小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「マンハッタンのビル工事現場」(1)

2008-03-31 10:34:03 | ニューヨーク暮らしの日々

マンハッタンの地層

工事現場に囲いで塀が作られる前に撮影した写真。殆どが岩盤。
岩盤は粉砕機で粉砕して運び出されている。


各地でクレイン倒壊事故発生後、隙間もなく囲まれた塀。

工事現場には工事会社が明記されている。GOTHAMはNYのメジャー

72丁目はマンハッタンを斜めに走るブロードウエイの交差するところ
ウエストサイドの中心。セントラルパーク72丁目の角がダコタハウス

←地層分析図
 起伏に富んだマンハッタンの地層は地域により異なり複雑な変化 
に富んだ片岩から成り立っている。
 最近密集した建造物の間に新しいビル工事の場合、土地の高騰
でより高層ビルを建てることになり、クレイン崩壊事故が頻繁に起こ
り、ニュースになっている。そのため工事現場は厳重に塀で囲まれ、
歩く人が覗けないようになった。誰が作るのか眼の高さと犬用の覗き
穴が開けられ、そこから工事進行を覗くのも楽しみだったが、その可
能性もなくなった。
 老朽化した低い建造物が壊された後は高層アパートが出来る。
ウェストサイドの中心、72丁目の角の工事が始まり、また近所の景
色も変わっていくことだろう。


「イースターパレード・ニューヨーク」2008年

2008-03-24 06:06:46 | 
頭はスタンドの役目をする




「あなたいってらっしゃい。僕はいやですよ」といわないアメリカ人。



地下鉄・バスなどに使うメトロカードのリサイクル。凸版が印刷している。

似合えば帽子はあったほうが楽しい。

アメリカ人は楽しい事がお好き。


「ニューヨークの人力車」(Rickshaw)

2008-03-22 08:43:16 | ニューヨーク暮らしの日々

 今最もかっこよく、自然にやさしい乗り物・人力車
 「いかがですか?お値段は話し合い」と今人気の3輪人力車のドラ
イバーが日本語で私に話しかけてきた。
「あら、日本語巧いわねー。日本人なの?」というと彼女は反り返って
大笑いした。アフリカンアメリカンの女性、pedicab、輪タクのドライバー
は「日本人好きです」と付け加えた。そして「安くしますよ。有難う。た
のしいですか?さようなら。またね。お元気で」と知っている日本語を
並べたて「是だけ」と嬉しそうに話した。彼女は1週間輪タクを750ドル
でレンタル会社から借りている。30分一人25ドル、天気のよい日は
一日700ドルは稼ぐそうだ。最低でも100ドルは稼げるので、太る暇
はないし、悪くない仕事だという。

左右とも広告付きペディキャブ 
       

 1960年代、アメリカに来たばかりの頃パーティであった知らない人
が「日本には人間が人間を乗せて運ぶ人力車というものがあるんだっ
て?」と少し軽蔑的に聞かれ”人は生まれながらにして平等である”
国の質問だと感じ入ったものだ。あれから40年がたち時代は変わった。
ハイテックからまたローテックのシンプルテクノロジーが人気を集めて
いる。いまやポルーションなし、環境にやさしく、燃料なし、人力パワー
はコミュニケイションにもフレンドリーで人力車は人気が高まるばかりだ。
 リキシャウ、ペダルキャブ、ペディキャブ、バイク タクシーなどと呼ばれ
ている。

 パークには坂がたくさんあって巧くコースを選べば何よりも自分が
楽しいと。

話し合い成功。値段はあってないようなもので話し合いで決めるとか。

子供は半額。太目は多めにもらうとか。
 レンタルでなく自分で持っていてもビジネスが出来る。1台は4.000
~5.000ドルで購入できる。「只今結婚」ウエディングドレスを着た新婚
夫婦がのり、ビールの空き缶に紐をつけて後ろにぶら下げガラガラ音
を鳴らして通る。ブランド新車のオープンカーで新婚を送るより心温ま
る風景で、ニューヨークらしい一こまである。小さい町のツアにも全国
的に人気が広がっているそうだ。

 寒い冬はツーリストもなく人恋しい淋しい人力車。4月からはレントも
高くなる。か
わりに収入 も倍になるそうだ。英語の出来ない人は質
問に答えら
れないので ぐんとお安いとか。ニューヨークらしい話だ。                                             

 

 

                                                                                              




「ニューヨークの子供」 (1)

2008-03-17 12:22:44 | ニューヨーク暮らしの日々

クール!(かっこいい!)

 ワイヤーを入れて三つ編みの髪をおどらせている。「アラッ、気にい
ったわ。クールねー」というとお母さんが大笑いした。近所で。

誰もしない事、皆と違う事をを喜んでやる母親も子供も愉快だ。個性
はこうして身についていく。
靴下流行を取り入れているのねー
ファッショナブルなsicis(イタリーのタイルのお店)のディスプレイ

偶然に出くわす面白いすれ違いのチャンス。探してもないチャンスで
もある。72丁目ウエストサイド、住まいの近所で。



 


 

 

 


「ニューヨーク フォークアート美術館で ラグ・デイ 2008」

2008-03-11 04:57:10 | フックド・ラグ

アメリカン フックド・ラグ

 アメリカのフォークアート美術館で恒例年一回行われる“ラグ・デイ”
は今年で4回目になります。社会現象を起こした程、沢山つくられた
アメリカの2大クラフト、フックド・ラグをもっと知ってほしいというプロモ
ーションです。ハイテック時代の現在、鈎針と芯地とウールがあれば
キルトと同じく誰でも出来るアメリカのローテック代表クラフトです。

 作れるならば何か作って見たいと誰でもが願います。
でも、「才能がない。絵も描けない。不器用で駄目。作っても役にも立
たないし、必要もない。笑われてしまう。お金もかかるし忙しい。そん
なもの作るより寝ていたほうが益し」など、作りたくない理由は山ほど
あります。
 
しかし、「ラグとはこれだ!是を見たその日から・・・」というのが美術
館でのラグ・プロモーションです。

ゲイル ホートンとリー コーガンLee Korgan(フォークアート美術館)

 
あいにくの土砂降りの雨でしたが、ゲイル ホートン(Gail Horton)
の“ラグが語る物語”と題して彼女が作ったラグの物語、成長、家族、
近所の環境など彼女の暮らしを綴るラグ物語のスライドレクチャーで
した。
 
彼女は「画家でしたが、画家は描く環境が必要です。絵の具やキ
ャンバスを持ちあるかなければならない。場所も必要です。ムードに
もよります。なるべく孤独でなければならないなど。しかしラグ作りほ
ど簡単で、膝の上で材料の袋一つ持ち歩くだけど何処でもいつでも
出来る。友人と話しながら、テレビを見ながらでも作れる。この理由が
19世紀の女性たちがせっせとリサイクルウールで自分らしさを発揮
しました。これほど面白いミディアムはありません」
 
とゲイル ホートンはスライドを説明しながら自分史を説明しました。
 面白くない文章を読むよりもはるかに面白く、すべての思い出は写真
からデザインをおこしたものでした。おじいさんが耕すロングアイランド
の農地は今はもう埋め立てられてありません。それは歴史の1ページ
でもあり、表現はアイデア次第だとまた考えを新たにさせられました。
 家族の肖像が母親の手作りだと思うだけでも子供たちばかりでなく
見る人の心を暖めてくれます。

人物表現で新世界を開拓しているロズリン ログズドン
Roslyn Logsdon作                右下は貴山ひろみ作

 ラグはキルトとは違います。正確に作る規則がないのです。
気が楽でアイデア次第です。同じ写真やデザインを練習のため写し
てもパンケーキ作りと違い、全員違うものが出来ます。
そこが個性となり、人に語りかけます。たとえお気の毒のような下手
くそでも、あなたのクリエイションは充分に人を感動させ得るのです。
そこがいい。3枚作れば作り方は卒業です。後はリズムを得ればあ
なた次第です。作り出す事の楽しさを知った人生は楽しいです。
ぜひ作ってみてください。無から作り出す素晴らしさ。ラグ万歳。

参考:
 アメリカンラグ材料輸入日本代理店:「ホームスパン」
 東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7、1F  電話:03-5738-34310

参考本:
「アメリカンフックド・ラグ」 小林恵著 主婦と生活社  2002年
    歴史を含む本格的ラグ作りの手引き本  ホームスパンまで。 

お知らせ:
「第3回日米フックドラグ展・ストライプ」ストライプを主題に日米ラグ
50点が展示されます。2009年1月5日より1月25日まで 
ギンザ・ミキモト6Fにて開催。ご期待ください。
 

 


「割礼の儀式」CIRCUMCISION

2008-03-05 09:37:03 | ニューヨーク暮らしの日々

友人の孫が割礼を受けた日
 
こんなチャンスはめずらしいので来てほしいと、友人の孫の割礼の
儀式に招待された。
 
グラマシーパーク サウスのユダヤ教会に行く。何処のユダヤ教会
も偶像はなくシンプルである。
 
 この儀式はモーゼの律法により生後8日目に割礼をする3,500年
前の伝統によるものだ。現在は医学的に妥当かどうか検討され、人
種が混ざり、別に守られているわけではなく、むしろ珍しい儀式だと
いう。
 
ニューヨークでも最も経験のつんだライセンスを持つエクスパートの
専門家が割礼をつかさどった。中央の祭壇にベビーの割礼儀式用
の布がかかっている。父親がベビーを抱いて祭壇に立つと始まる前
に、母親である友人の娘は祭壇の下の席で泣き出した。何か厳粛
な事がスタートする一瞬だった。

 
「宗教的に重要というよりも神様がクリエイトした美しい命の出発を
します。」とベビーを抱き上げて簡単に挨拶。祭壇の後ろにベビー
用の
椅子が回され父親が椅子に座って抱くと、ベビーが泣き出した。
勿論
その前に痛み止めのクリームをつけ、手術は30秒ぐらいで終わ
った。
祭壇の後ろなので実際の手術は見えない。すぐに脱脂綿に浸
た甘いワインを口に湿らすとベビーは泣きやみ、静かに眠った。
 この間数分で終了した。瞬きも出来ない数分の出来事であったが、
赤ちゃんを見ているだけで何か神聖な気がした。

 
ドクターに頼むと10分から40分ぐらいかかるという。病院に行けば
1時間半はかかるそうだ。
 
この赤ちゃんの母親を4歳のときから知っている。12歳のとき両親
離婚して、母親も娘も数年間精神的にいろいろの問題を抱えた。
しかし
成長してから母娘はお互いの信頼と愛情を理解し素敵な関係
になった。
 友人たちが孫を持つ年齢になっている。何が素晴らしいといっても
人間を創造するぐらい素晴らしい事はないといつも思っている。

 外に出ると一点の雲もない透明な青空。希望の月、春を感じる3月
になった。新しい生命に感動し、生命の息吹を吹き込ませてもらい、
思いを新たにさせられた一日であった。