東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

休日の喜び

2024年04月05日 22時39分06秒 | 

 昨年度の目の回るような忙しさを凌ぎ、只今久々の休暇中です。まあ諸々やらねばならぬこともあるので、完全に休暇というわけでもないのですが。。。とにかくメーターゼロまで抜け切ったエネルギーを補充せねば。

 というわけで、休日初日は寝ました。目覚ましをかけずに寝たら、9時間以上、一度も目が覚めず。目が覚めてからもうつらうつら。なんて怠惰な、とは言いません、私が許す(笑)!眠って元気になるならこんな簡単なことはありませんからね。ちなみに、こんなに寝てその日はちゃんと眠れるのかとも思いましたが、なんの問題もなく一瞬で入眠。最早特技の領域です。

 さて、休日の楽しみといえば、他にも読書があります。忙しいと、残念ながらこちらも遠ざかり気味。今は藤田真央さんの「指先から旅をする」を読んでおります。成程こんなことを考えているのか、やはり世界で活躍している方は違うね。。。と感心しきり。因みに山響と共演して頂いた時のことも、大変良い内容で書いてくださっています。是非ご一読下さいませ!

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見えないものに、耳をすます

2023年11月03日 23時56分30秒 | 

今日は文化の日。ということで、久々に、先日読み終えた本の紹介です。
「見えないものに耳をすます」。ミュージシャンの大友良英さんと、医師の稲葉俊郎さんの対談です。NHKの番組、スイッチインタビューで好評だったものを書籍化したのだとか。
仕事帰り、初めて入ったカフェのカウンターで見つけたのがこの本との出会い。「音楽と医療の対話」という副題に興味が湧き、手に取ってパラパラと見ていたら、カフェのマスターが、私が楽器を持っていたからでしょうか、「この本、すごく良いですよ」とオススメしてくれたのでした。
実際ちらっと読んだだけでも引き込まれてたので、家に帰ってさっそくネット注文した次第。音楽と医療のボーダーレスセッション、とでも言えば良いのでしょうか。何度も読みたい一冊です。

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夏の読書「ドーン」

2023年08月14日 22時37分59秒 | 

 ようやくツアー公演も終わり、お盆休み。といっても3日間、しかも次の公演「白鳥の湖」の準備もあるので、ゆったりは過ごせませんが。。。ツアーで感じましたが、どこへ行っても暑い。ここは家で大人しくしているのが得策というものかもしれません。

 さて、夏といえば読書。なぜなら子供の頃から「読書感想文」の季節ですから。まあ、普通に趣味なので、もはや季節は関係ありませんけどね。しかしながら、最近忙しすぎて一向に読書が進まないのが残念なところです。

 そんな中、先日やっと一冊読み終えました。平野啓一郎氏の「ドーン」。近未来が舞台の小説なのですが、主人公が火星探査に行った宇宙飛行士で、彼が乗り込んだ宇宙船の名前が、夜明けを意味する「ドーン」なのです。

 ものすごく読み応えがありました。近未来なので、今はまだない技術なども色々描かれているのですが、「まさか」と思うことはほとんどなく、「あり得る」どころか、まざまざとそんな状況を想像できて空恐ろしくさえあります。2009年に書かれた小説ということを読後に知り、二度びっくりでした。実は主人公は、自分の幼い息子を震災で亡くしているという設定なのです。しかし今もそうですが、日本は地理的に、地震からは逃れられない。常にその可能性を頭に入れておかねばなりません。更に、当時はオバマ大統領が就任して、まだ一年も経っていない時期ですが、小説ではトランプ氏を想起させる人物が大統領選に出馬していたり、思わず唸ってしまいます。

 実はこの本、人から薦められたのですが、確かに一読の価値ありの一冊でした。正直読後感としてはややモヤモヤが残りますが。。。

 大人になって、人から本を薦められることがめっきり減りました。若い頃はあまり感じなかったのですが、小説、しかも重めの内容の小説を人に勧めるのは勇気がいるものです。自分もそうですが、相当信頼している相手でないと、そんなことをわざわざしようとは思わないのではないでしょうか。その本が気に入られないとしても、真剣にその本に向き合い、評価をしてくれると思える人にでないと、対人関係においてはリスキーですらあるかもしれません。

 ちなみにこの本を薦めてくださったのは、初めて行ったブックカフェの方です。「初対面で今後も会うかどうかわからない」人相手というのは、案外オープンにオススメできるものなのかもしれません。貴重な機会を頂き、ありがとうございました!

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遅れた読書週間

2023年07月01日 21時33分01秒 | 

 さくらんぼコンサートは長距離移動。つまり絶好の読書タイムだったわけですが、思っていたより睡眠タイムになってしましました。

 そのために準備していたのが逢坂冬馬氏の「同志少女よ、敵を撃て」。(ちなみに「教養としてのチャップリン」は読み終えました。お薦めの良書です!)実はこの本、購入は去年だったのですが、ロシアのウクライナ侵攻とタイミング的に完全に被っていたことが少し気が重く、「積読」状態でした。しかしいつまでもそのままという訳にもいかないので(勿論読みたいという意思もありますし)、ついに読み始めたのが先週です。読み始めたら一気に引き込まれ、あっと言う間でした。

 舞台は第二次世界大戦中の独ソ戦。故郷の村をドイツ軍に急襲、焼き払われ、全てを失った少女セラフィマが狙撃手として生きていく様を描いた物語。小説ながら、史実が下地になっているわけで、そのために作者が膨大な資料を読み込んでいることがわかります。

 話の中で、セラフィマを狙撃兵にしていく狙撃兵訓練学校の教官、イリーナが、生徒たちに二度(授業の中でと、卒業の際)「何のために戦うか」という質問をし、それぞれが考えた答えを述べるというシーンが強く印象に残りました。主人公は「女性を守るため」と答え、各々がその信条を胸に最後まで戦います。おそらく、戦場で過酷な状況に陥った時ほど、ここに疑念を持っては生きていけないということが、百戦錬磨の教官には分かっていたということでしょう。

 現実世界を顧みて、様々なことを考えさせられる作品です。一日も早く平和な日が戻りますように。

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教養としてのチャップリン

2023年06月12日 23時35分14秒 | 

先日、本屋を徘徊していて見つけました。パラパラと中を見て、なかなか面白そうだったので即購入。まだ読み始めたばかりですが、知らかったことも多く、何よりチャップリン本人が大変魅力的な人なので、非常に興味深い内容になっています。

貧乏のどん底だった幼少期を経てスターになったというエピソード一つをとっても、コインの裏表のような哀しみとおかしみを持つ、彼一流の喜劇を連想させます。
「人生に必要なのは、勇気と想像力、そして少しのお金もね。」映画「ライムライト」の名言は、時代を経てもなお色褪せません。ビジネスに効くかどうかはわかりませんが、人生を明るくしてくれるヒントが詰まっていそうな一冊です。

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大事なことは植物が教えてくれる

2023年03月08日 23時18分47秒 | 

最近読んだ本です。植物にまつわる言葉を紐解き、その深淵な世界を垣間見せてくれる一冊です。

例えばイソップ童話「樫の木と葦」の中で、樫の木にその弱々しさを気の毒がられた葦の言葉、「わたしはたわみはしますが、折れはしません」。葦は茎が中空で軽いので、強風にはたわみ、水には浮きます。また中空ゆえ上に高く伸びることも出来ます。ただし大きくなりすぎると茎がしなってしまうので、ところどころに竹のような節を入れ、補強も万全。
決して弱い植物ではないのです。

そしてこれは書かれていませんが、オーボエのリードの素材でもあります。葦がなければオーケストラも成り立たない、というわけですね。葦に感謝です!

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世田谷ベース

2022年11月25日 22時46分25秒 | 

突然ですが、世田谷ベースってご存知ですか?私は友人に教えられて初めて知りました。所ジョージさんのテレビ番組ですが、その雑誌版もあるのです。その方は所さんの大ファンなので、私が知らないと言うと、そんな人がいるのか!信じられない!!という顔をされました。

しばらく経って、そんなこともすっかり忘れていたのですが、先日書店でその雑誌を見つけ、パラパラ読んでみましたら、これがなかなか面白かったので購入してみました。一冊丸ごと特集記事で成立していて、特集タイトルは「トコロ辞典」。様々な言葉を所さん流に解釈して書かれたものです。所さんって、もう長いこと芸能界で活躍していますが、昔から全然変わらず、飄々と、そして楽しげに生きている。それがまた実に自然で、羨ましい限りなのですが、この雑誌を読み、その理由がちょっとだけわかったような気がしました。

例えば「のりしろ」という言葉。本来は「紙を貼り合わせるとき、糊をつけるために設ける部分」ですが、所さん的解釈では、「面白いことが生まれるきっかけ。人間らしい感性を作るもの。喜びや楽しさや哀愁や怒りなどを感じるために必要なもの」なんだそうな。自分らしい時間軸で生きるとのりしろが生まれ、そこをどう使うかが面白いと。

ここで忘れてはならないのが、「のりしろ」は面倒くさい、という事。でも面倒くさい=生きている事なのです。そういう「一見手間で余計なもの」が人生を豊かにする、という事なのでしょうね。この考え方、是非見習いたいと思います。

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科学者である前に

2022年10月06日 19時32分16秒 | 

先日ご紹介した益川敏英氏による「科学者は戦争で何をしたか」、面白く、しかもとても分かりやすかったので、一気に読んでしまいました。
本書で折りにふれ登場する著者の恩師、坂田昌一氏の科学者としての姿勢には頭が下がりますが、その骨格を成す「科学者は科学者として学問を愛するより以前に、まず人間として人類を愛さなければならない」という言葉は、科学者ではない全ての人にも、まず一人の人間として恥ずかしくない行動をしなければならないという意味において、当てはまると思います。
経済最優先の風潮がはびこる世の中です。本書でも、短期集中ですぐ役立つ結果がでるものでなければ、研究費がおりない現実が指摘されています。市場原理の「選択と集中」が進めば、後にノーベル賞を取ったような研究でも、地味で手間のかかるものは真っ先に切り捨てられていたわけです。
こんな情けない状況であっても、益川氏は、二百年後には戦争はなくなっているのではないかと、かなり本気で信じていると書いています。それは200年前の世界を考えれば、人間はつまずきながらも、概ね正しい方向に歩いているのではないかという考えによるようですが、結局のところ、人間を信じているということなのだと思います。
前回のブログで、益川氏を「近所にいそう」と書きましたが、それはおそらく、氏が、研究室にこもり隔絶した世界にいる人という、一般に連想される科学者のイメージではないからでしょう。まずは市井に生きる一人の人間としての感覚を忘れない。科学者はもとより(私は特に政治家にそれを求めたいと思いますが)、全ての人がそのように生きることが、戦争のない世の中への一歩なのかもしれません。

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科学者は戦争で何をしたか

2022年10月03日 22時05分00秒 | 

ノーベル賞ウィークです。そして私の中では「勝手に読書ウィーク」。というわけで、今日から読み始めたのが、2008年のノーベル物理学賞を受賞された益川敏英氏による本書「科学者は戦争で何をしたか」。
益川氏は、メディアを通してその発言や人となりに接するにつけ、歯に衣着せぬ率直な物言いが気持ち良く、博士というより近所にいそうな面白いおじさん(失礼に思われるかもしれませんが親しみを込めて)という印象でした。それだけに、この本でも、益川節とでも言いたい真っ直ぐな言葉が胸を突きます。

世紀の大発見も、使い方を間違えれば、人類の進歩どころか滅亡につながりかねないのが科学なのです。その事実を、過去の歴史を紐解きながら検証しているのが本書です。益川氏は、昨年惜しくもご逝去されましたが、今の世界の状況を見たら何とおっしゃるでしょうか。心して最後まで読みたいと思います。

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カモメに飛ぶことを教えた猫

2022年09月15日 23時26分15秒 | 

先日山響の若手が、こども向けに本を紹介した記事が新聞に掲載されました。ご覧になって頂けたでしょうか?

その中の一冊が、この「カモメに飛ぶことを教えた猫」。とても面白そうだったので、貸してもらい、一気に読んでしまいました。久々に読書に「熱中」した感じです。こどもの本は、易しい言葉で深いところを突いてくるのが素晴らしいですね。この本を紹介してくれた彼女の、人柄とセンスの良さが伝わってきます。

話の内容はタイトルが全て(笑)ですが、カモメを育む猫たちの様子が、実にあたたかいのです。名前をつけ、世話をし、自分から飛びたいと言い出すまでは、余計な口出しをせずに見守る。そして助けが必要な時には、ここぞと皆で知恵を集めて対応する。なかなか出来ることではありません。

こどもは勿論ですが、かつてこどもだった人たちにも是非読んで頂きたい一冊です。

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翻訳色々

2022年09月05日 23時48分56秒 | 

昨日は能代公演。ソプラニスタ岡本知高氏の人気でしょう、会場はほぼ満席!感謝を胸に、楽しく演奏させて頂きました。

さて、久々の秋田。私が旅と切り離せないのは、ズバリ本です。読み終えて旅先で買い直すこともしばしばですが、今回買ったのは、子ども時代に出会った懐かしい本の文庫版。古本です。そのタイトルはなんと、、、「強盗紳士」。すごいインパクトですね。
実は子どもの頃読んだのは、「怪盗紳士」でした。この方がしっくり来ます。だってアルセーヌ・ルパンですから!一文字違うだけで、こんなに印象が変わるとは。。。
訳が堀口大学氏なのも驚きです。童心にかえって、新鮮な気持ちで読み直したいと思います。

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『草枕』を読む

2022年08月20日 20時34分11秒 | 

 夏になると書店も「夏の文庫本フェア」などで賑やかになるからか、はたまたは子供の頃の読書感想文の習慣か、「ちょっとしっかりした文学を読んでみるか」という気分になります(私だけですか?)。

 というわけで、今回帰省のお供に持って行ったのが夏目漱石の『草枕』。実はこの本、有名な冒頭の文章がとても好きなのですが、そこで終わっておりまして、ちゃんと読んだことがなかったんですね。大学受験の頃、予備校で「この文章を見たら草枕、と答えられるように」とか「智とか情の部分が空白でも埋められるように」みたいなことを言われたと思うのですが、「こんなことを覚えるより、作品を一つでもちゃんと読んでもらった方が有意義なんだけどね。。。。」という先生のつぶやきが忘れられません。

 さて、草枕です。この作品、漱石文学の中でどうのような立ち位置を占めているのかよくわかりませんが、筋は大して重要じゃないな、というのがまず感じたことです。正直、作品名を伏せてあらすじを説明され、「是非読んでみたい」と思う人はほとんどいないんじゃないかというくらいです(あくまでも個人的感想です)。

 ただ、端々に出てくる漱石の人生観や美意識のようなものがとても面白い。特にこの作品は、絵描きが主人公なので、人や物の描写になるほどと思わせられるものがあります。漱石自身も、小説、俳句にとどまらず、絵もかなり上手かったということですから、観察眼も優れていたのでしょう。因みに私が好きだった場面の一つに、宿の女主人に羊羹を振舞われるところがあるのですが、その羊羹の描写が実に美しいのです。これは単に私が甘いもの好きだからかと思ったりもしたのですが、実はこの作品を説明するときに、よくあげられるシーンのようでした。和菓子屋に買いに行きたくなること請け合いの名描写だと思います。漱石の審美眼を覗いてみたい方、必読の書です。

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ひとはなぜ戦争をするのか

2022年02月28日 23時31分06秒 | 

高校生だった頃の話です。世界史の時間、なぜそんな話になったのかは覚えていないのですが、先生が
「ある国が別の国に軍事侵攻を行ったとき、第三国として出来る確実な平和的解決法を見つけたら、ノーベル平和賞を貰えるぞ」
という内容のことを言ったのを、なぜかずっと忘れられずにいます。そもそもそんな軍事侵攻が起きなければ問題ないのですが、これが不思議なくらい起きる。誰も幸せにならないのに。

そんなことを思い出しながら、本屋の中を彷徨っていましたら、ふとこの本が目につき、つい手に取ってしまいました。

ロシアがウクライナ侵攻を行ったこのタイミングでなかったら、多分気に止めていなかったと思います。どうやら国際連盟が間に立ち、アインシュタインとフロイトが意見交換をかわした書簡のようです。知の巨人の対話、じっくり読みたいと思います。

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モリー先生との火曜日

2021年12月02日 23時16分09秒 | 

 文化庁公演で関東へ行って参りました。というわけで、移動中はお決まりの読書タイム。今回はミッチ・アルボム氏の『モリー先生との火曜日』です。

 この本、ご存知の方も多いかと思いますが、もう大分前(本の第1刷発行年は2004年になっていました)にベストセラーとなったものです。私も存在は知っていたのですが、読まずに来ておりました。たまたまこの本に触れた新聞記事を読む機会があり、今回手に取った次第です。

 本の内容は、大学時代の恩師、モリー・シュワルツ教授と、彼の元に通う元教え子(広義の意味では今も生徒と言えましょうが)である著者との対話をまとめたものです。モリー先生はALSを患い、残された時間はもう多くないことを知っています。というより、確実に動かなくなっていく体から、身をもってそれを思い知るのです。そんな状況の中でも、全てを受け入れ、自暴自棄にならず、ユーモアをもって周囲と親交を深めるモリー先生の姿や言葉に、著者は生きる上で大切なことを学びます。その内容は、時を経た今でも決して古びることはなく、新鮮な水のように私たちの心にしみるものです。

 高齢化社会の中、要介護人口も増えている現代において、むしろこれから益々必要とされる本なのかもしれません。老いも若きも、より良く生きたい全ての人に読んでほしい一冊です。

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東京會舘とわたし

2021年11月16日 22時11分18秒 | 

 先日の文化庁公演で長距離移動がありましたので、久々の読書ネタです。せっかくの「読書の秋」だというのに、最近忙しさを理由にご無沙汰気味。この移動を有効利用しなければ!と意気込みつつも、小難しいものだと寝落ちの可能性が高まりますので、自分の好みに合いそうで、且つ読みやすさも重視しつつセレクトしました。

 辻村深月氏の「東京會舘とわたし」です。東京會舘。ご存知ですか?私は、、、名前なら知ってます(笑)。行ったことはありません。時々デパ地下でお菓子が売っているのを見るくらいの知識なので、実はこんなに由緒正しき所だったのか!!と、この本で初めて知りました。まさか戦前は、クライスラーの演奏会までしていたとは。。。。

 この小説は、東京會舘に深い愛情も持つ方々のアンソロジーという形の短編集です。もっとも一つ一つで完結しつつも、同じ人物が登場したりして、全体としての統一感も保たれており、一つの大きな物語として成立しています。

 なぜ私が「この本が自分の好みに合いそう」と思ったかというと、単純に「仕事に矜持を持って働く人の物語」が好きなのです。主人公は必ずしもそこで働く人ではなく、訪れた客だったりしますが、その客もそこで働く人々に、少なからぬ影響を受けます。人とのつながりについて、つい思いを巡らせてしまいました。

 作者本人がモデルと思われる人物も登場して、どこまで現実に近いのかは定かではないものの、作者の東京會舘愛がひしひしと伝わってきます。読んでいてあたたかい気持ちになる作品です。秋の夜長のお供にいかがでしょうか。

 

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