GRASSの日々折々

馬好きフォトグラファーが綴る日々の1ショット。

宮古馬を訪ねて(7)~太平号~

2009年04月30日 | 日本の馬
宮古島市総合博物館に、剥製となった宮古馬「太平号」がいる。
体高122cm、典型的な宮古馬の体型、鹿毛粕毛の牡馬。

1936年生まれ 1983年2月3日死亡(47歳)

そのように表記されている。
47歳まで生きた宮古馬!?
そんな長寿の馬が日本に存在したなんて!?

何人かの飼い主を経て、種牡馬として活躍し、1976年から平良市営の熱帯植物園で暮した。市民のアイドルだったという。
天寿まっとうの後、木曽馬「第三春山号」の剥製標本にあたった滋賀県在住の人とつながりがあったという那覇の九琉剥製研究所によって剥製化されたそうである。

宮古馬・・・また新しい出会いと発見をした旅だった。
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宮古馬を訪ねて(6)~馬に乗る~

2009年04月29日 | 日本の馬
Yさんのところにいる勝利(しょうり)号は、粟国生れの宮古馬。体は小さいですが、現在24歳、種牡馬としてバリバリの現役です。

Yさんは、勝利号を乗馬としても調教し、お孫さんなどを乗せていらっしゃるそうです。どうやって調教したのか伺うと、「何度も落とされるうちに」という答え。当初はまったくきかない馬だった勝利号は、いまや島で一番調教が行き届いた馬になったそうです。
私も乗せてもらいました。行けの合図にすみやかに反応し、速足の合図にもすぐ応えてくれます。それほど大きくないので、乗り降りも簡単、恐怖感はまったくありません。
人々の暮らしに寄り添ってきた日本の在来馬たちは、女性や高齢者でも扱えることが絶対条件だったので、すっかり別世界になってしまった馬術や競馬の馬と違い、身近なのが嬉しい。

現在宮古島では、荷川取(にかどり)牧場さんで乗馬を楽しめますが、近いうちに、熱帯植物園内に乗馬施設がオープン予定だそうです。
お問い合わせは、下記へ。

荷川取牧場
http://nikadorifarm.ti.da.net
〒909-0013
沖縄県宮古島市平良字下里2606-2
tel:0980-73-3850


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宮古馬を訪ねて(5)~ファミリー~

2009年04月28日 | 日本の馬
宮古島で一番驚いたのは、馬たちが一夫一婦制の「家族」で放牧されていること。
各家には、たいがい1頭ずつ牡馬(種馬)と牝馬がいて、「自然交配」によって子馬が生まれ、その後も父馬、母馬、子馬が同じ放牧地にいるのです。
写真は、熱帯植物園放牧地。父馬・タケハラ、母馬・美羅(ちゅら)、子馬・早紀のファミリー。

ベテラン生産者のY氏のお話では、ハーレムで放牧できる広い放牧地がないから、とのことでした。同じ血統がかたよらないように、カップルの組み合わせは、飼い主さんたちの間で馬を移動させ、毎年変えるそうです。
Y氏の放牧地では、「自然交配」の営み真っ最中でした。
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宮古馬を訪ねて(4)~ネピアグラス~

2009年04月27日 | 日本の馬
馬たちが好んで食べているのは、ネピアグラスという草です。とっても大きく一見硬そうな草ですが、牧草が豊かに見える放牧地にいる馬たちも、ネピアグラスの時間になると、皆集ってきてバリバリと食べます。

ネピアグラスは、宮古島のどこにでも繁茂しているという繁殖力の強い植物だそうです。熱帯アフリカ原産でイネ科。農家にとっては厄介な植物なのだそうですが、九州や南の島では牧草として利用されているようです。
北海道のドサンコが、森に繁茂するササを食べるのと同じように、宮古馬も、このネピアグラスを好んで食べるということに、とても興味を覚えました。
土地に繁茂する植物とそこに暮す在来馬とは、とても深いつながりがあるのだと思いました。

一方、放牧地にクワやバナナの葉があります。地元の人いわく、とても苦く、馬にとっては危険な植物なのだとか。けれど馬は決して食べないそうです。
本当に、馬は賢い!
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宮古馬を訪ねて(3)~おやつタイム~

2009年04月25日 | 日本の馬
荷川取牧場のおやつタイムは、荷川取さん(写真)手作りの黒糖。
さとうきびから作られる黒糖は、香ばしくて美味しいので、人だけでなく馬も、そして犬も大好きなのです。

ジャンプして黒糖をねだるのは、荷川取さんの愛犬マイ。
黒糖欲しさに夢中になって”脱柵”する子馬も!
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宮古馬を訪ねて(2)~さとうきび畑~

2009年04月24日 | 日本の馬
宮古馬保存会員の荷川取(にかどり)さんの牧場風景です。
オーナーの荷川取さんは、熱帯植物園の親子馬を含め、14頭の宮古馬を世話しています。
牧場では、2頭の子馬(スイン・牝、光太郎・牡)が生まれていました。

緑豊かな放牧地のまわりは、さとうきび畑が広がります。宮古島にはいたるところにさとうきびと葉タバコの畑がありました。

さとうきびの収穫期は1月から3月。4月のさとうきびは、新しく植えられたもので、この後かなりの背丈に育つそうです。収穫期には日陰ができるほどの大きさになるのかと思ったら、台風でなぎ倒されるため、それほどの高さにならないのだとか。さとうきびは台風にも負けない、強い植物だそうです。
さとうきびの茎は、馬もコリコリと美味しそうに食べます。

一方、葉タバコは花盛り一歩手前でした。タバコは遠野でも栽培されていますが、4月末にタバコを植えつけ、花咲くのは8月の末頃です。南国と北国・・・。同じ日本なのが不思議です。

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宮古馬を訪ねて(1)~子馬の誕生~

2009年04月23日 | 日本の馬
皐月賞翌日の4月20日から、沖縄・宮古島に在来馬の宮古馬を訪ねました。

羽田から直行便で宮古島に着いたのは午前10時、宮古馬関係者の方との約束が午後2時過ぎだったので、レンタカーをして、まずは宮古馬がいるという宮古島市内の熱帯植物園に向かいました。

散歩コースにも最適という広大な植物園の一画に、宮古馬の放牧地があります。
初めて会う宮古馬。ドキドキしながらのぞいてみると・・・、なんと小さな赤ちゃんが母馬のそばにぴったり寄り添っているではありませんか!
その日の朝方に生まれたばかりの女の子だそうで、名前はすぐに「早紀」と命名されました。
おりしも宮古島は、前日までトライアスロン大会で全国から選手が集っていました。たまたまその日に宮古馬に会いに来ていた女性アスリートの方の名前が、そのまま子馬の名前になったのでした。
子馬誕生のニュースは、地元の新聞でも大きく報じられました。
母馬は、美羅(ちゅら)8歳、父馬はタケハラ21歳。
美羅にとって4頭目の子馬だそうです。

早紀が生まれた晩、大雨となりました。
翌朝行ってみると、早紀の毛はびっしょりと濡れ、震えていました。でも午後には不思議と綺麗に乾き、元気に母馬のまわりを飛び跳ねていました。
在来馬の子は逞しい!

着いたその日の朝に生まれた子馬に会うことができるなんて、とても幸運でした。
写真は、生まれて2日目の早紀。

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いろいろな記念日♪

2009年04月18日 | 馬徒然
本日の岩手日報の「読書欄」に『遠野馬物語』の書評が掲載されたと、朝一番で遠野の馬生産者の友人がメールをくれた。
イチローの記録達成記事も掲載された記念の新聞。
もらったメール写真をそのままアップしました。
嬉しいですね、感謝です。遠野馬のPRになりますよう!

おりしもその友人の家では、今日子馬が誕生したそうだ。栗毛の牝馬。リンクしている「乗用馬生産に携わる日々・・・」のブログに生まれたての子馬の写真がたくさんアップされています。
まさしくイチローの記録達成と同時!

先日の大和ホースクラブの流鏑馬に参加されていたぴょーこさんのブログ「ぴょーこ+ブーの馬日記♪」で『遠野馬物語』をとりあげていただきました。
ありがとうございます。
http://blog.goo.ne.jp/pyoko

今日はもう一つお知らせです。
お世話になっている『乗馬ライフ』元編集長の牧浦千晶さんの馬ブログをリンクさせていただきました。
彼女は今、アメリカ在住です。現地の馬事情が動画や写真とともにたっぷり盛り込まれたブログです。

偶然にもたくさんの情報が集った日。
まさしく記念日です!

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ある少年の作文

2009年04月17日 | 遠野の馬
資料収集のため、日本馬事協会が発行していた『ホースメイト』を創刊号から読み返している。

1991年11月発行の第4号「読者のページ」に、「ぼくの黒い馬」という題名で、ある馬好きな小学生の作文が掲載されていた。ふと名前を見たら、びっくり!遠野乗用馬生産組合員Hさんの息子さんのM君ではないか!
当時小学校3年生だった彼が、初めて自分でお金を貯めて馬を買ったこと、気に入って選んだ黒馬が家にやってきたときの喜びなどが、素直に書かれていた。

発展途上だった乗用馬生産組合の高齢化にあって、このような馬が大好きな小学生がいるのは明るい希望だと、当時の編集部は綴っている。もう18年も前のことだ。
そんな少年も今や家庭を持ち、遠野で装蹄師として活躍している。

なんだかとても嬉しくなった。
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ヴァリシモの子供たち

2009年04月15日 | 遠野の馬
馬術の世界で活躍をしていたトラケーネン種のヴァリシモが遠野に来たとき、かなりの高齢だった。
にもかかわらず、後継種牡馬や次世代の母になる馬たちを立派に残し、彼は昨年亡くなった。

ドイツでファームステイをさせてもらった牧場の近所に、ヴァリシモが生まれたというトラケーネン専門の牧場があった。牧場主さんはご自分が生産した馬のその後をきちんとチェックしているのだと聞いた。
残念ながら牧場を見学することはできなかったけれど、ヴァリシモが日本で後継馬を残している事を知ったら、きっと喜んでいただけると思う。

同じくドイツ生れのノバスコシアは、今年ヴァリシモの牝馬を出産した。遠く離れた日本で、国を越えて生き続ける馬たちがいる。

写真は2006年8月、遠野馬の里で撮影したヴァリシモ。

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