或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

フランス国立近代美術館

2009-08-05 06:22:05 | 830 パリ紀行
パリの美術館紹介シリーズの第3弾は、4区にあるフランス国立近代美術館。ここは総合文化施設であるポンピドゥー・センター(正式名称はジョルジュ・ポンピドゥ国立美術文化センター)の4階と5階にある。ルーブルやオルセー程は一般に知られていないけど、素晴らしい作品を相当数持っているというのが自分の認識。休館日を除き、いつでも夜9時まで開館しているのはとても親切。

事前に予想はしていたけど、メトロから出て建物の外観が視界に入ってきた時には驚いた。どうみても周りの伝統的な建物とは調和しない前衛的なデザイン。よく許可が下りたなあ。入口が分かりにくかったけど建物の裏側。ここには大広場があって、いたるところで大道芸をやっていた。ラッキーだったのは、入場して上階に行くエスカレータからパリ市街がよく見えたこと。

思わぬ景色に喜びながら美術館の中に入ると、外観ほどの派手さはないものの極めてモダンな雰囲気。迷路のような通路に戸惑いながら作品を鑑賞。収蔵品は、そのほとんどが20世紀以降の作品。中でもピカソのコレクションは相当なもので想像通り充実していた。個人的に楽しめたのがマティスとボナール。特にマティスは素晴らしく、彼の展示室には代表作がいっぱい。

まずは「模様のある背景の装飾的人体(Figure decorative sur fond ornemental)」(1926年)。以前に音楽がらみの記事で紹介したことがあるけど、高さが2m近くもある作品で迫力は満点。今にも絵の中の女性が出てきて酒のお酌をしてくれそうだった。それと雰囲気ががらっと違ったのが上の写真の「夢(le reve)」(1935年)。淡い色使いが絶妙で、眺めているだけで癒されたなあ。

この展示室に30分ぐらいはいたかな、中央のソファーにゆったりと腰掛けて。なんか幸せな気分。自分の家にあったらなんて素晴らしいだろうと。これってちょっと危ない発想か。大満足して美術館を出たけど少しだけ引っ掛かった。それはこの美術館が保有している有名作品のほんの一部しか展示されていなかったこと。まあ所蔵品の数からして無理なのだろうけど。