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ときめきの日々を過ごしたい

豪雪に耐へて得た栄冠

2019-07-23 11:00:01 | Weblog
本日の信濃毎日新聞の斜面。

    私はこの斜面を毎日楽しみで愛読させていただいている。

まってるぜ激闘の夏甲子園
夏の夢ふつふつと湧く甲子園

  飯山と伊那弥生ケ丘、30年ぶりの公立校対決―。高校野球長野大会の決勝戦はその期待にたがわなかった。力を出し切った両校選手のすがすがしい表情。余韻に浸りながら、ふとテレビ画面の「作詞・田井安曇」とある校歌に引かれた◆調べてみると、飯山高校は市内の3校が統合して新しいのに、5番ある詞は格調高い文語調だ。<静かなるこの地に生まれ/新雪に耐へて育てば/何事か必ず遂げむ…>。

田井さんは<1930~2014年>地元出身の歌人である◆戦中、旧制飯山中に入学し、3年のとき戦闘機工場に変わった学校で働いている。生活が苦しいにもかかわらず父は進学を勧めてくれた。けれど期待に背いて戦争が終わると文学に夢中になった。わだかまりを抱えたまま古里を離れ岡崎高等師範に進み、東京の下町で教職に就く◆<文学に誤ちゆく一生かと再び父の危むらしき>。生前、本紙にこの頃の回顧をお願いしたことがある。そのエッセーに引いた、父との緊張を表す一首という。亡き父と雪深い古里への強い思いに終止符を打とうとしながらも田井さんは歌い続けた◆校歌は建学に携わった人々に思いをはせる。<奥信濃城下町に/学べよし貧しき中ゆ/郷びとは学舎を設けぬ/知の拠り処柱を植ゑぬ…>。今度のノーシードからの初優勝は新たな門出に花を添えた。歌詞のように豪雪に耐えて育んだたくましさの成果だ。甲子園でも発揮してほしい。