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ときめきの日々を過ごしたい

「木の根明く」 鍋倉山のブナの木

2013-05-11 10:33:18 | Weblog

 木の根明く胎児はなにを見てるや 「岳」主宰 宮坂静生先生

 この連休に冬中閉ざされていた新潟県に通ずる鍋倉高原の県道が開いたので、水墨画教室の画友がブナの木の「根明け」を写真に撮り絵にしたいとのことでしたので、渡りに船と言うわけで、私もブログにしようと思いたち、画友に写真をメールに添付して下さいと頼んで置いた。頼んだことをうっかり忘れていましたら、つい先日画友から素晴らしい写真がメールに乗って来た。今日の掲句はあえて私共俳句会「岳」の主宰である「宮坂静生」先生の句を拝借しました。と申しますのは掲句「木の根明く胎児はなにをみていをるや」は季語である「木の根明く」は先生が以前から提唱していなさる「地貌季語」である。従って歳時記には存在しない。先生の著書『語りかける季語ゆるやかな日本』では以下のようなことが書かれている。「地貌」を「風土の上に展開される季節の推移やそれに基づく生活や文化まで包括することば」として捉え、広く「季節に関する『地貌季語』とした」と述べている。そして、地域で定着している独特の季節感あふれる言葉を季語に準ずる「地貌季語」として蒐集し、その中の一つが「木の根明く」であると記している。掲句は木の根を人間の母体と見なしているのだろうか、まるで胎児が今まさに母親の子宮から生まれ出んとしているところを捉えてえて、「胎児は何を見てをるや」ではなかろうか。春を迎えた時期の新しい命と呼応した作者の感慨が伝わる。

 

     椈の幹水脈満ちて木の根明く