小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「マンホール」

2006-01-31 23:35:48 | ニューヨーク暮らしの日々


「マンホールはなぜ丸いの?」

 ”工事の人が入りやすいから”と思ったが、理由は蓋が落ちないため
とのこと。数日前ニューヨークタイムスに”なぜ船の窓は丸いのか”との
質問がありニューヨークのブロンクスにある州立海洋大学教授の答え
は”船は波にもまれ常に地震にあっているようなもの。コーナーがある
とひびが入る原因になります”とのこと。 
 日ごろ考えたこともないないことを考え,街を見直すのも面白いことだ。
気をつけてみると十字路には8個から10個ぐらいのマンホールがあり、
ブロックごとにいくつもある。セントラルパークの草の中にもある。
 NYには60万個以上ののマンホールがあるそうだ。300ポンドもある
鉄製の蓋のデザインもさまざま。その昔、馬が滑らないように切り込み
デザインが施された。マンホールの中は電気ワイヤー、電話線、ガス、
汚水パイプなど、コンエディソン(ガス水道会社)の管轄で大切なニュー
ヨークの暮らしを守っている。一番古い物は1866年、過去50年に作ら
れたものは殆どがインド、中国、カナダ製である。
 ニューヨークには、マンホールツアというのもあり、マンホールの写真
展も開催されている。
 マンホールのセキュリティを守るために現在はSTABLOKというメーカー
のハイテックボルトでパテントをとったロックが使用されだしているとのこと。
街角でマンホールの工事中の人たちに聞いてみた。
”マンホールはなぜ丸いの?”と。 ”落ちても体に傷つかないようにだよ”
と答えた。カメラを向けると”俺たちに興味をもたれたのははじめてだ!”
といって騒ぎ出した。”この仕事たのしい?”と聞くと
 ”勿論だよ!マンホールなしには俺たち、生きれないんだよ” 
とポーズを作った
 
の記事を書いた翌日の今日、インディアナポリスでマンホールの蓋が
数ダース盗まれる事件が起きた。マンホールの深さは4フイートから30
フイートの深さ。町中に危険信号と、鉄屑業者にマンホールの蓋を買わ
いようにおふれをだした。鉄屑高騰による泥棒とか。

 

 

 


「日本企業万歳!」

2006-01-26 10:19:40 | ニューヨーク暮らしの日々


「日本、未来への視点」       
 1月9日発行フォーブス・マガジンより 隔週週刊誌フォーブスがア
メリカ駐日大使J.トーマス シーファーの日米関係メッセージのあと
に続き、日本企業CEO12名を各1ページづつまとめ、14ページに
わたり紹介しました。人物評や指針を簡単にまとめてみると

*西田厚聡・東芝社長しっかりと眼を見て話し、注意深い言葉を
使い、魅力的な笑いを持つグレートコミュニケーター。世界競争に打
ち勝つ方法を明確に打ち出している。
*畔柳信雄・三菱UFJファイナンシャルグループ社長→
世界のトップを狙う日本最大の金融業。             
*渡辺捷昭・トヨタ社長→”改善を続け夢の車を安く世界中に提供
したい”と、微笑みながらやさしい話し方をする洗練された紳士。
*大塚陸毅・東日本鉄道社長→”私たちには社会的責任がありま
す。地震の多い日本での安全性を第一に考えています”と語る。
*井上礼之・ダイキン工業株式会社社長→エアコン、冷房装置シ
ステム、低価格のハイテックを目指し、12年間継続成長。世界マー
ケットを目指している。関西フイルのダイレクター。
*上月景正・コナミグループCEO→ゲームマシンのパイオニア。
カジノ、アーケード、ゲーム、ホームビデオなど社会の変化の波に乗
り社会の必要に応じている。
*御手洗富士夫・キャノン社長→”キャノンが世界の優秀な企業に
なることが私のゴールです”と呪文のように語り続がれた社長たちの
情熱が会社のDNAになっている。PCマガジンの調査ではカメラ、プ
リンターで消費者満足度はキャノンがトップ。 1966~1989年までキャ
ノンUSAの社長を務め、キャノン社長になってから6倍以上の利益を
上げている。 
*佃 和夫・三菱重工業社長→21世紀、世界のマヌファクチャーと
して注目される三菱重工業。ボーイング社との提携、パワーシステム、
エンジンなど57%が海外からの注文。
*森 詳介・関西電力株式会社社長→効率、軽減、海外進出など、
環境対策の戦略を立てている。柔道で鍛えた自己管理と展望がある。
*茂木友三郎・キッコマン社長→醤油生産世界一。食を通じて世界
に発信するグローバルな思考の持ち主。国際醤油大使。
*古賀信行・野村證券社長→新しい動機を作り投資の姿勢を変え
ていく日米間経済の指南役。
*小林栄三・伊藤忠社長→常時傘下会社を増やし、ビジネスに情
熱を注ぐ日本の指導的成長商社。開拓精神をかかげ、中国を新開拓
地とする。  

 日本人はみな夢中で働きました。松下幸之助が引退したとき
「夢中で働き、引退してみると自分が何も出来ない人間であることを
寂しく思う」という感慨を何かで読んだことがあります。現在の日本は、
無我夢中で働いた人たちの礎石の上に立っています。以上紹介
された企業はほんの一部だと思います。 1960年代の終わり頃、
「本日を持ちまして日本はUSAの戦争借財を返還しました」というラ
ジオニュースをニューヨークで聞き、感動したことを覚えています。
 日本という言葉さえも世間から注目されていなかった時、このニュ
ースの重みは貴重でした。

 特に最近帰国した折、いろいろ起こる信じられない事件に心を痛
めていたので、特に嬉しいことでした。フォーブスマガジンを読むチャ
ンスのない日本の方々と分かち合い、嬉びあえればと願って。
ニューヨークより


「アメリカン アンティック(2)」

2006-01-26 10:17:54 | ものつくり


埃を払われ晴れ舞台へ
 
年の1月末、雪の日でした。アメリカンフォークアート美術館が
提供するアンティックショーを見たあと、この[NY通信」ブログを書き
始めました。丁度一年がたちました。一年に一度開催されるこのシ
ョーは毎年欠かさず見るものですが、年ごとに値段が上がり、バラ
エティも少なくなっています。念入りに当時の暮らしの詩を縫いこん
だサンプラーは10万ドル前後です。”覚えていてね” と19世紀の
中ごろ流行したアメリカの少女たちが刺繍したサンプラーは現代の
子供たちに何を語るのでしょうか。そして今の子供たちが150年後
残すものは何だろうと考えさせられます。無名の人が作ったフックド
・ラグはキルトよりも注目を浴びています。それはキルトより以上に、
個人的メッセージがあり、会話があるからでしょうか。作り人知らず
の心温まるフォークアートに高価なお金を出すのもアメリカ人の創
造性への評価でしょうか。

(写真はブリキのフルーツスタンドと116年を経たフックド・ラグ)


「上を向いて歩こう」

2006-01-10 12:23:54 | ニューヨーク暮らしの日々

ブログの記事、「新年の空」のコメント
”さびしくありませんか?わびしくありませんか?”に答えて

 日本に帰って感じることは自分の意見を言わない人が多いことであ
る。肯定的、否定的にかかわらず人の意見から学ぶことは大きい。 
 さびしい、わびしい感情は誰でも持っている。感じたことがないといっ
たら嘘になるだろう。べったりと誰かが傍にさえいれば寂しさや侘しさ
は感じないのだろうか。しかし、寂しさや侘しさを他人に慰めてもらおう
と思うのは甘えだと思う。 女性に職業が開放されていなかった戦後、
最愛の夫に戦死され、子供を育てている時、母親は寂しさや侘しさを
感じただろうか。アメリカの開拓時代の女たちは寂しい、侘しいと空を
眺めて泣いただろうか。ターシャ・チュダーの暮しに学んでもらえたらと
思う。(2005年ゆうゆう8月号ターシャ・チューダーのインタビュー参照)

 太陽と空と水を共有できる天の恵みを考えるとき、神が存在すると思
う。この恵みに生きている間少しでも社会に還元していくのが人間の
義務だと私は常に思っている。 初めてニューヨークに来たとき街角で、
当時流行していた九チャンの歌、上を向いて歩こうを、日本語で反り返
って空に向って歌っていた人がいた。この歌は私のニューヨーク生活を
どんなに励ましてくれたことか。寂しさや侘しさは自分の懐にしまってお
こう。そして上を向いて歩いていこう!
 


「新年の空」

2006-01-09 19:40:22 | ニューヨーク暮らしの日々
空を眺めて思うこと 

 朝起きるとまず空を見る。いつもと変わりない空。しかし2006年
の空だ。ここに住んでから15年間おなじ窓からの眺めを飽きずに
眺めている。ローマンカソリック教会の、青銅で縁取られた古いスレ
ートの屋根が窓一杯に広がっている。15年前までは美しいこの教
会の中庭であった。ブロードウエイに面したABCテレビ局のデザイ
ンルームであった趣をこらした石作りの建物を壊し、中庭を半分削
って今のアパートがたった。この眺めが気に入って即刻購入したア
パートである。屋根の上に広がる限られた空でも美しい眺めだ。
 コーヒーを飲みながら空を見る。静止した私の幸福な朝のひと時。
子供の時から雲を見ながら形や物語を連想するのが好きだった。
 真っ青な冷たい空に白い雲が形を変えて流れていく。太くなり細
くなりスピードを出したり、時にはゆっくりと流れていく。まるで人生
のようだ。 空には希望がある。屋根の向うに続く夢がある。限りな
いアイデアを生むスペースがある。空はみんなのものだ。可能性も
みんなのものだ。コンピューター時代アイデアは世界中で共有でき
る。今世紀に生きる喜びも空が生んだアイデアだ。  
 ー”山の彼方の空遠く幸い住むと人のいう”ー おなじ空の下、世界
中の人々が幸せになれる日はいつのことだろうか。

「日米フックド・ラグ展」

2006-01-07 20:12:10 | フックド・ラグ

新宿プロムナードギャラリーにて 
 
第2回日米フックド・ラグ展が11月20日より12月9日まで新宿駅
地下西口の明治安田生命ビル、(東京都歴史文化財団)プロムナー
ドギャラリーで開催され、日米参加者22名、合計31点のラグが展
示されます。第1回目は2001年、東京電力TEPCO銀座館で開催さ
れ、今回は第2回目の展示です。 池袋西武カルチャーと新宿の朝
日カルチャーでクラスを持ち、NHKのおしゃれ工房を始めとして、一年
に一度ニューヨークより帰国のたびに教え、ラグを作り続けた人たち
15名とアメリカの著名な作家7名の参加です。 手を使って何かを
創作できる人たちは世界の何処でも生きることができ、共通の友人
を探し出すことも簡単だと信じています。
 完成した手作りは素晴らしいコミュニケイションになります。
作品を作り、出来上がった人たちの輝いた顔がそれを証明しています。
 アメリカンラグはキルトと同じようにアメリカを代表するクラフトです。
キルトもラグも世界中の何処でも作られたものですが、何がアメリカ的
かといえば、一つの社会現象を起したほど何処でも作られた事、自分
のアイデアを自由に表現した素朴な暮らしの歌を読み取れることです。
伝統のない国で自分らしさを表現することが最も大切なコミュニケイシ
ョンなり、そのユニークさは創作を尊敬するアメリカンスピリットを代表
するものです。 
 写真のラグは参加者全員の名前をフックしたラグでフックされたハ
ート、よくものをみる観察眼、手作り賛歌の手にハート、そしてショッ
キングな新しいアイデアがどんどん生まれるように、赤いペイントが
投げつけられたデザイン。(筆者作)

*全展示作品はwww.happykurashi.net
または検索「ハッピーくらしネット」でご覧になれます。
*「アメリカンフックド・ラグ」小林恵著・主婦と生活社(歴史紹介、
作り方から新らしいアイデアまで) 
アメリカンフックド・ラグ材料総代理店:ホームスパン
℡03-5738-3310