
(承前)
Yuji Noguchi “Anima”
野口裕司さんは1968年生まれ、札幌在住。
毎年1月、札幌時計台ギャラリーのその年のトップを切って個展を開いている。
もともと日本画のフィールドで制作に取り組んでおり、「北の日本画展」にも出品しているが、近年はインスタレーションから映像へと、いわゆる現代美術的な方法論へとシフトしつつある。

今回、ハルカヤマで野口さんが支持体としたのは、会場に残されているホテルの廃墟の壁である。
この壁の上側に、先に紹介したKensyoさんや山田良さんの作品がある。

ところで、このドローイングは、壁にかかれた実物を見ても、なにかしら増殖していく感覚がつたわってくるのだが、もっとおもしろいのは、ドローイングの過程をコマ撮りアニメーションの要領で撮影して動画投稿サイト「You Tube」にアップした一連の映像である。
「野口裕司」で検索すると十数本が出てくる。ここでは、そのうち2本を貼り付けておく。
それぞれ短い映像だが、元になった制作行為は、かなりの長時間・長期間にわたっているであろう。
そして、実際の壁の上で、わたしたちが見たのは、完成後、あるいは、製作途中の、限定された瞬間の線描であるが、You Tubeでは、長い時間を凝縮して、絵画そのものが成長していくプロセスが見られるというおもしろさがある。
これは、一般的なタブローの制作やライブペインティングの早回し映像では味わえないおもしろさだろう。広い壁に、線がどこまでも増殖し拡大していくという、作品サイズ自体が、映像を見始める者に見当もつかない大きさであるということが、この映像をスリリングなものにしている最大の理由のひとつだろうと思う。
その意味で、今回の野口さんの試みは、絵画と映像を密接に結びつけた、なかなかユニークなものであった。会場をみて、YouTubeをみていない人は、ぜひ見てほしいと思う。
□http://web.me.com/nogupee2/Site/Welcome.html
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■野口裕司展(2010年)
■第24回北の日本画展(2009年)
■野口裕司展(2009年、画像あり)
■第2回にかわえ展(2008年、画像あり)
■第23回北の日本画展(2008年)
■FIVE ENERGY (2007年)
■20周年記念 北の日本画展(2006年)
■野口裕司展(2006年)
■北海道教育大学札幌校日本画展(2004年)
■野口裕司展(2004年)
■北海道立体表現展(2003年)
■野口裕司展(2003年)
■リレーション・夕張2002
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この壁の上側に、先に紹介したKensyoさんや山田良さんの作品がある。

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「野口裕司」で検索すると十数本が出てくる。ここでは、そのうち2本を貼り付けておく。
それぞれ短い映像だが、元になった制作行為は、かなりの長時間・長期間にわたっているであろう。
そして、実際の壁の上で、わたしたちが見たのは、完成後、あるいは、製作途中の、限定された瞬間の線描であるが、You Tubeでは、長い時間を凝縮して、絵画そのものが成長していくプロセスが見られるというおもしろさがある。
これは、一般的なタブローの制作やライブペインティングの早回し映像では味わえないおもしろさだろう。広い壁に、線がどこまでも増殖し拡大していくという、作品サイズ自体が、映像を見始める者に見当もつかない大きさであるということが、この映像をスリリングなものにしている最大の理由のひとつだろうと思う。
その意味で、今回の野口さんの試みは、絵画と映像を密接に結びつけた、なかなかユニークなものであった。会場をみて、YouTubeをみていない人は、ぜひ見てほしいと思う。
□http://web.me.com/nogupee2/Site/Welcome.html
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(この項続く)