浜床のふろしき

尾道市因島から日常を記します

1999年7の月

2005年07月06日 | こども

1999年7の月に世界が滅びると予言したのはノストラダムスだったでしょうか。

約20年ほど前にまだ小学生だった時分、初めてこの予言の存在を知った僕は、大人になっている自分を想像してみた。その頃の夢はサッカー選手になることだったので、華やかな舞台でサッカーをしている自分を想像していた。結婚や仕事のことなど思いも付かなかった。

実際に1999年を迎えた時、僕は結婚していた。サッカー選手とはかけ離れた仕事をしていた。世間は、一時のノストラダムス予言ブームが嘘のように現実世界を生き、冷めた目で7月を迎えていた。

ところが、僕にはノストラダムスの予言どころではない大変なことが起ころうとしていた。子どもの誕生である。出産予定日が七夕(7月7日)だったが、息子はそんなにロマンチストでは無かったらしい。7月に声を聞くとほぼ同時に、陣痛が始まり、その日の夜に産婦人科医院に行った。

出産に立ち会うつもりだった僕は、気持ちの整理をつけ、妻を励ましながら待っていた。しかしなかなか出てくる気配がない。

すると先生の判断は「帝王切開」だった。こうなると立会いが出来ないのだ。結局、待合室で1時間ほど待っていたら、看護師さんが「生まれましたよ」と教えてくれた。どうやら、臍帯が2重に首に巻きついていたらしい。それでなかなか出て来れなかったのだ。

帝王切開のため、すぐにわが子を抱くことは出来なかった。彼は保育器の中に入っていたのだ。初めてみた彼の印象は、「宇宙人みたい」だった。

1999年7の月にやってきたのは、恐怖の大王ではなく、小さな命だった。滅亡ではなく、誕生だったのだ。

幼い頃から1999年7の月は僕の不安を駆り立ててきたが、この瞬間からは喜びの思いを与え続けてくれる記念日となって僕の心に残り続けている。