東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

実朝とモーツァルト

2022年10月30日 22時41分38秒 | 雑記
今日は南会津で演奏会。後半には地元の学生さんの熱演がありましたが、前半のハイライトには、漆原啓子さんが、明るさと品格を湛えた素敵なモーツァルトを聞かせて下さいました。

たまたま今回の旅のお供に、小林秀雄氏の本を持ってきたのですが、その中に、源実朝について書かれた文章がありました。それを読んで、今まで繋げて考えてみたこともなかった実朝の歌とモーツァルトが、良く合うことに気付かされ、ちょっと感動している次第です。

源実朝といえば、ただ今絶賛放映中の「鎌倉殿の十三人」の主要人物の一人。魅力的な登場人物がバタバタと死んでいくこの大河ドラマ、丁度実朝の信頼厚い和田義盛が窮地に立たされており、実朝の孤独が深まっているところだっただけに、政争にまきこまれた彼が、太平の海を眺めた心境はいかばかりかと考えてしまいます。

世の中は 常にもがもな 渚こぐ
あまのお舟の 綱手かなしも

歌を学んだ学生時代は、単なる穏やかな風景としか読めませんでしたが。。。明るさと哀しみの同居したこの歌に、モーツァルトのクラリネット五重奏の二楽章を捧げたいと思います。
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不思議な書道

2022年10月25日 21時57分40秒 | 雑記

 先日、山形駅の連絡通路を歩いていましたら、書道の作品が展示されていました。ほお、こんなところにも芸術の秋が、と見てみると、、、素晴らしい達筆で書かれていたのが

「高額当選」「未納料金」「名義貸し」

。。。。。???

不思議に思ってよく見てみたら、特殊詐欺被害防止の書道コンクール作品でした。なるほどー!すごいインパクトですね!!これを機に、こういう言葉を聞いたらちょっと待て、を心に留めたいと思います。

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ライブ感

2022年10月22日 23時03分57秒 | 山形交響楽団

 定期公演初日が終了しました。何度も弾いている「新世界」ですが、まさに言葉そのまま「新世界」でした。

 指揮の原田氏は、リハーサルでは骨格だけ伝えて、細々とはあえて触らず、不安にならないのか?思うくらい、オケを完全に信用しきっているご様子で、若いのに胆力の強さが並ではないとお見受けしました。

 ライブ感(そしてドライブ感)満載のコンサート、明日は12時から若干の当日券が販売されるとのことです。会場にてお待ちしております!

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記憶力

2022年10月18日 22時07分33秒 | 雑記

 このところ、自分の記憶力が以前よりも衰えたと感じることが増え、危惧していたのですが、、、先日、ヒヤリとしたことがありました。自宅の郵便受けは、数年前からダイヤル式になっているのですが、何とこの数字を度忘れしてしまったのです。

 もう何年も何も考えず開けており、3つの数字も特に語呂合わせがあるようなものではなかったのですが、たった3桁ということで完全に油断して、「メモするまでもない」くらいの感じで、書類もどこかに放置していたくらいです。まさか度忘れするとは。。。。

 結局「これだったような気がする。。。。」というものを何種類か試し、その中に正解があったので良かったですが、人の名前と違って、思い出した途端「これが正解だ!」というスッキリ感が全然ないのです。「コレだったかな?いやアレだったか。。。?」みたいな。やはり意味のない暗号のようなものだと「正解に辿り着いた」感が出ないのでしょうか。ダイヤルを回す方向は、手が覚えていて助かりました。

 「手が覚える」というのは変な言い方ですが、難曲を猛練習していると、大変なパッセージは「勝手に指が回る」みたいになることがあるのです。それなら安心ですね、と思われそうですが、そうではありません。そういうものほど危ないのです。今回のように、何かの拍子で(例えばちょっとポジション移動でひっかかったとか)突然止まってしまうと、真っ白になってしまい、続けられなくなったりする危険を孕んでいるのです。なので、手に頼らず、ちゃんと脳に記憶として刻むことが大切です。「手で覚える」というのは、個人的には、小学生の時にノートにびっしり書いた「漢字練習」に似たようなものを感じます。

 さて、話は変わって今週末は定期演奏会。指揮者に原田慶太楼氏、ピアノソロに阪田知樹氏という二人の若き俊英をお招きして、小田実結子氏の新曲(世界初演)と、ドヴォルザークのピアノ協奏曲と交響曲「新世界」をお届けします。以前から感じているのですが、ドヴォルザークの曲は、初めて聞く曲でもなぜか「懐かしい」と思うことがよくあります。おそらく、望郷のような、人の普遍的な記憶を喚起する力が強いのではないでしょうか。小田氏の新曲も、そういうものになりそうな予感があります。楽しい記憶の1ページになれるよう頑張ります。

 

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声の力

2022年10月15日 21時43分03秒 | 山形交響楽団

 演奏者が「あなたの楽器の魅力は?」と質問された時の答えに、「人の声に近い音がする」というものをしばしば耳にします。逆に言えば、皆「人の声」は別格であると認識しているわけです。それは歌と共演した時にしみじみ感じますが、歌でない場合もあります。

 明日は「山形交響楽団ドリームコンサート」。目玉はなんと言っても「葉っぱのフレディ」、何と朗読を、女優の木村多江さんが担当して下さいます。

 木村多江さんの柔らかく透明感のある声が、このお話にピッタリ。命の循環、尊さが、声と一緒に心に染み込んでくるようです。我らがコンマスの犬伏亜里、チェロ首席の小川和久両氏のソロ、オーケストラ、そして朗読の声の一体感を是非お楽しみ頂けたらと思います。明日日曜日、山形市民会館にて15時開演です。当日券もあるようですので、この貴重な機会、お聞き逃しなく!

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秋深まり

2022年10月14日 23時42分11秒 | 山形交響楽団

 今週はスクールコンサートウィークでした。やはり文化の秋ということでしょうか、この時期は毎年慌ただしく日々が過ぎて行きます。しかしコロナの影響がまだ残るためか、スクールコンサート自体は、以前の回数には戻っていません。

 とはいえ、子供たちは相変わらず、珍しげに、そして一生懸命演奏を聴いてくれるのが何より嬉しい。自分で考えながら話すお礼の言葉にもジンときます。最近では、しばらく静粛に「聞くだけ」だった歌の演奏にも、きちんと声を出して歌ってくれるところが増えてきたのは本当にありがたいことです。やはり歌は声がなくてはね。

 芸術の秋はこれからが佳境です。激しい気候の変動と体調管理に気をつけつつ、頑張っていきたいと思います。

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国の責務を考える

2022年10月10日 22時49分45秒 | 雑記

中学生の頃、社会科の授業で「死刑について」という重い討論(というところまでは行かず、意見交換ぐらいのものだったと思いますが)をしたことがあります。死刑に賛成か反対かということで、生徒に意見がきかれたのですが、なぜこれをそんなにはっきり覚えているかというと、最初に指されたのが私で、その後に発表した生徒の意見に打ちのめされたからでした。

実を言えば、それまで真剣に死刑制度について考えたこともなかったので、正直によくわからないと言っても良かったとは思うのですが、是か非か明確な意見を言わなければいけない気がして、とりあえず是ということを答えたことを覚えています。理由は犯罪の抑止力になるとか、そんなことを言った気がしますが、何しろ咄嗟のことだったので、自分の答えについてはあまりよく覚えていないのです。よく考えての意見ではないことの何よりの証拠でしょう。

反対によく覚えているのは、その後にご指名を受けたHくんの意見です。彼は非常に頭がよく、出来れば私と同じ側に立って援護して欲しいと思ったのですが、その意見は「死刑反対」。そしてその理由が明確な一言でした。「死刑は国が殺人をするのと同じだから。」

予想していなかった理由だったので、大変な衝撃を受けました。しかし、考えてみればその通り。大人になり、重大犯罪が起きる一方で死刑についての様々な意見を知るにつけ、あの時の彼の意見が、実に的を射たものであったことを身に染みて感じます。

10月10日は「世界死刑廃止デー」だそうです。死刑廃止が国際社会では主流となる中、いまだ死刑制度があり、執行も行われている日本。今一度考える時期が来ているのではないでしょうか。

 

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赤湯のパラダイス

2022年10月08日 21時39分09秒 | 雑記
せっかくのマイ読書ウィークだったので、しめに新たに発見したブックオアシスをご紹介。赤湯のブックカフェ、「ひめしゃら文庫」さんです。
本に囲まれ、それらを読みつつ、のんびりお茶が出来ます。疲れたら、窓の外に広がる田園風景を眺めても。もともと赤湯は大好きなエリアでしたが、こんなパラダイスがあったとは。。。!
本好き、カフェ好きの方は是非☆
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科学者である前に

2022年10月06日 19時32分16秒 | 

先日ご紹介した益川敏英氏による「科学者は戦争で何をしたか」、面白く、しかもとても分かりやすかったので、一気に読んでしまいました。
本書で折りにふれ登場する著者の恩師、坂田昌一氏の科学者としての姿勢には頭が下がりますが、その骨格を成す「科学者は科学者として学問を愛するより以前に、まず人間として人類を愛さなければならない」という言葉は、科学者ではない全ての人にも、まず一人の人間として恥ずかしくない行動をしなければならないという意味において、当てはまると思います。
経済最優先の風潮がはびこる世の中です。本書でも、短期集中ですぐ役立つ結果がでるものでなければ、研究費がおりない現実が指摘されています。市場原理の「選択と集中」が進めば、後にノーベル賞を取ったような研究でも、地味で手間のかかるものは真っ先に切り捨てられていたわけです。
こんな情けない状況であっても、益川氏は、二百年後には戦争はなくなっているのではないかと、かなり本気で信じていると書いています。それは200年前の世界を考えれば、人間はつまずきながらも、概ね正しい方向に歩いているのではないかという考えによるようですが、結局のところ、人間を信じているということなのだと思います。
前回のブログで、益川氏を「近所にいそう」と書きましたが、それはおそらく、氏が、研究室にこもり隔絶した世界にいる人という、一般に連想される科学者のイメージではないからでしょう。まずは市井に生きる一人の人間としての感覚を忘れない。科学者はもとより(私は特に政治家にそれを求めたいと思いますが)、全ての人がそのように生きることが、戦争のない世の中への一歩なのかもしれません。

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科学者は戦争で何をしたか

2022年10月03日 22時05分00秒 | 

ノーベル賞ウィークです。そして私の中では「勝手に読書ウィーク」。というわけで、今日から読み始めたのが、2008年のノーベル物理学賞を受賞された益川敏英氏による本書「科学者は戦争で何をしたか」。
益川氏は、メディアを通してその発言や人となりに接するにつけ、歯に衣着せぬ率直な物言いが気持ち良く、博士というより近所にいそうな面白いおじさん(失礼に思われるかもしれませんが親しみを込めて)という印象でした。それだけに、この本でも、益川節とでも言いたい真っ直ぐな言葉が胸を突きます。

世紀の大発見も、使い方を間違えれば、人類の進歩どころか滅亡につながりかねないのが科学なのです。その事実を、過去の歴史を紐解きながら検証しているのが本書です。益川氏は、昨年惜しくもご逝去されましたが、今の世界の状況を見たら何とおっしゃるでしょうか。心して最後まで読みたいと思います。

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出会いと別れと

2022年10月01日 23時14分06秒 | 山形交響楽団

昨日、私が入団以来ずっとお世話になり、仲良くして頂いたオーボエの斎藤真美さんがご卒業されました。いつも明るく、お茶目でチャーミングな方で、もうこれからはあの席にいないのか、、、と思うと、寂しく信じられない思いです。なんとも残念ではありますが、新しい門出を心から応援したいと思います。
くしくも山響は、二人の若手楽団員を迎えたばかり。新しい出会いと旅立ちが素晴らしいものになりますように!

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