自分らしさの発見
自分は何をしているのだろうと誰でも悩むことがあります。
そして自分らしさとは何だろうと考えます。何を作ってもその人らしさは出てきますが訓練が必要です。
どんな訓練?よ―くものを見る、考えながら見る訓練です。これが身につくといろいろなアイデアが生まれてきます。
高知県、黒潮町にある砂浜美術館のキルトコンテストの審査員を20年近くやっています。小さな町で太平洋に面した
白い砂浜の後ろに松原があり、その木にロープを張ってキルトを下げるというプリミティブな展示です。
もう何十年も教えているキルトの先生もいますし、作ったこともない初めての人も子供たちも応募します。
初めて作った人が下手ですがなかなかなものです。30年もやっていれば誰でもうまくなりますからキルト界でキルト歴
30年とかの証明は全くナンセンスです。それを経歴に誇るのはおかしい。何を表現しているか、したいかが大切です。
針目が細かいから、作り方が正確だからいいということでもなさそうです。古くからアメリカでうますぎないようにどこか
間違いブロックを入れたのもうますぎるのは神様に申し訳ないと思ったおごらない精神からでしょう。
キルトと同じ年代にできたフックド・ラグがなぜキルトより面白いの?
30年の経験などと言わないから自由なんです。最初に作った人のラグも古い人が作ったラグもどちらが良いということで
はないのです。
下のフックド・ラグはラグは ”アメリカの暮しの詩(うた)” と書いたのぼりと ”発明と考える才能はアメリカのもの” と書いた
のぼりをアメリカのシンボル、発明と自由の女神がラッパを吹いています。
このデザインからアメリカの暮らしの詩(うた)の真髄が理解できますか? メッセージが理解できますか?
ラグ製作 上原洋子
3月11日の東北大震災は生きることの素晴らしさを日本中に再認識させてくれました。亡くなった方々から教わったのはつらいこと
ですが、生き甲斐のある生き方、お互いに励ましあい、社会に役たつメッセージを小さくても考えていきましょう。
ラグ製作 奥井周子
ラグ製作 上田恵美子
このデザインはメセナで社会貢献をしている会社の社長さんからいただいたデザインで匿名ですが、彼から社会意識ということは
どういうことか、いつも学ばせていただきました。「環太平洋経済連携協定」 という素晴らしく丁寧に書かれた美しい原画から
上田恵美子さんが作ってくれました。問題提起もさることながら永久に関心事と,時代を封じ込んでいます。