2011年12月31日の夕陽が山脈の谷間の隙間を通して、日時計の秒針のように市街地の狭い範囲を赤く染めている。
陽が落ちる、燕岳の尾根筋の雪の輝きを覆い隠すように蒼い影が山頂に向かって伸びてゆく。
突然 山頂の一点がシリウスのように強い光芒を発する。
それは山小屋のガラス窓の反射光であり、ある季節限定のささやかなセレモニーである。
今年も様々な出来事があったけれど、最後の締めくくりに小さな光のショウに出会えたことで気持ちが和んだ。
2分程して山頂は蒼いシルエットに変った。
たおやかな歳晩である。
て