さくらんぼコンサートは長距離移動。つまり絶好の読書タイムだったわけですが、思っていたより睡眠タイムになってしましました。
そのために準備していたのが逢坂冬馬氏の「同志少女よ、敵を撃て」。(ちなみに「教養としてのチャップリン」は読み終えました。お薦めの良書です!)実はこの本、購入は去年だったのですが、ロシアのウクライナ侵攻とタイミング的に完全に被っていたことが少し気が重く、「積読」状態でした。しかしいつまでもそのままという訳にもいかないので(勿論読みたいという意思もありますし)、ついに読み始めたのが先週です。読み始めたら一気に引き込まれ、あっと言う間でした。
舞台は第二次世界大戦中の独ソ戦。故郷の村をドイツ軍に急襲、焼き払われ、全てを失った少女セラフィマが狙撃手として生きていく様を描いた物語。小説ながら、史実が下地になっているわけで、そのために作者が膨大な資料を読み込んでいることがわかります。
話の中で、セラフィマを狙撃兵にしていく狙撃兵訓練学校の教官、イリーナが、生徒たちに二度(授業の中でと、卒業の際)「何のために戦うか」という質問をし、それぞれが考えた答えを述べるというシーンが強く印象に残りました。主人公は「女性を守るため」と答え、各々がその信条を胸に最後まで戦います。おそらく、戦場で過酷な状況に陥った時ほど、ここに疑念を持っては生きていけないということが、百戦錬磨の教官には分かっていたということでしょう。
現実世界を顧みて、様々なことを考えさせられる作品です。一日も早く平和な日が戻りますように。
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