東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

新春リサイタル

2016年01月13日 09時44分52秒 | コンサート、バレエ

昨年は、自分の音楽活動はともかく、演奏会や美術展、映画といったものに出掛ける機会が随分少なかったような気がします。今年は出来るだけ色々行ってみたいところです。
さて、その新春第一弾は、山響のトランペット奏者、松岡恒介氏のリサイタルでした。最近山響でも、忙しい合間を縫って、若手が精力的に演奏活動を行っており、大いに刺激を受けます。
金管楽器というと、力強いイメージを持つ方は多いと思いますが、松岡氏の音は粒子が細かく軽さがあるので、パワーを要求される大きいダイナミクスでもうるさくならず、それぞれの曲の輪郭をくっきり浮き立たせた見事な演奏でした。新春に相応しい、爽やかな演奏会でした!
冬休みもこれで終了(一般社会人の皆様スミマセン)、今年も頑張ります☆

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踊るパーカッション

2015年07月07日 23時42分33秒 | コンサート、バレエ

 以前から一度は見ておきたいと思っていたタップダンサー、熊谷和徳さんの公演を見る機会に、先日ようやく恵まれました。熊谷さんは19歳でニューヨークに渡り、タップ界のアカデミー賞と言われるフルーバート賞をアジア人で初めて受賞された方で、米ダンスマガジンにおいて『世界で観るべきダンサー25人」のうちの一人にも選ばれています。仙台出身のため、時々こちらでも公演を行っておられるようでしたので、虎視眈々とチャンスを窺っていたのです。

 バレエやモダンバレエは何度も観ているのですが、生のタップダンスは初めて。どんなものかと興味津々だったのですが、これはもうダンスというか音楽ですね。体が楽器なのでは声楽だけではないのです。

 場所がいわゆるホールではなく、retro Back Pageというカフェバーのようなところで、私の席からは残念ながら、足下はほとんど見えませんでした。が、なにしろ小さい空間ですので、ダンスも勿論ですが、タップの音の臨場感が凄い。ピアニスト(漢字はわかりませんがKikuchi Takuroさんという方でした)との即興から始まり、途中タップの歴史についての話などを交えながら、最後の「I shall not walk alone」という曲、そしてアンコール2つ(パッヘルベルのカノンと即興)まで、まったく弛緩するところのない、2時間弱の見事な公演でした。

 大地から湧き出るような重低音から、天から降るような高音まで、よくこんな様々な音の連なりを生み出せるものだと思います。やはり音楽の原点はリズムなのだなと再認識する反面、彼の躍動するダンスとタップ音を聞き、こういう音でもメロディを感じさせることが出来るということに驚きを禁じ得ませんでした。天才の技に魅せられた至福の時間に感謝。

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市民会館にて

2013年07月02日 23時26分14秒 | コンサート、バレエ

 N響&小林研一郎氏の山形公演に行って来ました。実は「市民会館なら収容人数が多いから、きっと当日券でも大丈夫」と余裕でいたのですが、フタを開けてみればほぼ満席。さすがN響、危うく入り損ねるところでした。わずかに空いている席は、どれも中途半端としか言いようのない席。ならばと思い切って取ったのは、なんと一列目。最前列は、大学生の時に聞いたイスラエルフィル&ズービン・メータの演奏会以来です。篠崎氏の背中を間近に見ながら、ほとんど舞台上で一緒にいる感覚で、楽しむことが出来ました。

 プログラムはベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番とベルリオーズの幻想交響曲。ピアニストには人気・実力共に指折りの小山実稚恵さんで、磨きこまれた美しい音色を堪能させて頂きました。

 ベートーヴェンからベルリオーズ。単純にものすごく大きくなった編成を見ただけでも(ちなみに今回1stヴァイオリンは、ベートーヴェンが6プルト、ベルリオーズが8プルトでした)違う時代性を感じますが、年は30歳以上離れているものの、一応同時代を生きています。幻想交響曲は、ベートーヴェンの死から3年後に作られた作品です。膨大に増えた楽器の種類、コルレーニョ(弓の木の部分を叩くようにして弾く奏法)といった新しい技法も斬新ですが、失恋して麻薬に手を出した芸術家の物語を標題とした作品らしい「異常性」が何より新しいような気がします。この曲の初演に立ち会った人々はさぞかし驚いたことでしょう。

 室温調節がうまくいかず、「幻想」の楽章間で二度の中断が入りましたが、慣れない会場もものともしない熱演。学ぶところの多い演奏会でした。演奏を聞きながら「ああ、やっぱりオーケストラは良いネェ!」と気持ちも新たになったところで、また明日からのお仕事も張り切って参りたいと思います。

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アルド・チッコリーニ リサイタル in 山形テルサ

2012年12月11日 22時12分11秒 | コンサート、バレエ

 ステッキを片手に、ゆったりとした足取りでピアノのもとに進み、深々と一礼。鍵盤に向き合うと、もうそこにはただ、音楽があるのみ。派手なパフォーマンスや自己顕示からは最も遠い場所にあります。前半、後半共に、一時たりとも休憩をとらず、観客はひたすらその音楽に身をゆだねるという幸福に預かりました。

 今回は、シューマンの「子供の情景」、ショパンのタランテラOp.43と幻想ポロネーズ、後半にドビュッシーの前奏曲集第1巻というプログラム。柔らかいタッチでありながら、音楽の構成に曖昧模糊としたところが一切なく、各声部の役割も明瞭です。そしてあの色彩感、特に後半のドビュッシーは、連作の絵画か短い劇を見ているようでした。

 87歳という年齢で現役ピアニストというだけでも驚きですが、もはやそういう話のレベルではありません。ひたすら音楽に仕える者というその佇まい、鳴り止まぬ拍手への穏やかな表情、手を振り、来た時と変わらぬしっかりとした足取りで袖に退場する姿。。。。すべてが美しい。こんな風に年を重ねられるのは、やはり積み重ねでしょうね。そんな単語はありませんが、「絶対音楽家」とでも呼びたい、真の芸術家の姿を見た思いが致しました。素晴らしい夜をありがとうございました!

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馥郁たる

2012年10月25日 15時18分42秒 | コンサート、バレエ

東京にいる利点は様々ですが、私にとって最大なのは、演奏会や美術展など、エンターテイメントが日本一充実していることです。というわけで、東京にいる時は、なるべくこのメリットを享受したいと思っています。
今日はヤマハ銀座のコンサートサロンにて、ジェラール・プーレと川島余里両氏によるヴァイオリン・ピアノのデュオを聞いてきました。プーレ氏は現代の巨匠と言える方で、お父上のガストン・プーレ氏は、ドビュッシー本人と彼のヴァイオリンソナタを初演した名ヴァイオリニストです。
プーレ氏のヴァイオリンは、現代にあって貴重な、奇しくも旅前に聞いた往年のヴァイオリニストによるCDのような、馥郁たる香りが立ち上ってくる演奏でした。
現代の演奏は(演奏のみならず文学などにも言えると思うのですが)、香りを感じさせらるものが少ないような気がします。現代社会が極めて無臭に近くなっている影響でしょうか。久々にかぐわしい音楽を堪能しました。

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五嶋みどりコンサート 中尊寺本堂にて

2012年07月28日 22時12分03秒 | コンサート、バレエ

 昨日は久々のお休みなるも、山形Q定期間近の私は一日練習、、、するべきだったのかもしれませんが、実ははるばる岩手県は平泉、中尊寺まで行って参りました。ヴァイオリニスト五嶋みどり氏がデビュー30周年を記念して、全国各地の神社仏閣や教会でバッハの無伴奏曲を演奏するツアーを行っており、なんと私は高倍率の中から抽選で見事、中尊寺でのコンサート当選を射止めたのでした。(中尊寺でのコンサートは、チケットは販売されず抽選のみだったのです。)やったー!!

 

五嶋みどり氏の生演奏には、これまでにも何度かふれる機会がありましたが、常に並々ならぬ集中力をもって、期待を決して裏切らないハイレベルな演奏を聞かせて下さいます。どれも印象深い演奏ばかりですが、一つ忘れられないのが、阪神大震災の後のチャリティーだったと思いますが、NHK交響楽団の演奏会にソリストとして参加し、メンデルスゾーンのコンチェルトを弾いたときのこと。そのコンチェルトも素晴らしかったのですが、彼女はなんと、アンコールでバッハのシャコンヌを弾いたのです。バッハのシャコンヌといえば、無伴奏曲集の中でも最高峰に位置する難度と深い内容をもつもので、それ一曲でも15分ほどかかる大曲です。普通アンコールで弾くようなものではないのですが、彼女はそれを見事、大変な気迫で弾ききったのでした。ただの一ヶ所も弛緩することなく、まるで太い墨痕で一息に書き上げた書の様な演奏で、私はしばらく呆然としていたのを覚えています。

 

私が当選した日の演目は、ソナタの一番、三番、そしてシャコンヌを含むパルティータの二番。いうまでもなく、大変なテクニックと集中力を要求されるわけですが、懸念が一つ。それは場所がお堂ゆえ、境内から演奏が覗ける状況、つまり湿度、気温は外と同じ(除湿器や冷房の類は一切なし)で、外部の音を遮断するものは何もないということ。勿論音響効果など望むべくもありません。マスコミの報道などで、彼女自身は学校の体育館でもどこでも愛器を持って演奏しにいくということを聞いたことがあるので、当然この状況は認識していたでしょうが、私としては、この真夏日、この状況で、周囲が静かに最後まで聞いてくれるかということに少し不安を感じていました。

 

しかしそんな心配は杞憂でした。ひとたび演奏が始まると、畳に座った聴衆は一気に彼女の世界に引き込まれて行き、扇などを使うことも殆どなく、ごくたまに控えめに風を送る程度にあおぐくらいで、皆熱心に耳を傾けております。蝉の声はそのまま聞こえてきますが、自然の音ゆえか、それほど演奏の邪魔になるものではなく、むしろ演奏する人間の営みとなにか調和する部分も感じられました。ただ一つ残念だったのは、ときおり投げ込まれるお賽銭の金属音はちょっと。。。。まあ演奏会などと知らず参詣にいらした方もいらっしゃいますから、文句はいえませんが。

 

演奏は実に感動的なものでした。言葉足らずでうまく言えませんが、骨太というよりは純度の高い精神的な演奏で、なにか冴えかえった月の光を連想させられました。各曲の間に入退場はありましたが、トイレなどの休憩は一切なし。にも関わらず彼女の集中力は一時も途切れる事がありません。そして何と、最後のパルティータ二番は、全部アタッカ。いや、思い返せば、ソナタ二曲だって殆ど切れ目なしだったのではないでしょうか。楽器をおろして汗を拭ったりした姿を見た記憶がありません。前回一息に奏でられたシャコンヌに呆然とした私でしたが、今度は一曲丸ごと一息に演奏する姿を目の当たりにし、なんだかこの世のものではないものに対面してきたような心持ちがしました。

 

演奏会が終わってもこれでさようならということではなく、聴衆と握手をしたり、言葉を交わしたりの交流の場を持つみどりさん。しかも立ったままですよ。。。私は帰りの電車とバスの時間があるため並びませんでしたが、このパワー、本当に握手でもしてあやかって来たかったです。デビュー30周年ということですが、まだ今年で41歳。お体を大切にして、これからも益々の充実した活動を続けて頂きたいと思います。30周年、心からおめでとうございます!とりあえず頂いてきたエネルギー、このまま山形Qの定期演奏会に向けて頑張ります!

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シルヴィ・ギエム Hope Japan tour

2011年10月25日 23時31分48秒 | コンサート、バレエ
しばらくご無沙汰していたギエムの公演。念願叶って行って来ました!!地震直後から様々なメッセージを発信していた彼女。熱い思いが指先まで行き届いていて、圧倒されました。
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ロックなバロック

2011年10月21日 23時44分04秒 | コンサート、バレエ
山形テルサでのコンサート、「ベルリン・バロック・ゾリステン wuth 樫本大進」に行ってきました。文化庁の仕事を終えて山形に到着したのが午後6時。なかなかの強行スケジュールでしたが、名門ベルリンフィルの猛者によるアンサンブルが山形で聞けるとなれば、これを逃す手はないとばかりに、勇んで駆けつけました。

疲れるかな、、万が一にも寝ちゃったりしたら恥だわ、、、、とか思わないでもありませんでしたが、全くの杞憂。終演後には、今からヴァイオリン弾けちゃう!弾きたい!というくらい元気をもらいました。

さすがは天下のベルリンフィルの面々だけあって、アンサンブルの精度が並ではありません。お互いの呼吸をよく理解した上で、全身で音楽を感じているのが分かります。特に後半のビバルディ「四季」では、その魅力が最大限に発揮されていました。全国ツアーで各地をまわっているようですが、毎回表情の違う演奏になっている、そんな遊び心とライブ感に溢れた演奏でした。
会場には山響からも何人か来ていました。「まるでロックだね!」と言ったYさん、ナルホド上手い!確かにあの盛り上がり、そして一体感。さすがに皆叫んだりはしませんでしたが、観客から興奮がジンジンと伝わってきました。音楽ってやっぱり素晴らしい、何よりのビタミン剤を頂きました。
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