彼岸
ぼたもち
おはぎ
「秋分の日じゃけ、おはぎにしたよ。お店で買(こ)うてきたもんじゃけど」
「うまそうなおはぎじゃの」
「うち、いっつも迷うんじゃけど、「おはぎ」と「ぼたもち」って何が、どう違うんじゃろ?」
「どう違ういうても、おはぎもぼたもちも、同じもんなんじゃ」
「…同じもんなら、単に呼び方が違ういうだけのこと?」
「ほうじゃの。たとえば、春のお彼岸にいただくのがぼたもちで、秋にいただくのがおはぎ、という分け方もある」
「おはぎのはぎいうたら、萩(はぎ)いう名前の秋に咲く花があるね」
「萩から「おはぎ」。ぼたもちの名前の由来になったといわれるのが牡丹(ぼたん)で、こっちは春の花じゃの」
「季節によって呼び方が変わるというわけじゃね」
「外のあんで言うと、こしあんのものをぼたもち、つぶあんのものをおはぎ、と言い分けとるそうじゃ」
「こしあんとつぶあんか…。どう違うん?」
「あんのもとになる小豆(あずき)は、秋にとれる」
「ほうじゃね」
「とれたばっかりでやわらかい小豆は、皮をつぶせる。そこで秋はつぶあん」
「…ということは、年を越して春になった小豆は皮が固うなる。その皮を取った小豆を使うけぇ、春はこしあんになる、というわけじゃね」
「もうひとつ、中の米をもちの状態までついたものをぼたもち、米粒が残っているものをおはぎ、という区別もされとるそうじゃ」
「へぇ」
「ついでに言うと、米粒が残っとるものを「半殺し」、残ってとらんものを「皆殺し」とも言うそうじゃ」
「物騒な表現があるもんじゃね」
「お義母さんの作ってのおはぎは、つぶあんの半殺しじゃったよ」
「わしのお袋の作るおはぎは、いっそ(=全然)甘うなかった」
「確かに…」
「店で売りよるおはぎは、なんでこんな甘いんじゃろか? いうくらいじゃったけぇの」
「酢の物も、これでもかいうくらいすっぱかったね。うちのお母ちゃんの作る酢の物は、甘酢を入れた甘口じゃったけど」
「お袋の里の味いうたら、それまでじゃが」
「うちらが結婚してから、お義母さんの味付けも変わったよ」
「いつの間にか、おはぎの味が甘うなってきたもんの」
「酢の物の味も、まろやかになったし」
↓おはぎとぼたもちについては、こちら↓
「おはぎとぼたもち、本当の違い」[生活家電] All Abou
「今日は、おはぎとぼたもちの違いについて話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」