小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「第6回砂浜美術館キルト公募展」にあたって・2007年11月

2007-11-16 20:51:44 | キルト

  美しい自然と素朴な人たち

 
高知県黒潮町土佐入野の駅を降りると駅前広場の柱に子供たち
の可愛い絵が柱一杯に書き込まれていて思わず立ち止まります。
 
赤い柱、黄色い柱、鯨や魚やコーヒーカップまで書かれています。
創作の意欲とアイデア、協力して皆で作るもの、作り出す楽しさを指
導する土地の先生と子供たちのアイデアが長旅の疲れを癒します。
そしてこの町は面白そうという印象を旅人に与えます。
 「砂浜美術館は建物がありません。美しい砂浜が美術館です。館
長は鯨です」この砂浜美術館のコンセプトは其処に行ってみて初め
てこの意味が納得できます。
 
 私が「砂浜美術館の潮風のキルト公募展」の審査をしてから第6回
目を迎えました。 今年は天候にも恵まれ、遠路ほかの県からお越し
下さった方たちや子供たちも参加して賑わいました。満開のラッキョウ
の花畠を前に、風にそよぐキルト。バックは入野の松原、その後ろは
太平洋といつもながら舞台効果は満点でした。 アメリカンキルトがヨ
ーロッパと違うユニークなところは質実剛健さと地域の協力精神を代
表していることです。お互いに助けが必要であった開拓時代の相互扶
助がアメリカ精神の真髄です。村人が集まって作る納屋の棟上はキル
トのパターンになりましたし、地域の協力精神はキルトビー(集まって
働き蜂のように働くこと)に代表的なアメリカの地域社会を見ることが
出来ます。
 もう一つの大事なポイントは寝室を美しくすることですが、日本の
住宅事情は近代国家、経済大国にも関わらず、暮らしの中でも最悪
な状況です。キルトを飾る余裕もスペースもないのが実情でしょう。
にも関わらず、世界に誇れる日本のテキスタイルの伝統が、その伝統
を証明するかのようにキルト創作が浸透したことは本当に嬉しいことで
す。 そのよい例が中島三枝さんの魚のデザインキルトです。

 ミシンキルトですが日本の布地で魚の陰影、立体感を見事に表現
しています。図鑑にあるようなデザインですが見れば見るほど繊細で
日本人でこそという作品で、アメリカに帰ってから誇らしくアメリカのキ
ルターに見せたい思いの作品でした。 現代的なよいデザインもあり、
中でもが子供たちには教える人の意欲とセンスが作品に反映され、

教えることの大事さを教わります。子供たちの行動は指導する先生
次第で変わるものだと信じています。
 このたびは巧さよりもキルトビーを子供たちから発信できる事を願っ
て、また皆で子供たちを見守るための意味を込めて子供の作品に
大賞がいきました。賞金の使用はまったく自由ですが、子供たちの
反応から大人が子供たちの社会意識を育てていけたらと願っていま
す。  キルトの公募はファインアートの公募と違います。暮らしのエッ
センスを網羅したキルトへの表現は無限で、限りない可能性が潜んで
いるところが人々の心に触れるのでしょうか。 2008年は砂浜美術
館の20周年だそうです。関わる皆さんの熱意で継続することの素晴
らしさをニューヨークにつながる太平洋を見ながら思うことも人生の幸
せと感ぜずにはいられません。

参考:砂浜美術館  http://sunabi.com/
        凸版印刷       http://www.toppan.co.jp

        ペンテル        http://www.pentel.co.jp

  


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1 コメント

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Unknown (おとめ座)
2007-11-17 23:34:03
砂浜らしく、ブルーが美しいですね!。 お魚が本当に泳いでいるようです・・・。
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