気象庁では、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震発生以降、震度5強以上が観測された震度観測点を対象に点検・調査を実施しているところとのことですが、4月21日発表としての結果は以下の通りとのことです。
詳細はhttp://www.jma.go.jp/jma/press/1104/21a/201104211500.pdf をご覧ください。
これによりますと、
Ⅰ:地における震度計の点検結果
ひび割れや傾きなどの異常が認められ、震度観測が適切に行われない状態となっていると判断した観測点は以下のとおりです。
①奥州市胆沢区(おうしゅうしいさわく)(岩手県) 地方公共団体計測・・・・・ 震度計台と地盤との間に隙間、震度計台の傾き
②栗原市志波姫(くりはらししわひめ)(宮城県) 地方公共団体 計測・・・・・震度計台周辺に亀裂
③二本松市針道(にほんまつしはりみち)(福島県) 地方公共団体計測・・・・・ 周辺地盤のひび割れ、震度計台の傾き
④須賀川市岩瀬支所(すかがわしいわせししょ)(福島県) 地方公共団体計測・・・・・周辺地盤の陥没、震度計台の傾き
⑤常陸太田市金井町(ひたちおおたしかないちょう)(茨城県) 地方公共団体計測・・・・・ 震度計台周辺に亀裂
これらの観測点では、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の強い揺れの影響により異常が発生したと考えられます。このため、地震情報への活用を停止するとともに同地震以降(本震含む)に観測された震度は欠測扱いとします。とのこと。
今回の東北地方太平洋沖地震、語弊あるようですが、津波被害がクローズアップされている感じにもとれますが、そこは、モーメントマグニチュード9・0(世界歴代4位)の巨大地震でありましたから、激しい揺れの範囲も広範囲に及んでいることが解りますよね。
Ⅱ: 設置環境調査結果
3月11日から31日までに発生した地震について、観測された計測震度と周辺の観測点の計測震度との比較調査を行いました。その結果、計測震度の差が0.5を超えており、震度階級で2階級の差となる場合があるなど、震度が周辺に比べ過大に観測されていると判断された観測点は以下のとおりです。
観測点名 所属機関 計測震度の差
①鉾田市当間(ほこたしとうま)(茨城県) 防災科学技術研究所計測※鉾田総合公園内に設置 0.73
上記観測点は、震度計の設置状況には異常が認められないため、震度観測自体は正常に行われていると考えられますが、地域代表性という観点から、防災対応のトリガーとして使用するのは不適切と判断し、地震情報への活用を停止します。
今後も点検・調査を継続し、適切に震度観測ができない等、問題のある観測点が認められた場合は、同様の措置とします。
とのことです。
茨城県鉾田市当間と言えば、東北地方太平洋沖地震の本震時には震度6強を、さらに、本震発生およそ30分後の最大余震発生時にも震度6弱を観測しています。
たしかに、鉾田市内の地形図を見ると、鉾田市内中心部では、台地の谷地にあたり、地盤は軟弱な様子ですが、当該、鉾田市当間の鉾田市総合公園は、台地の縁の斜面沿いにあたり、公園内には、台地を切り刻む谷地を形成する、湧水地域を思われる窪地が分布しています。仮に、当該窪地内に、盛土して地盤造成し、その上に震度計設置と言う環境であれば、局地的に、周辺地域よりも一層地震時の揺れが大きくなることが推測できそうですね。
21日夕方のNHKニュースで、この鉾田市当間の震度計設置箇所の映像が流れましたが、どうも、盛土の上に震度計が設置されている様子でしたね。
ただ、今回の東北地方太平洋沖地震でも、計測状況や設置環境結果に問題なしと見られた、と栃木県宇都宮市内 宇都宮地方気象台(市内明保野町)※台地上に位置と推定 が震度5強 と観測されたのに対し、同じ市内白沢町※国道4号鬼怒川大橋近く。鬼怒川周辺の後背湿地に当たる軟弱地盤に位置 では震度6強を観測し、当該白沢町内では、家屋の大破や道路の陥没なども発生していた とのことです。
本ブログでも、過去に紹介しましたように、同一市町村内でも、震度が1階級~2階級異なることは当たり前 と言えます。
地震の揺れは大きくなる特性が強い地域として、
◆軟弱地盤・・・・・
ア:人工的に新たに造成した箇所(埋立地や斜面沿いの盛土部分等)
や
イ:地下水位が高かったり(河川沿いの周囲より低くなった箇所)して、土質がよく締まっていない箇所(山地や台地の谷地や窪地、山地の斜面沿いの表土層が周辺より厚い箇所。これらの地域では、湧水が確認出来ることも多いですから、湧水地帯の周辺も一つの目安になるでしょうね。)
が挙げられますが、
◆地盤の硬軟が地震波が進んで来る方角に不均一な地域
・・・・・地震波が進んでくる方向に垂直に地盤の硬軟が分布する地域では、相対的に地盤の堅い部分と相対的に地盤の軟らかい部分とのコントラストが大きい箇所で、地震波が局地的に屈折して、揺れが大きくなる特性があります。
が挙げられます。