カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

29日未明に東海や関東の一部で記録的豪雨 1時間雨量岡崎で147㎜ 町田で110㎜

2008-08-29 23:50:13 | インポート

①8月29日3時の天気図 気象庁HPより引用

08082903

②8月29日3時の関東・東海地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

20080829030000

③※岡崎や町田に豪雨が降る直前、8月29日1時の関東・東海地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

Fu

④※岡崎や町田に豪雨が降る直前、8月29日1時の日本付近ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

Photo

8月29日未明に、東海や関東の一部で局地的に豪雨となりました。

29日2時までの1時間に、愛知県岡崎市で147㎜ 29日2時30分までの1時間に東京都多摩地区町田市で110㎜、この他、東京都多摩地区の八王子市、国立市などでも1時間に100㎜を超す猛烈な豪雨に見舞われました。

これは、先日の本ブログの記事の続編みたいになりますが、本州上には、日本海沿岸の前線に向かって、南海上(詳しく言うと、南東~南より方向 と南西方向より)暖湿流が大量似流れ込んできています。

そういう状態の下に、引用図③④より、愛知県岡崎市周辺や東京都町田市周辺には、地表付近で内陸部に滞留する気流(相対的に気温が低い気流)と、海上からの気流(相対的に気温が高い)が衝突して気流の不連続部分(シアーライン)を形成しています。また、上空1000m付近でも地表付近と同様に内陸部に滞留する気流と、海上からの気流との間に気流の不連続部分(シアーライン)を形成しています。当該シアーライン周辺は、気流同士衝突している場でありますから、気流が特に上昇している場ともいえますね。引用図②より、当該シアーライン周辺で特に雨雲が発達していますよね。

大気が不安定な場の中でも、特に気流が上昇している場と言うことですから、雨雲がとりわけ発達しやすい場でもあると言えます。

以上述べたことより、今回の東海や関東の局地的豪雨が引き起こされたと言えますね。

各種実況データを基に、現況を的確に把握して、それから何が引き起こされるが見極めることが、今回のような局地的豪雨対策には必要ではないのでしょうか?


暖湿流我物顔 各地に大雨

2008-08-28 20:39:10 | インポート

①8月28日15時の天気図 気象庁HPより引用

08082815

②8月28日15時の日本付近雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用

20080828150000

③8月28日15時の日本付近ウンドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

200808281500001

④8月28日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

200808281500

ここ数日、本州には、南からの暖湿流が流れ込みやすく、大気が不安定な状態が続いています。

8月28日は、引用図にはありませんが、本州付近上空に、西から気圧の谷が接近してきたこともあり、一層、南海上からの暖湿流が大量に流れ込んで(上空には寒気が入りこみ始めて)、大気の不安定な度合いが増大し、あちこちで大雨となりました。

暖湿流は、流れ込む際に、一様に流れ込むのではなく、ある部分に集中して流れこんでいて、当該暖湿流の流れ込み具合は、以外にコントラストが大きいものですね。

ですから、暖湿流が流れ込んで大気が不安定・・・なんて時は、まず

<1>雲画像図・・・・・ 白く輝いている箇所は発達した雨雲と言うことはご存知でしょうが、当該白く輝いた雲が幾重にも集団となって、帯状に分布している状態のところは要注意! 当該部分は、暖湿流が特に大量に流れ込んでいる部分を示すものです。

<2>ウインドプロファイラーや各種上空実況図などで、上空の風の動向(上空1500m~3000m周辺まででしょうか)、相当温位分布状況に注意・・・・・気流がどの部分で合流(収束に繫がります)しているか?※本ブログ8月24日記事でも紹介しましたように、こういう箇所で雨雲が局地的に発達しやすくなります。相当温位が夏季で340K以上 、春秋季で330K以上、冬季では320K以上の部分は要注意です!また、過去の図を参考や、各種予想図を吟味して当該暖湿流の特に大量に流れ込んでいる部分がどういう挙動をするか、見極めることも重要です。

以上のことに着目してみましょう!

8月28日は、引用図②③④より、南海上から関東地方や東海地方へ白く輝いた雲の集団が帯状に連なっている様子が解りますが、当該雲の集団の直下で、激しい降水となっていますよね。

ちなみに、各種予想図より、南海上からの暖湿流が特に大量に流れ込んでいる箇所は、ゆっくりと東方向へ移動しています。よって、明日8月29日は、大雨の範囲は北海道地方や東北地方へも広がりそうです。


東海や関東にはスコールライン強雨域掛かる 

2008-08-24 23:29:14 | インポート

①8月24日18時の天気図 気象庁HPより引用

08082418

②8月24日18時の関東東海周辺アメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

200808241800

③8月24日17時の日本付近ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

20080824170000

8月24日は、東海地方や関東地方、東北地方の一部で大雨となりました。

特に、伊豆半島付近から関東地方にかけて、24日午後、降水域が帯状になって非常に発達しました(スコールラインと呼ばれています。)。この強い帯状の降水域がかかった、静岡県東部伊豆や神奈川県西部では、局地的に激しい雨となり、降り始めてからの降水量が300ミリ以上となった箇所もあります。

ただ、こういう発達したスコールラインに伴う大雨時は、雨量分布に局地性が強く現れます。本日24日の場合、神奈川県では丹沢山地東部から南部、湘南西部地域 そして、箱根山地東部で特に雨量が多くなりました。

24日19時現在の降り始めてからの総雨量(神奈川県HPより)は、箱根山周辺を例にとると、静岡県熱海市との市境に近い宮上で286㎜ 根府川で268㎜を観測していますが、乙女峠に近い長尾で61㎜ 湖尻峠で69㎜となっています。

このスコールラインは、本州を上空の気圧の谷が通過中で、関東地方や東海地方は当該谷の前面にあたり雲が発生・発達しやすい場であるところへ、南西風の暖湿流が入りやすく、本州東海上にある高気圧の縁を廻るようにして、暖湿流が南東風~南より風となって吹きこみ、風向の異なる暖湿流同士が衝突・収束して発生したと見られます。(引用図③より)

今後、このスコールラインによる大雨の推移は、当該スコールラインを形成する暖湿流の動向に着目するべきです。各種予想図より(引用図にはありませんが)これから8月25日にかけては、上空の気圧の谷は動きが遅く、次第に弱まりそうですね。また、本州東海上の高気圧の勢力が幾分強まり、関東地方から東海地方にかけては、暖湿流が東より風(一部で南東風)となって吹き込むでしょう。

したがって、現在関東地方にかかるスコールラインは、内陸部の相対的に気温が低い気流の援助を受けて、25日未明までは発達した状態が続くものの、その後は次第に弱まりそうです。

替わって、25日は、東~南東風の暖湿流を地形的に上昇させやすい東海地方や紀伊半島東部から南部周辺で雨量がまとまる恐れがあります。


西日本の所々で大雨 大雨の範囲はゆっくりと東へ

2008-08-23 23:49:35 | インポート

①8月23日18時の天気図 気象庁HPより引用

08082318

②8月23日18時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

20080823180000

③8月24日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

08082309

8月23日は、低気圧や前線を含む気圧の谷が本州へ接近してきて、その一部の前線が西日本へ差し掛かりました。

この前線に向かって南からは暖湿流が大量に流れ込んでおり、西日本の所々で大雨となり、24時間雨量で100㎜を越えた箇所が続出しました。

また、地形的に、三重県の一部では、湿った東~南東風が山地で局地的に上昇して発達した雨雲を発生させたため24時間雨量で240㎜を越えた箇所もあります。

さらに、23日夜になって、大阪湾北部沿岸部で局地的に雨雲が発達し、大阪府の一部には大雨・洪水警報が発表されています。

大阪湾周辺では、動きの遅い低気圧が日本海にあり,夜間、山陰沖~山陰地方で発達した雨雲が北東から南西方向へ分布してきて、大阪湾周辺が当該発達した雨雲の南東側に入ると要注意!当該雨雲の南端の淡路島周辺の雨雲の動向二十分気をつける必要があります。当該地域で雨雲が急発達して、大阪湾岸周辺地域に移動して、大阪府や兵庫県阪神地域、京都府南部地域などに、局地的に激しい雨を降らせるようになります。

さて、あす8月24日ですが、引用図①と③を見比べると、今後、紀伊半島沖に低気圧が発生し、日本海の低気圧とともにゆっくり東進する予想です。

東北地方の太平洋側から関東地方では、東圧線の走向が、ハ の字型になる見込みです。これは、特に、この 等圧線が ハ の字型に走る箇所に、南から暖湿流が大量に流れ込みことを暗示するものです。

このため、8月24日は、大雨の範囲は東へ移動し、東北地方から関東地方、東海地方、北陸地方で大雨となる恐れがあります!


これから西日本ではこれから大雨のところも

2008-08-22 19:23:45 | インポート

①8月22日15時の天気図 気象庁HPより引用

08082215

②8月23日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

08082209

8月22日は、東日本では、大気の状態も幾分安定し、昨日のような広範囲での雷を伴なった激しい雨が降ることもなくなりました。

ただ、引用図①より、オホーツク海付近にある高気圧から吹出す涼しい気流が、北東気流となって東の海上から吹き込んだ北日本や東日本の太平洋側では、雲が広がりやすく、気温もぐっと下がり、秋のような1日となりましたね。

天気図上も夏らしからぬ、西から低気圧や前線を伴なった気圧の谷が本州へ接近してきており、すでに九州の一部では強い雨が降り始めている箇所もあります。

引用図②より、明日8月23日は、西日本に前線がかかり、この前線に向かって南からは暖湿流が大量に入り込みますから、西日本の所々で大雨となりそうです。

引用図②より、前線が西日本を西から串刺しにする格好の予想ですが、こういう予想図上の前線の位置には、あまり固執するべきではありません。なぜなら、このブログで、私が以前かきましたように、前線は線としてではなく帯としてとらえるべき だからです。

前線 というより、前線帯(語弊がある表現かもしれませんが)の中で、特に雨雲が発達しやすい箇所は、

<1>暖湿流が流れ込んでくる方角へ地形的に開いている箇所

<2>温位のコントラストが強い地域(相対的に気温が高く湿度が高い気流が流れ込む先端域といえますね)

です。<2>より、暖気移流と寒気移流とが衝突している箇所も同様ですね。

今後は、以上、<1><2>の箇所の動向に注意!ですね。明日8月23日は、西日本太平洋側中心に雨雲が発達し、次第に、紀伊半島沖か四国沖付近に新たに低気圧が発生して、当該低気圧が、本州南岸沿いを(あさって24日にかけて)東進するといったシナリオを描くでしょう。

強い雨の区域も、明日8月23日から明後日8月24日にかけて、次第に東進してきそうです!