ようやくツアー公演も終わり、お盆休み。といっても3日間、しかも次の公演「白鳥の湖」の準備もあるので、ゆったりは過ごせませんが。。。ツアーで感じましたが、どこへ行っても暑い。ここは家で大人しくしているのが得策というものかもしれません。
さて、夏といえば読書。なぜなら子供の頃から「読書感想文」の季節ですから。まあ、普通に趣味なので、もはや季節は関係ありませんけどね。しかしながら、最近忙しすぎて一向に読書が進まないのが残念なところです。
そんな中、先日やっと一冊読み終えました。平野啓一郎氏の「ドーン」。近未来が舞台の小説なのですが、主人公が火星探査に行った宇宙飛行士で、彼が乗り込んだ宇宙船の名前が、夜明けを意味する「ドーン」なのです。
ものすごく読み応えがありました。近未来なので、今はまだない技術なども色々描かれているのですが、「まさか」と思うことはほとんどなく、「あり得る」どころか、まざまざとそんな状況を想像できて空恐ろしくさえあります。2009年に書かれた小説ということを読後に知り、二度びっくりでした。実は主人公は、自分の幼い息子を震災で亡くしているという設定なのです。しかし今もそうですが、日本は地理的に、地震からは逃れられない。常にその可能性を頭に入れておかねばなりません。更に、当時はオバマ大統領が就任して、まだ一年も経っていない時期ですが、小説ではトランプ氏を想起させる人物が大統領選に出馬していたり、思わず唸ってしまいます。
実はこの本、人から薦められたのですが、確かに一読の価値ありの一冊でした。正直読後感としてはややモヤモヤが残りますが。。。
大人になって、人から本を薦められることがめっきり減りました。若い頃はあまり感じなかったのですが、小説、しかも重めの内容の小説を人に勧めるのは勇気がいるものです。自分もそうですが、相当信頼している相手でないと、そんなことをわざわざしようとは思わないのではないでしょうか。その本が気に入られないとしても、真剣にその本に向き合い、評価をしてくれると思える人にでないと、対人関係においてはリスキーですらあるかもしれません。
ちなみにこの本を薦めてくださったのは、初めて行ったブックカフェの方です。「初対面で今後も会うかどうかわからない」人相手というのは、案外オープンにオススメできるものなのかもしれません。貴重な機会を頂き、ありがとうございました!