GRASSの日々折々

馬好きフォトグラファーが綴る日々の1ショット。

馬頭観音の怪

2006年07月30日 | 馬徒然
木曽馬の3日間の取材を終えて、無事帰宅した。
天気予報よりも好天に恵まれ、保存会のNさんや地元の人たちのご協力をいただき、密度の濃い3日間となった。木曽町の皆さんには、心より御礼申し上げます。
ここで、怪談をひとつ。
開田村には(住所は昨年11月1日より木曽町開田高原となった)「丸山馬頭観音」がある。かつては参拝者が絶えることなく賑わった観音様。開田村に着いたその足で、訪ねてみた。林の中の空き地に車を止め、そこから草が伸びきった山道の参道を歩くこと100メートル。くもの巣に思い切りぶつかりながら、小さなお堂に辿り着いた。するとそれまで晴れていたのに雲行きが怪しくなりバラバラと雨。人気のない山の中、数枚の写真を撮って引き返した。車に戻ったとたん、雨がやんで、また快晴になった。
最終日の今日、もう一度丸山観音の撮影をしたくて、駅に戻る途中に観音様目指して車を走らせた。狭い小道、対向車があり、よけようとしたら、「ガガガガ!」とすごい音。左のタイヤが草に隠れていた溝に落ちてしまったのだ。対向車に乗っていた方々、通りかかった車関係の会社の若い男性、そして地元の人たちを巻き込んでの大騒動。電車の時間に間に合わないどころか、レンタカー会社のロードサービスが来る夜まで山道にいることになるかもしれない状況。でも、パニックに陥っている私を、皆さんが助けてくれた。おかげさまで、車は溝から脱出、契約どおりの時間にレンタカーを返すことができ、私は今、自宅でパソコンにむかっているのである。
結局、丸山馬頭観音へはいけなかった。馬の神様に、「来るな」と言われてしまったのだろうか。最初は「たたり」かと思ったけれど、あんな山の小道で、通る車が皆止まり、助けてくれた。「困った時はお互い様」と皆さんが、ご自身の予定も変更して、私の起こした事故に付き合い、名も告げずに去っていかれたのだ。皆様にはただただ頭を下げると同時に、「馬の神様」が、私に何かを告げようとしていたのではないかと、神妙になっているところである。
コメント
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