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■emerging artists -躍動する新進芸術家たち- (2021年10月1日~11月24日、札幌)

2021年11月24日 07時52分01秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 いなべみのり、黒坂祐、後藤瑞貴、斉木駿介、堀江理人、蓑島福子、鷲尾幸輝、和島ひかりの8氏。道内も道外もいるのが面白い。
 道外の最先端とつながっていよう、紹介しよう―という意欲が感じられる公的機関は、今のところ、500m美術館と天神山だけではないでしょうか。

 個人的には、いなべさん「境界の向こう」が、もうエモくて…。

 世界は、穴ぼこだらけで、喪失感に満ちている。
 そのことを、こんなに直球で伝えてくれるアートは、そんなにないでしょう。
 冒頭画像は、それでも、人が2人近くにいるだけで、他のいなべさんの絵にくらべると、まだ肯定的な希望のようなものを感じさせます。

  

 これも同じ作者。
 人がばらばらに夜の中に立っています。
 人と人をつなぐひものようなもの、かと思ったら、そのひもは星はつないでいるけれど、人にはつながっていないのです。

 1999年札幌生まれ。北海道教育大学岩見沢校在学中。




 斉木駿介「スクロールする風景」。
 1987年福岡県生まれ。
 これはとてもわかりやすい、現代の風景。
 いまは、現実にある風景よりも、パソコンやスマートフォンの画面やにわたしたちは取り込まれているといってよさそうです。

 (ブックオフやファミリーレストランのない土地に住んでいる自分としては、ほかに言いたいこともあるのですが…)。


 

 鷲尾幸輝「skin hunger」

 死に化粧を目にした経験を通じて、「肉体の死」と「表象としての死」について考察した作品。
 手前に置かれた花瓶のようなオブジェだけが、妙にリアリティをもって存在しているのがおもしろいです。
 1997年札幌生まれ、北海道教育大学岩見沢校卒。


 

 蓑島福子「Intangible Garden, 触れることのできない」

 12枚組み。真鍮の長短の針金を、コンテや筆に代えての、一種のドローイング。
 1994年旭川生まれ、札幌市立大博士課程修了。

 
 
 堀江理人「室内・風景」

 1995年札幌生まれ。
 堀江さんはあいかわらず家族とか先祖とかに非常にこだわっているのですが、そして、そのこだわりのわりには「ルーツをたどる旅」みたいなものには行かないのがおもしろいと思うのですが(単にコロナ禍で行けないだけなのかもしれません)、道産子の先輩として単純に不思議なのは、なんでそんなにこだわるのかな、ということ。
 内地(とあえていいます)の人たちと異なって、3代さかのぼったらよくわかんないし、わりとどうでもいい、っていうのが、北海道人の基本的なメンタリティなんじゃないかと思うんですよね。

 びっしりと貼られた新聞はすべて北海道新聞なのが、神田日勝との違いかな。
 まあ、それは冗談としても、コロナ関連の記事が意外と少ないのが目に付きました。
 あと、正方形の小品で、空に気球がぽっかりと浮かんでいるのが、松樹路人っぽいな、とか、いろいろなことを考えました。


2021年10月1日(金)~11月24日(水)午前7時半~午後10時
札幌大通地下ギャラリー 500m美術館 (地下鉄東西線大通―バスセンター前の地下コンコース 500m.jp/ )

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