カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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関東は初夏の陽気 埼玉県越谷で25・8℃ 東京でも24・1℃

2007-03-29 23:58:24 | インポート

※記事内引用図は全て気象庁HPよりの引用です。

07032912 3月29日12時の天気図

29日は、日本海を低気圧が東進し、関東地方では沿岸部を中心に南西の風が強まりました。

南西の風が関東地方で強まるとお決まりのごとく、関東地方では日中の最高気温が急上昇するようになります。

29日も、この前例通り、関東地方では日中、各地で気温が上昇し、最高気温は、埼玉県越谷で25・8℃を観測したほか、茨城県館野では25・6℃、埼玉県熊谷では25・4℃ 茨城県水戸では25・2℃と本年初めて夏日となり、東京(大手町)でも、24・1℃を観測しました。

東京では5月下旬頃、茨城県水戸では7月上旬頃の最高気温となりました。

こうなると、暖かい ではなく、暑い1日でしたね。ビールが美味くなる陽気です。

このように、日本海を低気圧が通過する際に、関東地方各地では気温が上昇しますが、この原因は中部山岳にあり と言えます。

そのカラクリを説明するため、引用図③で3月29日12時の日本各地のウインドプロファイラー風向風速図をご覧いただきましょう。

③3月29日12時日本各地のウインドプロファイラー風向風速図

20070329120000

引用図②より、高度1kmから3kmまで、西より風が中部山岳を迂回した風向となっており、迂回した、北陸地方~東北地方南部と東海地方~関東地方南部で風が強めになっていますね。これは、中部山岳を気流が迂回して、北陸地方上空と東海地方上空とで気流同士収束しているためです。関東地方上空では、前記した双方の気流が収束した間に入っており、下降気流が卓越していると推測されます。関東地方1km上空で南西風がかなり強めになっているのは、この下降気流のために、この付近の南西の気流に圧力が加わり(ちょうど、ゴムホースのような原理ですね)風速が強まったわけですね。

続いて 引用図③で埼玉県熊谷の29日9時~15間でのウインドプロファイラー鉛直分布図と引用図④の鳥取県鳥取の29日9時~15間でのウインドプロファイラー鉛直分布図とを比較してみましょう

③ 埼玉県熊谷

200703290900001

④鳥取県鳥取

2007032909000011

引用図③と④とを比較すれば、29日気温が上昇した、埼玉県熊谷では、29日12時以降、下降気流が地表から高度2km付近まで下降気流(水色)が分布しているのがわかりますね。

以上のことより、29日は、関東地方各地で、気温が上昇したカラクリです。

今回のように、日本海を低気圧が東進し、中部山岳で高度1kmから3kmで西より風が南側と北側に迂回する状態の時は、関東地方では高温と、南西の強風に注意する必要があります。


石川県能登でマグニチュード6・9地震発生 石川県輪島などで震度6強

2007-03-25 23:52:11 | インポート

25095600391 引用図は、気象庁HPより、気象庁から3月25日9時56分発表の 9時42分に発生した能登半島沖地震の震央、各地の震度分布図です。※なお、震央は、25日昼過ぎに、気象庁より訂正発表ありました。図の×印より、東側の、能登半島沿岸(輪島市と志賀町との市境付近)です。

3月25日09時42分 石川県能登半島で、かなり強い地震が発生しました。

この地震の震源地(訂正後)は

 北緯  37度13.2分 (北緯 37.2度)
 東経 136度41.1分 (東経136.7度)
 深さ  11km     (深さ 10km)
 規模(マグニチュード) 6.9 と推定されます。

この地震により、

震度6強→石川県輪島市 七尾市 穴水町

震度6弱→石川県志賀町 中能登町 能登町

震度5強→石川県珠洲市

震度5弱→石川県羽咋市、宝達志水町 かほく町 富山県富山市 滑川市 氷見市 小矢部市、射水市 舟橋村 新潟県刈羽村

を観測したほか、北陸地方や信越北部、岐阜県の広い範囲で震度4を観測しました。

この地震のため、25日21時時現在 死者1人、重軽傷者170人となったほか、石川県内だけで住宅52棟が全壊、半壊が92棟の被害となっています。

※、地震の震度の特性については、本ブログ平成17年3月20日と3月21日の記事に詳細を紹介していますし、震度の算出方法は、本ブログ平成17年6月3日の記事を参照ください。

当初、この地震の発表直後、気象庁からは、地震の震源地は能登半島沖 ( 北緯37.3°、東経136.5°)で震源の深さは約50km、地震の規模(マグニチュード)は7.1と推定・・・と発表されましたが、25日昼過ぎに、前記の地点とマグニチュードに訂正されました。

今回、地震が発生した、石川県能登周辺は、これまでも、今回と同等規模の地震が何度か発生しています。最近では、平成5年2月7日に、能登半島珠洲沖の深さ30㎞付近でマギニチュード6・6の地震が発生し、石川県輪島市で震度5を観測しています。

この地震と比べると、今回の地震は沿岸すれすれの箇所で発生し、震源の深さも浅いことから、大きな被害に繫がったと考えられますが、マグニチュード6・5以上の地震が、深さ10キロより浅い箇所で発生すると、その地震の震源直上では、震度7を観測するようになります。今回の地震によって、石川県輪島市、志賀町の一部では、ことによると、震度7相当の揺れを観測している可能性も高そうですね。気象庁の機動地震観測班の今後の詳細調査結果を待ちたいものです。

今後は、地震の震源地付近を中心に、余震(本心のマグニチュードから0・5引いたマグニチュードの余震が発生する懸念もあります。)と、地盤がゆるくなっていますから、少しの雨でも、土砂災害などには充分に注意してください!


全国的に荒れた天気 これから25日朝にかけて東海や関東南部でも雨脚強まる

2007-03-24 23:51:17 | インポート

07032421_1

→②07032409_1

引用図は①3月24日21時の天気図、②は3月25日9時の予想天気図です。気象庁HPより引用。

低気圧が発達しながら北日本へ接近し、この低気圧から延びる寒冷前線が本州上を通過中です。この寒冷前線、あす昼前には東海上へ抜ける見込みです。

この低気圧や前線に向かって、南海上より暖かく湿った気流が大量に流れこんでいます。全国的に風が強まり、兵庫県淡路島の洲本では瞬間最大風速32・2メートルを観測しました。

また、も、九州西部や南部、四国東部や南部、紀伊半島南部を中心に大雨となり、降り始めてからの総雨量が100ミリを超えた箇所も続出しています。24日夜になって、大雨の区域は、東海地方へと広がっています。

この寒冷前線の周辺で特に強い雨や強風となっており、これから、この寒冷前線が通過する、東海地方や関東地方(特に南部や伊豆諸島)では、大雨(1時間30ミリ以上)や強風(平均で20メートル以上、瞬間では30メートル以上に達する箇所もありそうです。また、活発な対流性の雲が寒冷前線付近に発生しますので、突風や竜巻もにも注意)には充分注意です!

通常、今回のような気圧配置の場合、関東地方では、神奈川県西部などを除いて、比較的降水量は少なめにとなりますが、各種予想図(引用にはありませんが)より、これから、明日25日朝の寒冷前線通過時にかけて、関東地方南部1500メートル上空で、相当温位324Kと暖かく湿った気流が大量に流れ込み予想であるのと、

本ブログ2月27日の記事で紹介した式 に各種予想値を当てはめると

※(850hpa気温-500hpa気温)+(850hpa露点温度-500hpa気温)+(地表の気温-37)+C(定数ですが、今日のように正渦度移流や、日中海陸風収束で地形的低気圧が発生する場所、地形的に山の斜面にぶつかり上昇流が発生する箇所、または北を360°として、850hpaの風向と地表付近の風向との差が90°で+8。※前記の現象が複数発生する場合は、8×当該現象発生数。負渦度移流の場合 -8)=

に各種予想値を当てはめると関東南部で50を越すところもある見込みです。

よって、これから、25日朝にかけて、神奈川県全域や東京23区 千葉県周辺  と言った関東南部の広範囲や伊豆諸島で、大雨注意報クラス以上の降水を覚悟する必要がありますよ。


24日は日本海で低気圧発達 各地とも風強まる 南側斜面では大雨も

2007-03-23 23:55:24 | インポート

07032321           ②20070323210000_1

引用図①は3月23日21時の天気図 と②は3月23日21時の日本付近雲画像図(赤外)です。ともに気象庁HPより引用。

23日は、北海道や東北の一部で雪となったほかは、各地とも、春爛漫 といった陽気となった箇所が多かったですね。

しかし、引用図①②より、中国大陸東部には、低気圧や前線を含む気圧の谷が顔を覗かせており、引用図②より、お椀をかぶせた形の雲(∩の形)が中国大陸東部に大きく広がっているのがわかります。

よって、今後、前記した中国大陸東部の気圧の谷は、次第に深まり、本州付近へ近ずいて来る見込みです。(引用図②より、特に黄海に白く輝いた雲の集団が見られます、今後、この雲の集団内に低気圧が発生し、この低気圧が発達しながら、日本海へと進んでくる予想です。)

気象庁HPより引用した、3月24日9時の予想天気図(引用図③)と、3月25日9時の予想天気図(引用図④)とで、前記した、今後黄海で発生するであろう低気圧の、あす、あさってにかけての動向をご覧いただきましょう。

07032309         ④    070323091

あす24日からあさって25日にかけて、日本付近は荒れ模様の天気となり、あす24日は、西日本より、次第に南西の風が強まり、海上では広範囲でしけてくるでしょう。

特に、対馬海峡周辺では、あす午前中にかけて、暴風警報クラスの風速が見込まれます。また、そのほかの地域でも、北陸沿岸や、関東から東海地方沿岸および伊豆諸島でも、あす24日夕方以降 風速が20メートルを超す所もありそうです。

また、低気圧から延びる寒冷前線の通過時をピークとして、南側に開いた山の斜面の地域、すなわち、24日午前中は、九州南部や西部、四国南部や東部を中心に、さらに、24日午後には、紀伊半島南部でも雨脚がつよまり、夜には、岐阜県や愛知県、静岡県周辺へと広がってくる予想です。


まーくん さんのご投稿のお答えして 東京(気象庁)の観測地点設置場所紹介

2007-03-22 23:55:41 | インポート

これまでに、本ブログで2回投稿いただいている、まーくん さんの3月8日の投稿について、お約束とおり、東京(気象庁)の風速観測設置場所について、紹介いたします。

まーくんさん 遅くなりまして済みません。

03100004

引用図①(筆者撮影)は右側気象庁、隣接左側の茶色の建物が第3合同庁舎です。

東京(気象庁)の風速は、引用図右側の第3合同庁舎の屋上鉄塔の上部(地上から約78メートル)に設置しています。

03100003

  ③03100006

引用図②で、第3合同庁舎の屋上 写真中央付近の鉄塔がありますが、ここに、東京(気象庁)の風速計が設置してあります。

東京の風速のデータはこの風速計の測定結果ですね。

引用図②は神田錦町方向から ③は大手町駅方向からの撮影です。(筆者撮影) 風速計まで、ご覧いただけますでしょうか?

ちなみに、地震発生時に、東京(気象庁)※東京千代田区大手町との名称です。の 公式発表する震度を測定する震度計設置場所は、気象庁から直線距離で西側に約500メートル離れた、皇居内 書陵部付近に設置しています。

引用図④で竹橋交差点より、皇居内 書陵部方向の撮影写真(筆者撮影)をご覧ください。

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この、地震計設置場所は、自然の地盤を造成したらしい箇所で、地盤としてはあまり固くない箇所らしく、設置場所から見て、北方向や東方向で発生した地震の場合、周囲より震度が高めに観測される特性がありますね。

この他、気温や湿度などは、気象庁敷地内露場に設置しています。

ちなみに、東京都内羽田の気温、風向風速、湿度、日照(4要素)の観測機器設置場所は羽田空港内 C滑走路北端(風速計は地上10メートル)※引用図⑤に紹介。千葉県成田の気温、風向風速、湿度、日照(4要素)の観測機器設置場所は、成田国際空港内 A滑走路東端(風速計は地上10メートルに設置しています。引用図⑥⑦⑧⑨⑩に紹介。

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※羽田の場合、観測機器設置場所は、写真中央の赤い鉄塔周辺ですが、ご覧いただけますでしょうか?

02050013          ⑦02050014           ⑧02050015          ⑨02050016                        

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※引用図⑤か⑩までも、筆者撮影です。

このように、各気象台、測候所の各観測機器設置場所を熟知すると、観測値にその設置場所での癖(ある風向で風速が増大するとか、特定の気圧配置で気温が上昇したり、低下したりとか  など)が見出すことができます。