※記事内引用図は全て気象庁HPよりの引用です。
29日は、日本海を低気圧が東進し、関東地方では沿岸部を中心に南西の風が強まりました。
南西の風が関東地方で強まるとお決まりのごとく、関東地方では日中の最高気温が急上昇するようになります。
29日も、この前例通り、関東地方では日中、各地で気温が上昇し、最高気温は、埼玉県越谷で25・8℃を観測したほか、茨城県館野では25・6℃、埼玉県熊谷では25・4℃ 茨城県水戸では25・2℃と本年初めて夏日となり、東京(大手町)でも、24・1℃を観測しました。
東京では5月下旬頃、茨城県水戸では7月上旬頃の最高気温となりました。
こうなると、暖かい ではなく、暑い1日でしたね。ビールが美味くなる陽気です。
このように、日本海を低気圧が通過する際に、関東地方各地では気温が上昇しますが、この原因は中部山岳にあり と言えます。
そのカラクリを説明するため、引用図③で3月29日12時の日本各地のウインドプロファイラー風向風速図をご覧いただきましょう。
③3月29日12時日本各地のウインドプロファイラー風向風速図
引用図②より、高度1kmから3kmまで、西より風が中部山岳を迂回した風向となっており、迂回した、北陸地方~東北地方南部と東海地方~関東地方南部で風が強めになっていますね。これは、中部山岳を気流が迂回して、北陸地方上空と東海地方上空とで気流同士収束しているためです。関東地方上空では、前記した双方の気流が収束した間に入っており、下降気流が卓越していると推測されます。関東地方1km上空で南西風がかなり強めになっているのは、この下降気流のために、この付近の南西の気流に圧力が加わり(ちょうど、ゴムホースのような原理ですね)風速が強まったわけですね。
続いて 引用図③で埼玉県熊谷の29日9時~15間でのウインドプロファイラー鉛直分布図と引用図④の鳥取県鳥取の29日9時~15間でのウインドプロファイラー鉛直分布図とを比較してみましょう
③ 埼玉県熊谷
④鳥取県鳥取
引用図③と④とを比較すれば、29日気温が上昇した、埼玉県熊谷では、29日12時以降、下降気流が地表から高度2km付近まで下降気流(水色)が分布しているのがわかりますね。
以上のことより、29日は、関東地方各地で、気温が上昇したカラクリです。
今回のように、日本海を低気圧が東進し、中部山岳で高度1kmから3kmで西より風が南側と北側に迂回する状態の時は、関東地方では高温と、南西の強風に注意する必要があります。