中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

獺祭「磨き三割九分」

2016-08-25 15:25:08 | お酒の話(県外)
 音楽祭と主夫生活が続いていますが、昨日は少し、ホッと一息。

 ということで、大切に冷蔵庫で温存(?)しておいた頂き物の「獺祭」を。

 「獺祭」は人気が出て一気に有名になった山口県の銘酒です。山形の誇る「楯野川」と同じく、純米大吟醸しか造らない酒蔵。

 …とは言え、その中でもグレードはさまざま。大吟醸は50%以上の精米のものですが、数字な低くなるほどに、そのレベルはうなぎのぼり。もちろん価格も。

 そしてこれは「三割九分」!下さった方と、八百万の神々に感謝の祈りを捧げてから開栓。

 …スムーズなこと極まりない。大切な時間が、淡い思い出だけを残してあっという間に過ぎてしまうような感じ。捕まえようと耳を澄ますと、暑さや喧噪がふっと消えて、ほのかな香りだけが残る。

 良い酒でした。暑い夏はまだまだ続きますが、心に涼風をもらいました。

 
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臨時主夫

2016-08-22 22:45:17 | 危機管理
 アフニス音楽祭が続いている今週ですが、ゆえあって我が家は、今日からの一週間は「父子家庭」。

 今日もリハーサルの後は、台風が迫る土砂降りの中、お米を買いに行った帰りに、なくなりそうなウサギの餌を買ったり。

 子供達に夕飯を食べさせたら、洗い物をする前に洗濯機を回し、完了とともに干す。

 娘の宿題を見たらシャワーを浴びさせ、髪を乾かしてやりながら、今度は「ドライもの」のために再び洗濯機を回す…。


 日頃、奥さんに家事を任せて呑んだくれている私ですが、どうにか頑張っております。ちなみにそのあたりに起因する「実家に帰らせていただきます」的な理由ではありませんので念のため。

 夏場は家族みんなの洗濯物が多くて大変だとか、残り物が腐りやすくて面倒だとか、主婦の皆様のご苦労が、今更ながらよくわかりました。


 何事も勉強。さっきも「雨の音が激しいな」と思ったら、コンロの火がついたままだった。

 …明日からも頑張ります。
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曇りなき眼

2016-08-20 19:35:27 | 音楽
 アフィニス音楽祭。初日の今日、私が関わるのは合同オーケストラのメインプログラムの、ハイドン「第90番」のリハーサル。

 今回も指揮者なしで、コンサートマスターのホッホシルト氏が弾き振りをします。

 さすがは名門ゲヴァントハウスのコンサートマスター。余裕と落ち着き、包容力と牽引力が違います。あれだけ上手くて、しかも知性と品格を感じさせるオーケストラプレーヤーは、日本ではちょっとお目にかかれませんね。


 そして、これは認めたくないことでもありますが、やっぱりヴァイオリンという楽器は日本人よりもヨーロッパ人が持った方が、どうしても似合うのです。こればかりは仕方がない。要するにカッコ良いのです。卑屈になりそうになってしまう。


 一度だけ家族旅行でパリに行った時に、大きな教会で少年少女によるオーケストラのコンサートを聴きました。定刻になると、ひんやりした大聖堂に、楽器をもった金髪の中学生ぐらいの子供たちがしずしずと入場してきます。絵になるんですこれが。

 「先生」らしい大人の指揮者のタクトが降りた瞬間、魂が浄化されるような美しいハーモニーが聖堂を満たす…に違いないと思っていたのですが。

 …へたじゃん。日本のその辺のジュニアオケの方が全然うまい。

 考えてみれば当たり前です。お金のかからない教会で無料のコンサートをしている、どこかの部活動かなんかですから、文句を言われる筋合いはないでしょう。

 しかしこの恐ろしいほどの違和感はどういうことか。問題は、ヨーロッパ人が楽器を構えただけで「どんなに上手いんだろう」と思ってしまう、日本人の悲しい性なのです。「金髪でも上手くない人がいるのか」…なんと情けない先入観でしょう。


 さてこれからの一週間、「曇りなき眼」で、講師の方々の良いところを吸収したいと思います。
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ようこそ山形へ

2016-08-19 23:59:57 | 音楽
 山形では隔年で催される「アフィニス夏の音楽祭」が始まりました。ご存知の通り、全国のプロ・オーケストラのメンバーが、海外から招聘された講師の元で研鑽を積むという企画。山響はホスト・オーケストラとして、合同コンサートなどに出演します。


 本日は賑々しく「ウェルカムパーティー」。地域をあげてのイベントでもあるので、県知事などのVIPも来賓として出席していました。

 ホテルでの立食パーティーですが、テーブルには山形の味覚がずらりと並ぶわけです。そしてもちろん県産酒。…なかなか良いものが出てました。

 さすがの私でも一人では飲みきれないので…というわけではなく、もてなす側としてきちんと、県外から来た皆さん銘酒をお勧めいたしました。「若乃井」のような、隠れた銘酒があったのは嬉しかった。名前もマイナーだしラベルも地味な酒なので、誰も手をつけず栓も開いていませんでしたが、「これがイチオシです!」と注いで回ると、皆さん美味しがっていました。


 ということで、一週間の音楽祭の始まりです。
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夏休みと青い鳥

2016-08-17 22:03:42 | 雑記
 平穏な日々というものは過ぎるのが早い。知らないうちに終わってしまいます。


 ということで、今回の夏休みも、弟の家族と会っただけでほとんど終了。まあ、楽しかったからよしとしましょう。休みというものは無駄に長くても「床ずれ」ができるだけです。短いぐらいでちょうどいい。


 と、強がりを言いつつもリフレッシュできた気がします。山形に帰ってきてまずすることと言えば、やはり温泉。そしてその後、そばを食べに行きました。そして、明日の山形Qのリハーサルに備えて練習。

…結局、日常と同じです。


 つまり、日常の恵まれた豊かさを再認識するというのが、休暇の効能のすべてだと思うわけです。忙しく疲れてくると、いつも通りその辺にいるはずの「青い鳥」が見えなくなってくるというだけなのです。


 さて、これから芸術の秋。「青い鳥」を逃さないようにして、乗り越えたいと思います。

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OFF

2016-08-15 20:57:07 | 雑記
 いよいよ待望のOFF。土曜日の本番が終わった後、先に東京で遊んでいる家族たちに合流すべく車で東北道を南下。帰省ラッシュのピークですが、逆方向は穏やかなものです。

 そして夏休み初日の昨日、したことといえば…

 だいぶ前に「くうねるあそぶ」というキャッチコピーがありました。シンプルかつ大胆で、疲れた現代人の心をわしづかみにしたものです。しかし昨日の私は…

「のむねる」。以上。

 さらに上を行くシンプルライフ。昼に飲んで、3時から6時まで寝ました。

…普通のひるねじゃん。と思ったそこのあなた。違います。朝の6時までです。

 まさに「失われた一日」。瞬く間とはこのことです。昼間に目をつぶって次に開けたら翌日。まさに電源OFF。仮死状態から未来で目覚める映画のようです。シンプルならいいというものではない。

 今年の夏休みは短いので、こんなことではいけません。次に目を覚ました時にはもう夏休みが終わってしまします。少しでも有意義に過ごせるよう、覚醒したいと思います。
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五輪観戦

2016-08-12 18:24:40 | 雑記
 世の中はオリンピック真っさかり。4年に一度という大舞台で、超人的な力を発揮する選手たちの姿は、私のようにスポーツに関心がない人間でも心を動かされます。


 ところで、テレビ中継で
「いよいよ◯◯選手登場!この後すぐ!」
と言ってから、なかなか出てこないのはもはや決まりごとですが、その間に流れる、その選手の幼少時代からの猛特訓ぶりの記録映像がわりと好きです。

 だいたい「元選手」だった親に泣かされてる。あんなに小さいうちから、辛く厳しい練習を一日に何時間もさせられて、苦労したんだね…と思いますが、本当に頑張ったのは親ですよね。

 「自宅の特別室で、早朝から夜まで続くトレーニング」…と言いますが、プライベートの時間まで使って、朝から晩までレッスンするのがどれだけ大変なことか。もちろん我が子からお金は取れない。むしろ頑張ったご褒美に何か買わされたりして。しかも、元選手じゃない方の義理の両親あたりが理解がないから「そんなにやらせたら可哀相よほら、◯◯ちゃん泣いてるじゃない」なんて言われることもあるに違いない。


 私も子供の頃、先生の家まで母親にレッスンに連れて行かれて遅くなった時に、家に来ていた父方の祖母が「どうしてこんなに帰りが遅いのよ、今何時だと思ってるの!」と母に腹を立てているのを見たことがあります。

 レッスンに行くのは嫌いでしたが、こうして遠くまで連れて行ってもらっていることに感謝しなきゃいけないのだと、初めて思いました。来週は、あまり嫌がらないようにしようと。


 オリンピック選手は私などの比ではないわけですから、親御さんの苦労は想像にあまりある。メダルに喜んでいる御両親の姿がテレビに映った時に、一番感動します。たくさんの良い結果が出ますように。
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スペシャルオリンピックス

2016-08-11 18:50:04 | 山形交響楽団
 花笠が終わると、山形には秋の気配が、かすかに感じられるようになります。日中の日差しは相変わらず強烈ですが、朝晩の風の中に、ホッとするものが含まれるようになってきました。

 
 しかし、私たちの待望の「夏休み」までは、まだもうひと頑張り必要です。


 今日は、山響でのチャリティーコンサート。「スペシャルオリンピックス日本」in山形の設立10周年を記念したイベントです。

 恥ずかしながら「スペシャルオリンピックス」というものを今日まで知りませんでした。知的障害を持つ人々がスポーツに取り組むための支援などをする団体なんですね。


 今日の会場にはオーケストラなど、日頃あまり馴染みがない方々もいたようです。しかし、私が今日初めて、スペシャルオリンピックスを知ったように、初めて山響を聴いた人にとって、これがよい出会いになりますように。
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〆張鶴「純」

2016-08-10 19:34:34 | お酒の話(県外)
 「お中元」にありがたくいただきました。「八海山」と並ぶ、新潟の超銘酒「〆張鶴」の純米吟醸で、その名も「純」。


 昔から大好きな酒ですが、久しぶりに飲んであらためて納得。学生の頃、初めて新潟の日本酒を飲んで「日本酒ってこんなに旨いんだ」と初めて思った、その時の感動がよみがえる味です。

 スタンダードな「淡麗辛口」。まさに王道。懐かしささえ感じるフィット感。特別な輝きがなくても、常にあるべきところから、迷える私たちを照らす北極星のような…

…要するに、良い酒です。気持ちよく納涼いたしました。
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もののけ姫

2016-08-07 22:51:48 | 山形交響楽団
 おとといでしたか、テレビで「もののけ姫」をやっていたので、つい見てしまいました。

 もう20年ちかく前の映画なんですね…懐かしい。プロのオーケストラのオーディションを受けるために、正社員だった塾を辞め、昼間は練習、夕方からフリーでアルバイト講師をしていた頃に映画館で観ました。

 映画を観て興奮冷めやらぬ様子の高校生には、まるまるひとコマ「もののけ姫」についての授業をしてしまったりしたものです。現代国語にはそういう自由があるべきだと思っていましたので。


 今回あらためて映画を観ても思いましたが、この物語には実に分かりやすく、善悪を超えた価値観の対立が多方面から描かれている。自然と人間、宗教と科学、古代と近代、男と女、差別と平等…実に盛りだくさん過ぎて、映画としてはまとまりに欠けるきらいもありますが、題材としては面白い。きちんと作り込めば、シリーズものの講座が組めます。


 映画の感想としては、やはり美輪明宏の「山犬」につきますね。「だまれ小僧っ!」のセリフは何度聴いても味わい深すぎる。当時は口癖になるほど、授業でも使いました。


 ということで、まことにタイミングよく、明日の山響のコンサートは、米良美一さんをゲストに迎えての演奏会です。もちろん「もののけ姫」のテーマもありますし、美輪明宏の「ヨイトマケの唄」もあります。

 山形県民会館「やまぎんホール」にて、19時開演。お時間のある方は是非!
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五十の手前

2016-08-06 21:05:54 | 危機管理
 二月ほど前から左肩に違和感がある。そして、シャツの袖を通す時や、狭い駐車場で車の後部座席からヴァイオリンケースを出す時などに「ズキッ」と電撃的な痛みが走る。

 …これはもしかして、かの有名な「五十肩」なのか?

 左肩は、ヴァイオリンを弾くことに関しては、角度は固定されたままなので特に問題になることはありません。ただ、ハイポジションを長い時間弾いていると、肩は内側に窮屈に入るので、ズーンとした痛みが広がります。

 しかし、よく耳にするような「上らない」ということはない。楽器演奏を含めても、日常生活に支障があるというほどではない。

 …放置かな☆

 とも思いましたが、らびお氏が五十肩で七転八倒していたのも記憶に新しいので、一度ぐらいは整形を受診してみるのも良いだろうと思い立ったのでした。たまたま時間もありましたので。


 近所の空いてる整形で、あれこれと症状を訴え、レントゲン撮影。

 「レントゲンで見る限り、特に石灰化もしてないし、軽いみたいですね。肩も上がるようだし。とりあえずシップ出しときます。向こうで電気かけて帰ってください」

 「放置にまさる治療なし」というのが私の信条なので、大したことがないとわかればシップも電気も要らないのですが、わざわざ拒否するのもアレなので、おとなしく電撃をご馳走になることに…この辺りが日本人ですね。


 チクチクと電極からの刺激を浴びて、ピクピクさせられ終了。


 まだまだ四十代半ば。しばらく温泉に通って治すことにします。
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夏休みのひと時

2016-08-05 11:25:31 | 山形
 昨日の、北部公民館主催の山形Q「夏☆コンサート」は無事終了。今年で5回目ですが、毎回、楽しみに聴きに来てくださるお客様の温かい雰囲気が嬉しい。文翔館での定期演奏会とは、また別の客層のような気がします。

 定期のプログラムでは、マニアックな曲を真正面から取り上げることが多いわけですが、こういうライトでざっくばらんな感じのコンサートのファンというのも、また別にいるということなのでしょう。

 2ndVn今井嬢のアカデミックなナビゲーションによる、バラエティーに富んだ1時間プログラムでしたが、楽しんでいただけたのではないかと思います。なぜか、熊本民謡の「おてもやん」が一番ウケたような気がしました。のんびりとした、夏休みのひと時にマッチするのでしょうか。


 終演後は、聴きに来ていた奥さんと娘を連れて、蔵王へ。大したことはできませんが、こちらも夏休みのひと時を有効に過ごさなければ。

 自宅から30分ほどの温泉街で車を降りて、貸切状態の最終ロープウェイに乗り、展望台に涼みに行きました。
   
 真夏の蔵王。陽射しは強いものの、気温が低くて爽やかです。この気持ちよさは、冷房の風では絶対に感じられない。

 その後は温泉街で足湯をして、ペンションで食事をして、「夏休みプチ旅行」は終了。

 さて、今夜から「花笠まつり」。山形の夏もピークを迎えます。
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北部 夏コンサート

2016-08-03 21:43:40 | 山形弦楽四重奏団
 世界的には、オリンピックが近づいているという熱気が漂っていますが、山形も負けてません。「花笠まつり」が迫っているのです。

 夏休みとともに人口が増えて、やや「浮ついた」感じもある山形です。明後日からの花笠に向けて「波動砲発射用意」的な、テンションの高まりが街のあちこちに見受けられます。今年も良い夏になりますように。


 ということで、そのプレイベントとも言える毎年恒例の、山形Qによる北部公民館「夏コンサート」がいよいよ明日です。

 暑すぎる夏の午後、冷房のきいた会場でしばし、弦楽の響きを楽しみませんか?お時間のある方は是非、おいで下さい。


 大人から子供まで楽しめる、クラシックから民謡、懐かしのメロディーまで幅広く取り揃えた1時間。…大げさな「釣り」表現ではありません。ラヴェルから大江戸捜査網まで。こんな弦楽四重奏コンサートは他にありません。

 午後2時開演。山形市北部公民館にて、お待ちしております。
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巨星墜つ

2016-08-01 21:30:10 | 音楽
 私たちの世代が感じる「大横綱」の、千代の富士が亡くなりましたね。残念なことです。私にとって大鵬の訃報とはインパクトが違います。なんだか、またひとつ「上の世代」に押し出されてしまったような気がします。


 しかし、演奏家としてよりショックが大きいのはやはり、中村紘子さんの訃報です。山響でも何度も共演しました。

 同じ大腸癌で亡くなった私の母を見ていたこともあって思うのですが、癌は怖い病気です。手術などで一度は復帰できるものの、安心するのもつかの間…というケースが多い。悲しいことです。


 さて、中村紘子さんといえば、やはりラフマニノフ。チャイコもショパンももちろん素晴らしかったのですが、「ラフ2」のド迫力は本当に凄かった。私はステージで、ピアノ本体に近い場所に座っているので、例の出だしの迫ってくるクレッシェンドには、恐怖感さえおぼえました。あれだけ魂がこもった音を出せる人は、なかなかいない。…猛獣に追い立てられるように弾かされた感があります。

 腕に縦横無尽に張り巡らせたテーピングにも、目を奪われました。あの気迫は、恐ろしいほどの修練のたまものなのだということがわかります。すでに大御所として押しも押されぬ地位にありながら、あのズタズタのテーピング。一般人が軽々しく覗き見てはいけない鬼気迫るものが、あの音の源だったのでしょう。

 リヒテルとかギレリスに通じるような、血が滴るような魂を削り取って鍵盤にぶち当てるようなピアニストが、また一人いなくなってしまったことを悲しく思います。


 御冥福をお祈り致します。
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田園交響曲

2016-07-30 21:02:58 | 音楽
 明日は山響の新潟、新発田での公演。去年から始まったシリーズです。

 今回は指揮者に山下一史氏を迎えて、ベートーヴェン「田園」、クラリネットのソリストに山響首席の川上氏を立ててウェーバー「クラリネット協奏曲2番」、頭にモーツァルトの「ディヴェルティメント3番」という、古典でまとめつつも変化に富んだプログラムです。


 ところで「田園」は言わずと知れた名曲ですが、有名なのはやはり冒頭でしょう。「田園に着いた時の愉快な気持ち」と、ベートーヴェンも楽譜に書いています。慌ただしい都会をしばし離れて、のんびりとした田舎での滞在が始まるウキウキ感…これは時代や国籍を超えたものなのです。

 今の慌ただしい世の中から考えれば、ベートーヴェンの時代のヨーロッパに、慌ただしさなど存在したのかと疑問に感じますが、そういう問題ではない。慌ただしさとは心情的な問題なので、数値では測れない。実際、田舎でも仕事のスケジュールに追われることは、東京と変わらない。私たちが身をもって断言いたします。

 …田舎方面に旅行したからウキウキしたんでしょ。

 それも違います。山形と比べてどうだというつもりはありませんが、旅行で佐賀に行っても対馬に行っても、心の中に「田園のテーマ」は鳴らなかった。


 ハッキリ言いましょう。田園交響曲の「愉快な感じ」は…「オフの始まり」の気持ちなのです。つまり田園は、地理的には存在しない。しかし同時に、どこにでも出現し得る。ベートーヴェンがこれを「絵画的描写ではない」としつこく言ったのは、そういうことに違いない。これは「オフを迎えた人」の心理的な描写なのです。

 例の、鳥が鳴き交わすところも、実際の鳥の鳴き声を模したものにあらず。ああいう音がノリノリで聞こえてしまうほどに、ベートーヴェンは郊外で過ごす「オフ」が楽しみだったのです。ちょっといじらしい。そして現代人の我々にも、痛いほどわかる。


 私は何が言いたいのか…そう、皆様と同じ気持ちです。

 夏休みが待ち遠しい…。


 以上、明日の「田園」も心を込めて演奏したいと思います。
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