9年前、木曽を訪れたときに買ってきた1対の藁馬がいる。当時は単に「馬グッズの民芸品」として買ってきたものだ。でも今回の取材で、藁馬を作るSさんに話を聞くことができた。脈々と受け継がれる藁馬、それに込められた木曽馬への愛着、一つ一つが手作りの藁馬に、たくさんの想いがあることを知る。藁の加減で「痩せた馬」になったり、「肥えた馬」になったり、作っている現場を見ていると楽しい。サラブレッドでもなく、アラブ馬でもない、木曽馬を表現するのである。馬を飼っていたことがあるというSさんは、まるで本物の馬を育てるように藁を編んでいく。今回、お土産にとわざわざ作ってくれた。9年前に藁馬を作っていた人は、高齢のため引退されているという。でも、当時と変らない姿かたちの藁馬が、今、私の目の前に凛と立っている。馬への思いは、こんな形で受け継がれている。
写真は、開田村郷土館のパンフレットから。
写真は、開田村郷土館のパンフレットから。