晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 鋳物師 3/1

2012-03-01 | 雨読

2012.3.1(木)晴

 「キューポラのある町」はサユリストにとってはとても懐かしい映画だが、吉永小百合さん17才の時の作品である。そしてこの映画の舞台が鋳物の町埼玉県川口市なのである。キューポラとはキュポラ炉のことであって、鋳物用の溶解炉のことであって川口市にはいくつもあったのだろう。川口市における鋳物の歴史をその起源から大正時代まで追って書かれたのが本書である。

 「鋳物師」内田三郎著 埼玉新聞社 昭和五六年発行 京都府立図書館から借本

 既に雨読で紹介済みの「真継家と近世の鋳物師」(雨読2012.1.29~30参照
では古文書を主にした真継家から見た鋳物師が描かれており、技術的なものや具体的な活動の様子が解らないので、是非そういったものについて書かれている書物を探していた。学術論文的なものはいくつかあるようだが、本書は実際に鋳物業に携わられた経験のある著者がわかりやすくまとめられているので大変参考になった。
 例えば実際の鋳物師についても、「真継家と近世の鋳物師」では古文書の中から抽出しているのだが、本書では主に梵鐘や灯籠といった実際の製品の銘から辿っているので実にリアリティである。P1010231
 
表紙の絵は川口鍋釜製造図(明治初期)


 著者の目の付け所に感心したのは、江戸名所図会や江戸川柳などから、鋳物師や鋳掛の様子を表現されていることだ。河口鍋匠というタイトルの絵では甑(こしき・地金を溶解する炉)を中心に作業のすべてが解り、「繁昌は釜屋芳町小網町」という川柳は釜屋の繁昌ぶりを表現していて面白い。芳町や小網町というのは男娼がいたので上手くしゃれたようだ。
 同じく江戸名所図会で「鍋屋の井」といって吹抜き井戸(掘井戸では無くて、水が噴き出している井戸のこと)の絵が紹介してある。川口は地下水が豊富で云々と説明がしてあるのだが、全国の鋳物師の居所を調べていると実に清水の地名が多いのに気付くのだ。何鹿郡上林の鋳物師村も清水である。地下水、湧き水と金工の関連性について未だ発見していないのだが、何かありそうで期待しているところである。川口に清水という地名は無さそうだが、菖蒲川という川が流れている。これは清水(しょうず)と関連あるのかも知れない。P1010233
 川口が鋳物の町として発展したのは、江戸、東京という大消費地を控えていたこと、幕末から明治にかけて大砲や軍需品の需要があったこと、いち早く機械など生産財としての鋳物を手がけたことなどが考えられるだろう。
 借本でもあるし、内容が多岐にわたるので再度読んでメモを取っておきたい。

【作業日誌 3/1】
郵便受け箱作製

今日のじょん:昨晩風呂に入っていると、隣のチコがやたらと吠えた。少ししてじょんも吠えるので又しても鹿が来たかと思ったが、風呂ではどうしようもない。朝になって見ると、しっかり玄関坂の蔦がやられていた。P1010218 P1010225




  少し行くと波多野さんの畑がすっかり食い荒らされていた。大根とケールのような菜っ葉である。これら一連の害が同一の鹿だとすると、川からの襲来が考えられるが、山側にも足跡があり、木小屋横のネットがはずれたところに侵入跡を発見、やっぱり山のものかな。遂には隣の裏で大根の食い残しを発見、鹿が持ち運びするかなあ?でも鹿の糞も落ちてるのだ。P1010228 P1010223
 
 

 

我が家の侵入口と食い散らかした大根。

 

コメント
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