カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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各地で記録的豪雨 水蒸気画像の形状に注目!

2014-09-11 12:44:40 | インポート

?9月11日9時の天気図 気象庁HPより引用

②9月11日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用 ・加工

③9月11日9時の日本付近 日本付近レーダーアメダス合成図 気象庁HPより引用 ・加工

日本海北部をゆっくりと東進する上空に寒気を伴った低気圧と、暖湿流との影響で、昨日より、北海道から南西諸島までの所々で、雷を伴った 激しい雨に見舞われています 。

特に、北海道南部の胆振地方では、一昨日夜遅くから昨日にかけて、所によっては600㍉を超す降水量を観測していますし、昨日は、東京23区などでも、夕方から夜にかけて、一時間に70㍉~100㍉もの、猛烈な雨に見舞われました。

更に、昨日夜遅くから今日朝にかけて北海道胆振地方や石狩地方、空知地方では、所によっては1時間に90㍉をこす 猛烈な雨に見舞われ、他、宮城県沿岸部や大阪府北部でも、本日未明に、1時間に90㍉から100㍉もの猛烈な雨が降りました。

このため、11日9時現在、北海道の 石狩地方 胆振地方全域や、空知地方の一部には、大雨特別警報が発表されております。

こういった局地的に降る豪雨ですが、ピンポイント的に正確に予測することは、現在でも非常に難しいものですが、こういった豪雨が降りやすいと推測される地域については、私自身、水蒸気雲画像の画像の形状に注目しております。

水蒸気画像上で、白く、糸状に反映される画像域に沿って、雨雲が発達しやすいと。さらに、当該糸状画像域が合流している地域では、雨雲が一層発達しやすいといえますね。この根拠ですが、水蒸気画像上の糸状画像域は、中層(上空およそ3000mあたり)で上昇流(周辺より特に湿っている)となっている地域であり、この地域の下層で、地形的特性などの影響で気流が収束し上昇した気流を、中層で引っ張りあげる働きをするためですね。

それでは、引用図②をご覧ください。

引用図②内、記録的な豪雨に見舞われている、北海道胆振地方や石狩地方周辺では、水蒸気画像で、糸状画像域が幾重にも南東~北西方向と、南~北方向へ連なって双方が合流した地域に当たります。

ほか、本州上には、記号A B C D の顕著な糸状の画像域が見られますが、引用図②③比較すると、引用図②の記号A B C D の顕著な糸状の画像域に対応して、レーダーエコー合成図上では、所々に発達したエコー(雨雲)が見られます。

私自身、本ブログ内で、雲画像図は気象のレントゲン写真と呼んでおりますが、大雨時には、水蒸気画像が頼りですよね。さしあたり、水蒸気画像は、大雨時のCT画像になりうるといっても過言ではないと思いますよね


20日、広島市内北部で記録的な集中豪雨 その実態は?

2014-08-21 01:56:02 | インポート

?8月20日3時の天気図 気象庁HPより引用

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引用図時刻頃、広島県広島市内北部の安佐北区や安佐南区の一部で記録的な豪雨が発生、安佐北区の三入では、3時までの3時間に217・5㍉、3時間雨量の最高では257㍉ 意時間雨量では101㍉もの記録的な降水量を観測しています。

ただ、広島県内各地の24時間降水量では、三入から直線距離で10㌔南の広島市中区では、78・7㍉ 南東に30㌔離れた呉では、わずか1㍉と、典型的な集中豪雨ということになりました。

この記録的 かつ 典型的な今回の集中豪雨、私見ですが、Ⅰ:暖湿流の地形的鞍部での収束とⅡ:上空3000m付近の上昇流域 とが合流し、局地的に雨雲を非常に発達させしめた ことが原因と考えます。

まず、

②8月19日22時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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今回の記録的豪雨に先行して、前日22時頃、広島市内周辺に帯状の発達した雨雲Aがかかり、広島市内の一部に浸水被害をもたらしました。このAは、引用画像にはありませんが、北東に進んでいました。

③8月20日0時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版)気象庁HPより引用

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同時刻の水蒸気画像上には、島根県付近から山口県東部を経て豊後水道にかけて、糸状の白い画像域が見られます。これは、上空3000m付近の上昇流域を示すもので、こういった上空3000m付近の上昇流域は、下層の上昇流を加速させる働きをしますので、雨雲あある箇所にやってくると、当該雨雲は発達するものです。

?8月20日0時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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引用図?での雨雲A は、広島県北東部へ進んで弱まりました。が、Aの南西側には雨雲Bが、そして、雨雲Bの南側には雨雲Cが新たに発生。雨雲Bは、雨雲Aの南西側に吹き込む暖湿流が広島県北西部の中国自動車道沿いの地形的鞍部で収束し発生したもの で、雨雲Cは、雨雲Aの南西側と雨雲Bの南側に吹き込む暖湿流が山口県岩国市周辺の地形的鞍部でやはり収束して発生したものです。

⑤8月20日1時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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雨雲Aは、さらに弱まり消滅しましたが、引用図②で紹介した上空3000m付近の上昇流域の東進に伴い、 雨雲Bと雨雲Cとは発達して北東から南西方向へと広がり、双方合流し、一つの帯状の雨雲(線状降雨帯 )を形成し始めました。この線状降雨帯 広島県廿日市市付近の地形的鞍部に沿って特に発達した降水域が見られますが、この地形的鞍部で暖湿流が収束して、さらに、上空3000m付近の上昇流域の接近で、暖湿流収束がより加速させられている状態になっているためです。

⑥8月20日2時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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⑦ 8月20日3時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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⑥⑦より、引用図⑤で紹介した、雨雲Bと雨雲Cとが合体した線状降雨帯は、上空3000m付近の上昇流域のアシストを受けて 、廿日市市付近の地形的鞍部での暖湿流の収束は加速している模様で、さらに雨雲の活動自体は発達。当該降雨帯の南側縁を見ると、入 の字型になり始めているが、これは、暖湿流が、ⅰ:廿日市市付近の地形的鞍部と、もう一つ、ⅱ:広島市内中心部に流れる太田川沿いの地形的鞍部にも暖湿流を呼びこみ収束させている様子である。そして、 これら、暖湿流収束ⅰ.ⅱが合流する広島市内北部付近で、とりわけ強い降水域(1時間80㍉以上)がかかり続けているのがわかる。

以上のプロセスが、今回の記録的局地豪雨のたどったストーリーというわけですね。

帯状の発達した雨雲(線状降雨帯)が現れた場合、その東~南~南西側では要注意!新たに線上降雨帯が発生・発達する場であるためです。


台風11号は高知県に上陸し、四国東部から近畿地方北部を縦断!

2014-08-10 17:29:55 | インポート

①8月10日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月10日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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?8月10日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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大型の台風11号ですが、10日朝に、高知県安芸市付近に上陸、その後、四国東部を北北東へ進んで、10日10時過ぎに兵庫県赤穂市付近に再上陸、その後、近畿地方西部から北部を縦断、10日昼過ぎには若狭湾へ達しました。

台風の接近・通過に伴って、昨日には、三重県に大雨特別警報が出されて、48時間雨量で500㍉以上の豪雨を紀伊半島や四国東部などで観測し、風につきましても、高知県の室戸岬で、最大瞬間風速52・5㍍毎秒を観測し、和歌山県友が島や兵庫県神戸空港で、瞬間で40㍍毎秒を超す猛烈な風を観測しております。

今回の台風11号の特徴としまして、台風の外縁部を流れる暖湿流と、太平洋高気圧の外縁部を流れる暖湿流とが本州付近広範囲に流れ込んで、日本海には前線もあったため、当該暖湿流もしくは、暖湿流と前線とが、地形的特性を受けたことなどの要因で、局地的に雨雲が非常に発達し、台風の移動速度は四国へ上陸する前までに時速30㌔以下の遅かったため、非常に発達した雨雲が同一地域に留まる状態が長時間継続したため、大雨災害が顕著であった台風といえます。

引用図②③より、台風を取り巻く雲の集団の東側にあたる、東北地方南部周辺から関東地方周辺甲信越地方南部周辺にかけては、水蒸気画像上で、糸状に白く輝く画像域が何何本も連なって、一つのひときわ白く輝く画像域を形成しており、その画像域の南側では、末広がりの三角形型の白くぼやけた画像域が見られます。これは、台風の外縁部を流れる暖湿流(南西風~南寄り風)と太平洋高気圧の外縁部を流れる暖湿流とが、東北地方南部周辺から関東地方周辺甲信越地方南部周辺で合流している状態を示すものです。

引用図③より、上空1000mから2000m付近の風速風速が、東北地方で南東風~南南東風、に対し、関東南部では、おおむね南寄り風で、八丈島では、南南西風~南西風となって、東北南部から関東地方では風速がおおむね20㍍毎秒と非常に強まっていることが、前記の暖湿流同士の合流を物語っているものです。

前記、水蒸気画像上の、糸状に白く輝く画像域、実は、発達した雨雲が形成されていたり、発達した雨雲を形成させるポテンシャルが極めて高い個所なのです。こういった箇所で発生した帯状の発達した雨雲が、竜巻などの突風災害も発生させることも多いですから要注意です!


台風12号の雲の形は渦型ならぬ リング(輪)型 こんな台風はリング部分で強雨 リング周辺で強風となり

2014-08-01 00:52:16 | インポート
台風12号の雲の形は渦型ならぬ リング(輪)型 こんな台風はリング部分で強雨 リング周辺で強風となります!

?7月31日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月31日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版)気象庁HPより引用 ・加工

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南西諸島に台風12号が最接近しています。

台風を取り巻く雲の集団は、通常ですと、螺旋状でかつ、渦巻いた雲の集団となっていますが、引用図②より、今回の台風12号を取り巻く雲の集団、渦巻いてはいなく、全体として、リング(輪)型となっています。

勿論、このような状態の台風は、勢力は弱いものですが、台風に伴う特に強い雨は、当該リングの部分で、また、当該リングの周辺部で、特に風が強くなるという性質があります。台風の中心付近では、比較的、雨も風も弱めで推移します。

事実、引用図②での、台風を取り巻くリング状の雲の箇所Aが、31日19時30分過ぎから南大東島を通過しましたが、通過し終わるあたりの20時前に、南大東島では、最大瞬間風速30・6m毎秒を、10分間の平均でも20m毎秒近い非常に強い風を観測しております。

さらに、引用図②より、今回の台風12号、特に、台風の外縁部を廻るようにして、本州の南海上から暖湿流が大量に本州上に流れ込んできています。8月1日は、この暖湿流がぶつかる地形となっている、九州南部や東部、四国 紀伊半島では、雨量がまとまる恐れがありますから、充分に警戒してください!


東北から九州までの広範囲で猛烈暑さ。これも台風の置き土産!

2014-07-25 23:46:22 | インポート

①7月25日22時までの全国各観測地点最高気温分布図 気象庁HPより引用

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②7月25日15時の天気図 気象庁HPより引用

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③7月25日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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?7月24日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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今週水曜日以降、西日本の各地で始まった猛烈な暑さは、25日には、とうとう東日本や東北地方まで広がり、岐阜県多治見市では最高気温39・3℃を観測したほか、名古屋、岐阜で38・2℃、甲府で37・7℃、大阪で37・1℃を観測、関東地方沿岸部でも、東京都心で35・6℃の最高気温を観測して本年初の猛暑日となりました。

ほかにも、横浜や千葉でも本年初猛暑日を観測し、全国で927地点ある観測地点のうち、最高気温が35℃以上となる猛暑日を、東北地方~九州地方までの広範囲にわたる187地点で観測しました。

この猛烈な暑さですが、引用図?→③と比較してわかるように、昨日より、西日本の上空3000m付近まで、反時計廻りの気流となる高気圧性循環となっておりましたが、25日には、この高気圧性循環、東北地方まで範囲が広がっております。つまり、本州上に、上空まで勢力を広げる高気圧にすっぽりと覆われたため、上空から地表まで気温が状上昇したためであります。

この、上空まで勢力を広げる高気圧、これは、中国大陸東岸を昨日から台風10号(25日15時には温帯低気圧に変わりましたが)が北上しました。台風の進行方向右側後方では、台風の渦巻に相反して下降気流が卓越して、この付近にある太平洋高気圧の勢力を強める働きをするために発生したもの。言ってみれは台風の置き土産といえるでしょう。

ちなみに、今回のように上空まで勢力のある高気圧に覆われる場合、日中、海上から内陸部に海風が入り込みますが、この海風は、せいぜい上空1000m程度までした及ばないため、当該海風が抑制されてしまい、このため、内陸部のみならず沿岸部での日中の気温をさらに上昇させてしまう作用があります。引用図①より、猛暑日観測地点が、東北以西の各地の内陸部のみならず沿岸部にもかなりみられることが、このことを物語ることなのです。