小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「今日よりも明日はよく」

2005-10-18 00:23:55 | ニューヨーク暮らしの日々


ニューヨークの散歩で思うこと 
 朝から真っ暗、ニューヨークは1週間雨が降り続いた。地球が号泣
しているのかも知れない。地球よ。涙のなくなるまで泣いておくれ。
極限になるまで歯止めがきかず人間共は地球を汚し続けている。
 石油が高沸してもヒーターは汗がでるほど入るし、寒くても、冷房は
風邪を引くほど入る。10月初めバスに乗ると冷蔵庫のような寒さ。
ドライバーに「冷房を消してくれませんか?」というと「レディが冷房を
消して欲しいといいますので消しまーす」とアナウスした。
 しばらくして後ろの席から「暑いーよーツ!」と声がかかった。案の
上、オーバーウエイトの男性。
「男性と女性はこういうところでまでまったく意見がくい違います。
仕事に来ていても家にいるみたいです!」とドライバーはアナウスし
てバス中が大笑いになった。 
 暗い毎日からやっと太陽が出た。日蝕で暗くなったとき神様の怒り
に触れたとお祈りした大昔の人たち気持ちは尊いものだ。
 16日の日曜はモグラがでてきたみたいに通りは人で一杯。セント
ラルパークを散歩する。 72丁目のダコタハウスの入り口のベンチ
には毎週末ビートルズを好きで好きで歌いまくっているグループがいる。
周りは大合唱になるから楽しい。若い人も、年寄りヒッピーも殆どの人
が一緒に歌う。
「愛してネ、愛してネ、1週間は8日間、愛してね愛してね・・・」  
みんな太陽に向って歌っているのかもしれない。
ブルンバーグニューヨーク市長の市長選挙に掲げる指針の一つは
「今日よりも明日をよく」だ。明日がある限り、明日に生きるかぎり、
地球は滅亡しないだろう


「チャイナタウンエレジー」

2005-10-07 07:16:30 | ニューヨーク暮らしの日々



奴隷の居なくならない街 
 
時々NYのチャイナタウンを歩くのは楽しい。バイタリティのあること、
同じアジア人として近親観を感じること、そして物価がどこよりも安い。
 どのぐらいの人口かは確信データーをつかめない。何を買っても、
税金がつかないのもマンハッタン摩訶不思議の一つである。 ここ
10年間のニューヨークチャイナタウンの様変わりはすごい。
 イタリアンビレッジを侵蝕し、さらにイーストサイドに伸びジューイッ
シュタウンを占領し、昔の豪華な銀行がピカ金光る結婚式場になって
いる。 
 チャイナタウンのエピソードはニューヨークタイムスにもよく掲載され
る。つい最近密入国者がチャイナタウンのエレベーターに閉じ込めら
れ,発覚を恐れてエレベーターの中の箱の中に入り、8日間隠れて
いた。発見された時、中国人でさえわからない地方の言葉で、死に
かけそうな彼が「元気になったら早く中国に居る妻を呼びよせたい」
と言った。 
 チャイナタウンの職業安定所には求職広告がべたべたと貼ってある。
郊外、交通費負担、レストラン、建築現場などあいまいな広告だ。
英語も出来ないし地理もわからないから場所がどちらでも問題になら
ない。とにかく”あっち”という所だ。1晩15ドルの安宿よりも寝ている
間にバスで運んでくれるのは魅力らしい。  
 無人化した8階建ポンコツビルの並ぶ横通りを歩いてみた。人影は
ない。しかしよく見ると4階まで鉄扉が閉められているが其の上の窓
は開けられ、スティームが噴出している。無人ビルのはずなのによく
見ると通路にガーベッジのビニール袋がたくさん出ている。入り口は
何処か。ドアは封じられて居るが其の横の壁にシグナルが付けられ
ている。押されたら確認している間に不法入国者は逃げれるようにな
っているのかもしれない。成る程と想像力を楽しんでいると閉められて
いるビルの前にトラックが止まった。ギーツとドアが開き、ものすごい
速さで中からカートンが渡され、トラックに積み込まれている。
 ミステリーを解読。感心して違う通りにでると半開きドアの内側に
男性シャツ5ドル、女性スーツ上下10ドルなどの広告が貼ってある。
 チャイナタウンは今も治外法権、アメリカのポリスを見かけたことが
ない。 
 愛犬にグルメレストランでスペシャルオーダーを毎日予約済テーブ
ルで食べさせる大金持ちがいるニューヨーだ。しかし、最悪条件でも
すがって生きねばならない人たちがこの街角にはたくさん居るのだ。 
 コーヒー60セント,餡入りお菓子60セントを食べながら複雑な感
慨でチャイナタウンの雑踏を眺める。