カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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あちこちで大雨続く いったい原因は何?諸悪の根源は寒冷渦なり!!

2010-06-30 10:21:02 | インポート

①6月30日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月30日6時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③6月30日6時全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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④6月29日21時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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この数日、梅雨前線のかかる九州や中国、四国地方のみならず、ほぼ全国の所々で大雨を観測しています。

いったい、大雨の原因は何か?と言うところですが、この時期、大雨となると梅雨前線ばかりがに関心がいきがちですが、今回の大雨、梅雨前線ばかりが原因ではないと断言できそうです。

引用図①②を見比べてみると、梅雨前線が東シナ海から九州を通り四国付近へ延びていますが、雲画像上では中国大陸東北部から朝鮮半島の北東に大きな雲の渦(だいぶ形はぼやけていますが)があり、この雲の渦に伴う雲の集団が、所々に雲の隙間があるものの、本州付近では、北日本では南東~北西方向もしくは南~北方向へ、 関東以西の各地では、ほぼ南西~北東方向へ広がって、全体的に螺旋状に分布している様子が解ります。引用図③より、当該螺旋状に分布する雲の下で強い降水を観測していますよね。

この、本州付近に螺旋状に広がる雲の集団は、そうです。引用図④より、寒冷渦ですね。

以前、本ブログでも記事にしましたが、今回のごとく、中国大陸東北部から朝鮮半島の北東荒利に寒冷渦が解析されているようですと、梅雨は、まだまだ先が長いと言うわけですが、寒冷渦というもの、上空(5500m付近)に寒気を伴っているばかりでなく、その南東~東側の下層(上空1500m以下)には暖湿流が大量に流れ込んでいるものですから、大気が不安定となります。

本州付近の広範囲に暖湿流が大量に流れ込んでいるため、ほぼ全国的に高温状態がここ数日続いているし、大気が不安定ですから、全国的に大気が不安定で強い雷雲が発生しやすく、梅雨前線の周辺では、一層、対流活動が高まり、強い雨雲を形成させて、大雨をもたらすという訳ですね。

今回の大雨、原因は、前記したように、中国大陸東北部から朝鮮半島の北東に位置ずる寒冷渦の影響が大きいと言えそうです。諸悪の根源は寒冷渦なり!!と言っても過言ではないでしょう。


日本付近には梅雨前線と寒冷渦が同居 梅雨としては未成熟な状態ですね!

2010-06-21 23:57:28 | インポート

①6月21日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月21日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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先週、東北北部まで梅雨入りして、九州南部を中心にして、連日、大雨が降り続いています。

まるで、梅雨末期を思わせるような天気ですが、引用図②にある、朝鮮半島の北東側にある雲の渦に注目です。これは、寒冷渦で、この地域で、偏西風帯が蛇行し、当該渦巻きの周辺部では、上空に寒気を伴っているものです。

当該寒冷渦に伴う上空の寒気の一部が、本州上空まで流れ込んでいますので、昨日、本日と、本州の内陸部を中心に、雷を伴なった強い雨が所々で降りました。

梅雨と言うもの、南方海上に年間通して定常的にある中緯度高気圧(日本付近では、そうですね。太平洋高気圧と呼ばれて、夏の顔役となるものです。)が、高緯度地域に分布する寒冷な気団と衝突しながら、勢力を次第に北へ広げていく過程で偏西風帯を蛇行させることで発生するものですが、

梅雨時期の偏西風帯の挙動を時系列で見ると

Ⅰ:偏西風帯がチベット高原で2つに分断し、一つはa 本州南海上に、もう一つは、bチベット高原からモンゴル付近を通り、北海道の北を流れるようになる。前記aに対応して梅雨前線が形成される。

Ⅱ:2つに分断した偏西風帯の、前記bの蛇行が顕著となる

Ⅲ:前記bの蛇行が顕著となる箇所が、樺太付近~千島付近に移行し、シベリア~オホーツク海付近には気圧の嶺が発生し、当該気圧の嶺に対応して、オホーツク海高気圧が発生。

Ⅳ:太平洋高気圧が次第に勢力を北へ広げて、大陸から日本付近の偏西風帯の分断は解消し、本州各地では梅雨明けとなる。

以上、ⅠからⅣのスタンスをとるものですね。

6月21日現在、前記したスタンスでは、ようやく、Ⅱに移行した状態ですよね。まだまだ、梅雨はこれから佳境を迎えるわけです。


ようやく関東甲信でも梅雨入り

2010-06-14 23:52:07 | インポート

①6月14日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月14日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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ようやくと言った感じでしょうか。気象庁より6月14日に関東甲信越地方や北陸地方も梅雨入りしたと見られると言う、梅雨入り宣言(実際には、6月14日には、東北地方南部まで梅雨入り宣言が出されましたが)がありました。

関東甲信越地方の梅雨入りは、昨年と比較すると11日遅く、平年よりも6日遅くなっています。

500hpa(上空5500m付近)の気流の流れに注目すると、

◇梅雨最盛期は、偏西風帯はヒマラヤ山脈で2つに分断されて、一つは東シナ海から本州南岸にかけて と もう一つは、モンゴル付近を通って、オホーツク海から日本海北部にかけて、気圧の峰を形成し、その東隣の千島列島の東には気圧の谷があるものです。

◇そして、太平洋高気圧の勢力が強まると、前記した、ヒマラヤ山脈で2つに分断されていた偏西風帯はその分断は解消して、オホーツク海から日本海北部にかけて、気圧の峰も消滅した状態が本州の梅雨明けとなるものです。

海引用図②より、6月14日9時現在、偏西風帯はヒマラヤ山脈で2つに分断されている形跡はあるものの、まだ、オホーツク海から日本海北部にかけて、気圧の峰や、その東隣の千島列島の東には気圧の谷はありません。

まさに、梅雨も始まったばかり。これから と言ったところでしょうね。


福島県内で強い地震 最大震度5弱を観測

2010-06-13 23:47:08 | インポート

引用図は6月13日12時33分 福島県沖で発生の地震の震央と各地の震度分布図です。気象庁HPより引用。

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6月13日12時33分頃、東北地方を中心に強い地震がありました。

震源地は福島県沖 ( 北緯37.4度、東経141.8度)で震源の深さは約40km、地震の規模(マグニチュード)は6.2と推定されます。

この地震で、福島県相馬市中村 と 福島県浪江町幾世橋 では、震度5弱を観測しました。

日本国内で震度5弱以上の揺れを観測した地震は、本年2月27日 沖縄本島近海で発生した地震以来となります。

なお、この地震は、東北地方や関東地方が載っている北米プレートの下側に沈み込む、太平等プレートとの境界付近で発生した地震、そうですね プレート間地震と推定されます。

東北新幹線等などの交通機関が地震発生直後、一時ストップした他は、この地震による目だった被害は発生したいない様子ですね。まずは一安心ですね。

今回の地震発生に関しまして、気象庁からは、緊急地震速報は発表されませんでした。気象庁の緊急地震速報の観測・発表システムからは、今回の地震は、最大震度4と推定されたためですね。一般向けの緊急地震速報は、最大震度5弱以上と予想される場合に発表されますから。

気象庁の緊急地震速報の詳細や問題点は、本ブログの平成19年10月1日の記事を参照お願い致します。

地震の揺れ方は、地形的特性による局地性が極めて強いもの。その地点の地盤や、震源地からその地点までの地下の構造等を受けて、地震波は、局地的に増幅し、強い揺れを発生させてしまいます。地震波のこういう特性までは、緊急地震速報を発表するシステムには盛り込まれていません。


東日本の広範囲で雷伴なった強雨 雷雲発達は上空寒気流入場ばかりではありません!

2010-06-04 23:53:41 | インポート

①6月4日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月4日15時の全国レーダーアメダス合成図 気象庁HPより引用

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③6月4日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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6月4日は、北日本や東日本上空には、上空5500m付近で-15℃以下となる強い寒気が流れ込んで、所々で雷雲が発達して、局地的に強い降水を観測した箇所もありました、

6月4日のように、雷雲が発達して、強い降水が発生する場合、ややもしますと、上空の寒気(上空5500mの気温の動向)に目を向けられがちですが、雷雲が発達する場合、上空(上空5500m付近)に寒気が流入するだけでは事足りないですよね。

雷雲が発達する場合

Ⅰ:上空5500m付近に強い寒気が流入する

ことは去ることながら、雷雲を発生・発達させる上昇流(上空3000mより下側ですが)を如何に呼び込むか?が重要ではないでしょうか?

このために、

Ⅱ:下層(地表付近のみならず、上空1500mより下側)で気流の収束があり、湿っていること。上空1500m付近の相当温位が混んでいる部分があれば、その箇所に雷雲が発達します。

Ⅲ:前記Ⅱの状態で上昇した上昇流を維持させるために、上空3000m付近の上昇流の場となっていること(すなわち、500hpa※上空5500m付近 の正渦度移流の場となっていること。)

以上Ⅱ、Ⅲも不可欠であると、私は考えます。

引用図③(上側)より、6月4日9時現在、前記Ⅲを満たしている様子が判りますが、4日の関東平野の各地だけ見ると、上空1500m付近で、湿数(気温と露点温度の差)が9程度と、さほど湿ってはおらず、このため、雷雲の発達も幾分抑制されて、広範囲に大雨警報クラスの激しい雨を観測 と言うほどではなかった訳です。

なお、蛇足ですが、前記Ⅱ、Ⅲの双方の状態が顕著になる場合、雷雲は、500hpaの正渦度移流の方向に数個の集団が、帯状に分布・発達するようになるのが特徴です。