或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

ユニコーン

2006-11-05 06:33:05 | 200 ジャズ
最初に断っておきますが、広島出身でカープファンでもある奥田民生の昔のバンドの話じゃありません。Yahooのネットオークションは、けっこうレア物が目白押し。見つけて即買いしたのが、ベースの中村照夫の「ユニコーン(Unicorn)」(1973年)。LPは持っているけどCDも欲しかった。写真のジャケがなかなかファンキー。ユニコーンとは古代ギリシャ時代以来の架空の動物“一角獣”のこと。

このアルバムは、自分がジャズをやっていた時代に目指していた音楽そのもの。モードジャズをベースに、ファンク、R&Bが融合。今聴いてもワクワクする。NY録音で、メンバーも当時の新進気鋭のバリバリの若手達。サックスのスティーヴ・グロスマン、大好きなピアニストのジョージ・ケイブルス、ドラムスのレニー・ホワイトやアル・ムザーン、トランペットのチャールズ・サリヴァン等。

それで中村照夫だけど、日本では無名ですね。彼は1942年生まれ。22歳で渡米し働きながらベースを習得。苦労を重ねて自己の地位を確立。日本から行ったメンバーがお世話になったらしい。当時NYのジャズシーンで最も顔がきく日本人だったみたい。だから現場で活躍しているメンバーを集めたんでしょうね。こんなマイナーでコアな企画をしたTBMも素晴らしい。

今聴き返してみると、マイルス・デイビスの「Bitches Brew」(1969年)が、その後の70年代の音楽に大きく影響していたのがよく分かる。そこからいろんな音楽がアメーバのように派生していったから。熱かったなあ、あの頃は。だからこそ今また見直されているんでしょうね。調べると、「ユニコーン」は近日紙ジャケで再発されるみたい。ジャズ好きな方には是非聴いてほしい。

話は変わるけど、小説で熱かったといえば、今の時代が伊坂幸太郎で、ちょっと前が村上春樹とすれば、その頃は五木寛之かなあ。ユニコーンつながりで紹介するのは、彼が書いた短篇集「ユニコーンの旅」(1973年)。表題作の他に「奇妙な果実」「ダブル・クラッチ」「プラハの春とおく」「夜の世界」。彼の初期の作品には、なんとも言えない時代の匂いがします。

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