南海上を東進し、北日本や東日本の上空には寒気が流れ込んだため、関東地方や甲信越地方では、山間部を中心に大雪となりました。

主な地点の20日21時までの降雪量は

長野県松本で 22㎝

長野県軽井沢で 20㎝

群馬県草津で 18㎝

山梨県河口湖で 13㎝

栃木県奥日光で 11㎝

となっています。

このほか、東京都心や横浜では、初雪となりました。

東京都心(気象庁がある千代田区大手町)では、昨夜から降りだした雨が、20日明け方になって雪が混じるようになり、その後雪となりました。ただ、湿度は90%弱であったものの、最低気温が1・9止まりで合ったため、積雪を観測することはありませんでした。

ただ、東京都内でも、23区西部の世田谷区や杉並区、練馬区周辺では、歩道にうっすらと雪が積もって様子ですし、更に内陸の多摩地区には、一時、大雪注意報も出されました。

本ブログの昨年12月9日の記事で紹介したように

降水量と積雪深との関係は(筆者しらべ)

湿度90パーセントとして、

◇気温3℃未満になると、雨に雪が混じる(みぞれ)ようになり→気温2℃未満で降雪状態→気温1・5℃未満で積雪となります。

さらに

◇気温1・0℃・・・・・・降水量(cmに換算した値)×0・5

◇気温0・5℃・・・・・降水量(cmに換算した値)×0・75

◇気温0℃・・・・・降水量(cmに換算した値)×1 

※同一気温でも、湿度が低下するほど、積もる雪の深さは増大する

となります。

東京都心など、前記の条件には今一歩及ばなかった(幸いですけど)ため、積雪とはならなかたようですね。

ただ、これから、明日21日朝方にかけては、東京都内や横浜市内など、積雪とならなかった地域でも、路面が濡れた状態ですから、路面凍結にはくれぐれもご用心!!


発生場所と揺れ方が災いした兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から17年

2012-01-17 01:35:44 | インポート

引用図は1995年1月17日5時46分発生 兵庫県南部地震の神戸海洋気象台(当時は神戸市中区山手)での強震波形データです。気象庁HPより引用。

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昨年3月11日に、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生して、未だに復興途中ですが、丁度17年前の今日、午前5時46分、兵庫県淡路島付近(震源域は神戸市内直下まで広がりました。)でマグニチュード7・3の地震が発生しました。

この地震こそ、兵庫県神戸市など阪神地区に甚大な被害をもたらした、阪神・淡路大震災です。

この地震で、気象庁の公式発表の震度(※平成8年改正前の地震津波業務規則 別表4より)は、神戸と洲本で6 京都、彦根、豊岡で5 大阪などで震度4 でした。が、後に被害痕跡より、神戸市や芦屋市、西宮市、宝塚市、淡路島北部の一部地域では、震度が7であったことが判明。大阪市内でも、大阪駅周辺など市内広範囲で震度5、豊中市など市内一部市域で震度6相当の揺れであったことが判明しています。

この、兵庫県南部地震で、兵庫県内や大阪府内、京都市内で、延べ6400名あまりの方々が犠牲になり、家屋の全壊が10万4906棟 半壊が14万4274棟(総務庁消防庁まとめより)の甚大な被害となりました。

家屋の全壊戸数を見る限り、昨年3月11日の東北地方太平洋沖地震では全壊家屋総戸数が10万7696棟(警察庁まとめ)とほぼ肩を並べるものです。

家屋の被害を受けた地域は、東北地方太平洋沖地震のごとく、東北地方から関東地方までの広範囲のはおよばないものの、なぜ、前記のような甚大な家屋の被害をもたらしたか?

これは、Ⅰ:兵庫県南部地震の発生した箇所が、神戸市などの大都市の直下で発生したことと

それにもうひとつ、

Ⅱ:兵庫県南部地震では、建造物の固有周期(揺れやすい周期)に近い周期の地震波が卓越したこと

以上が考えられると私は思っています。

まず、引用図より、強震波形の一番上側の加速度(瞬間的な揺れの強さ、単位ガル※㎝毎秒毎秒)一番下側に図示している変位(単位 振幅㎝)とも比較してみますと、加速度の最大値より後続して、変位の最大値が発生していることが判ります。そして、その後も比較的変位の高い部分が継続していますよね

このことは、最大加速度を観測した地震波の周期よりの長周期の地震波により最大変位(振幅)を記録していることでもあります。

この地震による神戸海洋気象台の最大加速度は818ガル、この時の地震波の周期は0・7秒とのこと(震度を知る・基礎知識とその応用 気象庁監修、ぎょうせい より平成8年発行より)。最大変位(揺れ幅が最大)での地震波の周期は、0・7秒よりも長周期であったことが推測されます。

一般に、家屋などの建造物の固有周期(一番揺れやすい周期)は1秒以上。前記した神戸海洋気象台の強震波形データより、神戸市内周辺では、建造物の固有周期に近く、建造物が共振しやすくなり、建造物へのダメージも大きくなったもの と思われます。

以上のことで、兵庫県南部地震の建造物の甚大な被害が引き起こされた と私は考えています。