東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

都内のオアシス

2023年05月08日 23時40分09秒 | 美術


帰省した際、東京で美術展に行って参りました。何しろGW真っ只中、大型企画展をゆっくり見るなんて夢のまた夢、、、というわけで、かねてから行って見たかった場所で、ややマニアックそうな美術展へ。
ご存じでしょうか、渋谷の松濤美術館。行ってみたかったのは、この建物が、白井晟一という有名な建築家によるものだからです。

その名前を知ったのは、大学生時代に生協で購入した建築の本の中。様々な建築家の手によるドローイングが載っていたのですが、その一枚に釘付けになりました。それが白井晟一の原爆堂計画案です。
この案は依頼されたものでも企画されたものでもなく、丸木位里・俊夫妻が、原爆図を納める美術館が欲しいと新聞紙上で語っていた記事を読み、一気に構想が浮かんで描いたもののようです。静かなのにものすごいエネルギーを感じます。

松濤美術館もとても素敵な建物で、これを目当てに来ている方も多いようでした。
美術展はエドワード・ゴーリーという絵本作家の原画展なのですが、その絵がなんとも精密且つシュール。話の内容はかなり救いのないものが多く、子どもが喜びそうとはあまり思えないのですが、美術品としての価値はよくわかりました。それくらい精緻なのです。

一通り見終えて、中庭(庭ではないのでそう言ってよいのかわかりませんが)に出ると、ぽっかりと青い空。白井晟一は天才だな、と、この建物一つで実感しました。外であって内であり、光と陰のコントラストが見事です。ゴーリーも喜んでいることでしょう。

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五味太郎作品展

2022年11月07日 21時58分57秒 | 美術

天童市美術館にて開催中の「五味太郎作品展」に行って参りました。沢山の絵本でお馴染みのイラストは、見ればすぐに「あっ、これ知ってる!!」と思うはずです。

印刷された絵は見慣れていましたが、今回原画を見て、インクや紙質がダイレクトに反映した味わいに、改めて五味さんの絵のぬくもりを感じました。美しいデザインは、今みても新鮮です。

私が小さい頃にも側にあった絵本「きんぎょがにげた」の原画は、残念ながらありませんでしたが、ショップでポチ袋を発見!迷わずお買い上げです。久々に童心に返った休日でした。

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織りの芸術

2019年11月16日 22時29分25秒 | 美術

写真は、かの有名な鳥獣戯画。の、織物です。
今日は山形が世界に誇るオリエンタルカーペットの感謝祭。この機会にと、かねてより訪問してみたかった工房にお邪魔しました。
その入り口に飾ってあったのが写真の鳥獣戯画。まさかこんなに精緻に織りで再現できるとは…。凄い職人技ですね。

もうすぐオープンする駅前の県民ホールのカーペットや緞帳も、こちらの力作だとか。楽しみです!是非沢山の人に親しまれるホールになって欲しいですね。

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側に置くなら

2019年07月04日 23時07分39秒 | 美術

さくらんぼコンサートを終え、山形に戻る前に、渋谷Bunkamuraのザ・ミュージアムに寄って「印象派への旅  バレルコレクション」の美術展を観てきました。

スコットランドの海運王、ウィリアム・バレルが収集した名品の数々。今回の展示は、本国の美術館が改装するため実現したそうです。

もし「生涯転売をしないで手元に置くことを条件に、好きな絵画を選んで良い」と言われたら、このコレクションから選びたい。そう思えるような、とても魅力的な絵のコレクションでした。奇をてらうことのない、見ていて心が鎮まる、そんなものが多かったように感じます。名画というのは、往々にして観る者を圧倒する一方で、疲れさせることもありますが、このコレクションは、絵としても紛れもない名品ながら、側に置きたいと思わせられる優しさに満ちていました。バレルという人も、忙しさの中で安らぎを絵画に求めていたのではないか…そんなことを想像させられます。

写真は、私は知らなかったのですが、アンリ・ル・シダネルという画家の「雪」というタイトルの絵(のポストカード)。カードだと、ただぼんやりとした絵にしか見えないかもしれませんが、実物の雪は、真珠の色のような、ピンク味を帯びた白で、雪の静けさと温もりの感じられるあたたかい絵でした。

最終日だった会場は多くの人で溢れていましたが、皆思い思いに、静かに絵画の世界に向き合っているようでした。良い時間を頂きました。

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名脇役

2019年05月07日 22時27分34秒 | 美術

山形への新幹線乗車前に、東京ステーションギャラリーに行ってきました。

開催されていたのは、フィンランドのアーティスト、ルート・ブリュックの展示会。セラミックを中心としたモザイク壁画などが多く、写真撮影が許されていました。

私が素晴らしいと思ったのは、作品がギャラリーの空間にとても合っていたこと。当然ながらここに合わせて作ったわけではないのですが、特別にあつらえたと言われても信じてしまいそうです。

ブリュック作品のあたたかみと同時に、歴史ある煉瓦の壁の名脇役ぶりにも心奪われた美術展でした。

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豊穣なる黒と白

2019年05月05日 18時46分29秒 | 美術

帰省ついでに、千葉市美術館に行って参りました。私がみたのは「ピーター・ドラッカーコレクション水墨画名品展」。大きな特別展は他にあり、企業が購入後、こちらの美術館に委託しているというこのコレクションの展示は、常設展に近い扱いで、入場料なんと200円!しかもJAF会員はさらに100円引きで、なんと100円で名品の数々を見てきました。千葉市在住の方々、これを見ない手はありませんよ!

ドラッカーは、以前「もしドラ」フィーバーで一気に注目を集めた、経営の神様のように言われている、あのドラッカーです。実は筋金入りの日本美術愛好家で、今回はそのコレクションだったものの一部を展示しています。

実は白状しますと、墨絵とかってそんなに興味なかったんですが。圧倒されました。これまできちんと見てこなかったのが悔やまれます。オーストリア人のドラッカーに水墨画の良さを教えられるとは…。

線の美しさ。濃淡による陰影、そしてそれが知らしめる光の美しさ。全てを描き込まないことにより余白を残し、想像を遊ばせる楽しさ。堪能致しました。

同時開催されていた特別展も面白そうだったのですが、見るのが遅い私は、おそらくそちらを見てしまうと、こちらの展示は足早に通りすぎることになっていたでしょう。派手さがないだけに、じっくり向かい合ってこそ良さを味わえるので、これから行く方は、どうかたっぷり時間をかけて御覧下さいませ!

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光と陰

2018年12月24日 23時12分22秒 | 美術

今日は白鷹あゆーむにてコンサート。響きも良く、いつもあたたかい雰囲気をつくって下さるお客様に恵まれた、大好きなホールのひとつです。今日も会場いっぱいのお客様にいらして頂きました、どうもありがとうございました!

さて、あゆーむではコンサート以外にも、写真家長倉洋海氏の展示会も開催中でした。それに合わせ、ロビーでは長倉氏の写真集やポストカードも販売されており、それらがあまりに素敵だったので、自分のクリスマスプレゼントに…と言い訳しながら買ってしまいました。

写真集は世界の色をテーマにしたもので、赤、青、緑、白、黄、黒の6色があったのですが、ざっと全部眺めた中で、一番気に入った写真が多かったのが黒でした。
何故なんだろうと考えた時、やはり黒という色があるからこそ、感じられる光がことのほか美しいからなのでしょう。是非書店で手にとってみて下さい!

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近現代工芸展

2018年11月26日 22時45分10秒 | 美術

東根市のまなびあテラスにて開催されていた、近現代工芸展。かねてから行きたかったのですが、なかなかスケジュールが合わず、最終日の昨日、ようやく見ることが出来ました。

展示作品数はそれほど多くはありませんが、どれも粒ぞろいの名品です(そして何と、フラッシュをたかなければ写真撮影可)。その細かい細工に、どれ程の技と時間と労力が費やされたのかと思うと、想像しただけでめまいがしてきます。
その中で気になったものに、富本憲吉の書いた絵巻がありました。
書かれているのは、己の無力さに対する嘆き、苦しみ。富本ほどの人でも(だからこそ、なのかもしれませんが)逃れられない「只くるし」という心境。胸を衝かれます。

名人と言われる人ほど、理想との距離を知り、苦悩してしまうものなのかもしれません。

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子どもの絵

2018年08月14日 23時13分41秒 | 美術

「世界の巨匠たちが子どもだったころ」という興味深いタイトルの美術展が、山形美術館で開催されています。先日、休日を利用して行ってきたところ、想像以上に面白く、楽しい時間を過ごすことが出来ました。

ピカソやモネ、平山郁夫らが「栴檀は双葉より芳し」を越えるものだというのは言うまでもないのですが、今回私が一番印象深かったのは、「高村咲子」という画家の作品。ご存知ですか?高村光太郎のお姉さんです。
そしてこの栗の絵は、私の記憶が間違っていなければ、9才の作品。見れば見るほど、私の記憶が間違っている気がして仕方がない。いや、絵に九才と書き込まれているので確かか。。。まあ間違えていたとしても、少女時代の作品には違いありません。なぜなら彼女は少女のうちに亡くなってしまったからです。惜しい…惜し過ぎます。


8月26日まで の展示です。ご覧下さい☆

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フィンランド・デザイン展

2017年12月23日 22時11分39秒 | 美術

ホリデーです。仙台に来るとその気分が一層高まるのは、太平洋側ならではの、空の青さによるのかもしれません。
今日のお目当ては、宮城県美術館の「フィンランド・デザイン展」。久々の美術館、勇んできたのですが、何やらいつもと様子が違います。


それもそのはず、ガラスケースの中にあるのは、日常に使うグラスや皿、あるいは家具だったり。中には「あ、これ持ってる」というものまでありまして…。自分の愛用品をガラスケース越しにみるのは、何とも奇妙なものです。美術館というと「非日常」を楽しむというところもあると思うのですが、身近すぎて、何だか戸惑ってしまいます。

 入場料をそれなりに払っているだけに、若干モヤモヤした気分でしたが、ふと気づいたのは、「身近なものが美術館にある」のではなく「美が身近にある」、それこそがフィンランドデザインの真骨頂なのだということです。日常的に美に接する、これは最高の贅沢かもしれません。その証拠と言っては何ですが、展示の終着点にあるミュージアムグッズ売り場の混雑の凄いこと。アラビアの食器、マリメッコのポーチやバッグ…そう、フィンランドデザインは手元に置いて使いたいものなのです。

ところで、この特別展では、常設展も一緒に見られるようになっています。子どもの頃読んだ村山知義の絵本「しんせつなともだち」の原画、私の好きな安井曾太郎や、好きじゃないけど強烈なオーラを持つシーレなどの名品を見て、満足して家路に着いたことをつけ加えておきます。

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無限に深い線

2017年01月18日 21時58分55秒 | 美術

 先日の秋田滞在の折、時間を見つけて秋田県立美術館へ行ってきました。こちらでは藤田嗣治の大作が収蔵されていて有名ですが、今回のお目当てはその藤田の特別展です。 

 「無限に深い線」と名付けられたその展示は、交流のあったジャン・コクトーの文章に添えられた挿画や、人物、動物などのデッサンが中心となっていました。さすがに「線」に注目しただけあって、迷いの無いその線の美しいこと!「直感から生まれた線の方が的確にして無限に深い」と本人が記しているのも納得です。意図して、何度も修正したようなものからは真の美は生まれない、というようなことも書かれていたと思います。藤田の絵は油彩しか見た事がなかったので、色のない線画がこれほど美しいというのは、実はちょっと意外でした。

 迷わないというのは、正直、これほど難しいことはないと思うのです。多分藤田だって、筆を手に取るまでは迷い悩み、考え抜いているのだと思います。克明なイメージとそれを再現する的確な技術を手にいれるまでの道程が、これらに込められているのでしょう。背筋の伸びる思いで美術館を後にしました。

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まなびあテラス

2016年11月24日 23時10分36秒 | 美術

 今日は村山市にて合同スクールコンサート。山響の生みの親、村川千秋氏のお膝元だけあって、生徒さん達の集中度も高く、こちらも大変楽しく演奏させて頂きました。

 コンサート後、せっかく村山まで出てきたので、来年の山形Q定期演奏会のチラシをどこかに置いて行こうと思い、向かったのが「まなびあテラス」。11月3日に新しくオープンした、東根市の複合文化施設です。図書館と美術館もあるということで、一度行ってみたかったんです。

 訪れて、その敷地の広さにびっくり。図書館も沢山の市民で賑わっており、なるほど、山形県内で唯一人口が増加している市だけあるなぁと納得してしまいました。

 そして併設されていた美術館は、今の展示だけなのかどうかはわかりませんが、なんと無料。小規模ではありますが、内容が濃く、良質のものが展示されていました。目玉であるレオナール・フジタの油彩画は、それだけでも見る価値ありです。スタッフの方も親切で、とても気持ち良く対応して下さいました。

 チラシを置いて頂く際「山形交響楽団の者ですが、、、」というと「お世話になっています!」と言われたので「???」と思っていたら、こちらの施設のオープニングでアンサンブルコンサートをしていたのですね。ゆったりとした気分になれる素敵な文化施設、是非いらしてみて下さい。

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広重美術館

2015年05月01日 23時21分28秒 | 美術

天童の広重美術館に行って参りました。かねてから行きたかったのですが、機会を逃し続けており、今回ようやく、貴重な広重の作品を拝むことが出来ました。
江戸時代の浮世絵を見ると、絵師は本当に見事なグラフィックデザイナーだったのだなぁと感心します。今見ても本当に新しい!
帰りがけ、お土産のポストカードを物色していたところ、アレ…展示していなかったものが結構ある??
スタッフの方に伺うと、やはり作品が傷むので、1ヶ月以上続けて展示は出来ないということで、企画ごとに作品の入れ替えをしているらしいです。そういえば展示室も、人がいないときは自然に照明が消えるようになっていましたっけ。徹底した作品保護!そのお陰で、今も鮮やかな色彩を楽しめるのですね☆
というわけで、お目当てのものがなかったら、出会えるまで通わなければならないようです。とりあえずは、今回気に入った作品のカードをお買い上げ。また伺います♪

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秋田県立美術館

2015年02月12日 22時25分56秒 | 美術

山形にいると仕事、練習、家事(そして今は通院も…)に追われる日々。意外と時間が取れるのが旅先だったりします。
というわけで、先日久々に美術館に行って参りました。秋田県立美術館、藤田嗣治の「秋田の行事」という大壁画が収蔵されています。
今回は特別展同時開催で、藤田の作品は少なめでしたが、どれも素晴らしいものでした。やはり壁画の迫力は圧巻です。
知らずに行ったのですが、この美術館、安藤忠雄氏の設計でした。階段の美しさや、壁画を上から眺められる工夫など、さすがと思わせられます。
展示を見た後は、大きな窓から、しばし外の景色を眺めました。広がる秋田の風景は、さながら現代の壁画のような美しさ。是非また訪れたい、そんな美術館です。

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川べりの美術館

2014年06月27日 23時02分24秒 | 美術

先日川べりに建つ美術館に行ってきました。大阪は中之島、東洋陶磁器美術館です。窓から見える川面と日差しの光が優しい、素敵な美術館です。
国宝級の陶磁器コレクションが揃っておりますが、皆あくまでも静かな佇まいで、決して「見て見て!」という押し付けがましさが微塵もありません。お疲れ気味の方は是非。癒やされます☆

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