タイトル-----安泰の時こそ、乱が興らないように心しましょう。 第329号 21.12.24(木)
〈君子、------。存すれども亡(ぼう)を忘れず。治にいて乱を忘れず。是(ここ)を以て、身安(みやす)くして国家保つべきなり。〉
通訳「国家にせよ、他の物にせよ、いま存在していても、いま泰平であるからといっても、いつ乱世にならないとも限らない。そして何時亡びるかもわからない、いつ無くなるかもしれない、ということを常に忘れないようにしなければならない。」
これは聞きなれた言葉である。太平の世においても、常に武を練り、戦乱のときの備えを怠らないようにしたいものである。現在の平和・幸福に安住することなく、常に将来の万一の場合に備え心を配ることが大事であると思うのだが、今の日本人は、危機感に乏しいと思っているのは私だけではないと思います。
いわゆる、いざという時に備えるということは、学問の世界においても同様でしょう。確かに勉強するよりか遊んだ方がいいであろう。
特に現今は、電子辞書などに頼って、本は読まない、文字は書かない、という人が増えています。そういう時代に翻弄されていると、万一、事件に遭遇した時など、自分の意見を言おうとしても論理構成が出来ない等、極めて不利な状況に追い込まれかねないのです。
冒頭の言葉は国家論であるが、国家を構成しているのも実は、人の集合体である。だから、日常的に身体を鍛錬することが必要であるように、頭の訓練も必要であり、精神を練ることも極めて大事なのです。
連日、そういう事象に対処した時のため、人々にお役に立つようにとブログを書き続けていますが、かねての心がけが大変大事なのです。
私は毎日、『南洲翁遺訓』を読むことを日課にしていますが、難解であっても続けて行けば、理解出来るようになってきます。学者みたいに詳しくならなくても、自分の役に立つことが出来ればそれでいいと思います。「乱を忘れず」というのは精神のあり方、気構えの事をも言っているのです。
全てが平和、安泰と言うのは一方で、全員が腰抜けになるという平等性のマイナス面があるようにも思われるので、臨機応変に対応出来るように心掛けるべきが賢明な処方策だと言えましょう。