「松風庵日記」 心はいつもお茶日和  

後半の人生の楽しみ方見つけましょう!

銘で季節を感じながら

2011年11月10日 | お茶三昧

ある時、お稽古でこんなことがありました。


道具の拝見の時、
「お茶杓のご銘は」と聞かれて
「・・・・・・どうしましょう・・さっき決めた銘がおもいだせません」
「どんな感じの銘かしら」
「とてもかっこよくて、これにしょうと思ったのに、お点前している間に忘れました。」
とのこと。

結局その場はいつも使っているありきたりの銘ですませたのですが、
そのあと水屋で一覧表を見直して、
「思い出しました~桐一葉です」
それを聴いて皆さん、
「かっこいい~ちゃんと言えたらよかったのにね」

11月に入ると使われる銘も大分侘びたものになってきますね。
まだまだ紅葉を愛でる銘も使いたいところですが、
なんとなく冬近しの銘を先取りしたくなるようです。

水屋で、虎の巻(アンチョコ)を見ながら決めた銘が、皆さんに通じなくて、
「・・・といいますと?」
なんて聞き返されて、うまく説明できないような銘もあったりして、
それがかえって、皆さんで「ああだこうだ」と話がはずんだりもします。





最近のそんな例が「北時雨」と「神渡」「紅葉賀」でした。

「北時雨」(きたしぐれ)は北の方から降ってくる時雨。
似た言葉に「北山時雨」というのもありますね。
「寒そうな雨ですね」と皆さん納得。

「神渡」(かみわたし)は、陰暦の10月に吹く西風で、出雲大社にわたる神々送るという意味だそうです。
「『神無月』は、出雲だけは『神在月』というそうね」と出雲の神様談義になりました。

「紅葉賀」(もみじのが)は、紅葉の美しいころに、紅葉を見ながら行う祝宴とのこと。
「春の花の宴」、「秋の紅葉の賀」だそうですよ。


お茶で使う銘には、今ではもうあまり目にすることができなくなったものや、
実生活では体験する事も無いだろうと思うものもありますが、
それでも口に出して話題に乗せることで、
季節の趣をちゃんと感じさせてくれるのですよね。