小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

谷中幼稚園

2015-07-15 21:03:36 | フックド・ラグ

             家の裏通りに谷中幼稚園がある。子供たちの送迎バスがいつも家の横に止まる。ピーチク、パーチクいつも元気をもらう。3歳ぐらいの子供たちだ。
            よく訓練されているのか皆お行儀がいい。台桜幼稚園がかわいらしかったのでもののついで谷中幼稚園の園長先生に話してみると大歓迎とのこと。
            全校園児は200人以上。チャンスですから見せるだけでいいです。まわりをぐるっと回るだけでも、とのこと。朝8時5人の先生が黄色の箱を持ってやってきた。
             
             早速箱をひっくり返して猫の舞台を作る。箱の周りにはござがかれた。やり方が早い! アットいう間にこの通り。
             
             がやがや、がやがやがやがや、がやがや、がやがや、がやがや、がやがや・・・・・・・ニャンキュウ!Nyank you!
                       
                  
                  
先生の話にちゃんと耳をかた向ける子供たち。国会よりお行儀がいいのは未来が嬉しい。お行儀よく次の見る出番を待つ子供たち。
                 大忙し!嬉しそうな顔顔顔。ラグ猫のお母さんたちに見せてあげたいと思った。何か感じたら「みました」などと不感症な返事は子供たちに
                 恥ずかしいことだ。ラグ猫のお母さん!字が書けるのですからコメントを入れてくださいね。また精を出して出産し子供たちにも答えましょう。

 

      
       

 


毎日ときめいていますか?

2015-03-24 16:16:16 | フックド・ラグ

       フックド・ラグが歌う身近な幸せ。猫ちゃん、猫ちゃん、可愛い猫ちゃん。

         フックドラグで作る猫ちゃんの彫刻作りに生徒一同輝いています。

                                

   
     
作る人によって猫の性格が出てくるのが面白いのです。'眼がものをいう'という諺通り、
    上目使いやロンパリや眼だけで性格が出るのは本当に楽しいです。
    このところ猫ずいていて猫のリサーチを何日も続けました。猫好きは世界中いるらしく、
    ものすごい量の猫サイトがあります。猫のDVDもつい何時間も見て一人で大笑をしています。
    アメリカにも猫につかれた友人がいて広大な土地とホテルを100匹以上の猫に開放し、
    ついに自分は小さな部屋に住み、大部屋には何十匹の猫たちがサーカスのように飛び回って
    いました。財産をすべて猫に使い果たし、猫に囲まれて亡くなりました。始まりは門の外に
    猫を捨てていく人が多く、大量の猫食にも困っていると聞いた人がトラック一杯猫食を置いて
    行ってくれたとか、幸せそうに話してくれました。
    また優秀なバヨリニストだった友人は猫に手をかまれバイオリンが弾けなくなりある日、
    猫を抱いてNYのアパートで自殺しました。

    縁があってニューヨークから谷中に住むようになり、猫の街谷中の猫好き姉妹と友人に
    
なりました。
    毎日5時半に起きて谷中墓地に30匹以上の猫ちゃんにご飯を届けています。
    朝6時過ぎその様子を見ようと谷中墓地にいきました。誰もいない墓地は怖いので桜通りで
    待ち合わせをしました。待っている間の猫物語。
          
                      
     
このおじさんは毎日この猫ちゃんの餌を持ってくるらしく、お行儀よくまっていました。
     見ていると朝食は3コース、初めにドライフード、次のポケットから違う袋をだし、こぼさない
     ようにまとめながら食べ物をあげ、おじさんはきちんと後始末をして去りました。
     数日後芸大の横から都美術館へ行く道の真ん中にこの猫が、ご飯を食べていました。
                     
     芸大の建物の裏には猫の集会所があり、4色ぐらい色の混じった見たこともないような
     ユニークな猫がいます。アートスクールの影響かしらん。
                                     
     猪熊絃一郎さんもご夫婦で猫を愛していましたし、ピカソ、マチス、ヘミングウエイ、コレット
    
など限りなく多くのアーチストたちも猫を描き、猫とともに暮らしました。
    上の絵は小杉小二郎さんの野良猫です。
    今4月1日から7日まで日本橋三越美術サロンで小次郎さんの展覧会が開催されます。
    野良猫なのでこの可愛いい猫ちゃんを拾いたいと思っています。しかし、はがき大で
    50万円以上でしたので見るだけ。許可を得ておすそわけです。

                               

 

 

 

 

 

 


戦争の爪痕をフックド・ラグで表現するアーチスト

2015-02-01 21:03:00 | フックド・ラグ

自分の悲しみをラグに閉じ込めているリンダのトラウマ

Linda Friedman Schmidt
リンダ フリードマン シュミットはニューヨークでであったラグ友です。戦争が終わり収容所が解放されたとき
彼女の父親は17歳,アメリカの援助で渡米、ニューヨークに来ました。リンダが収容所を出た人の中で最初に生まれた
子供です。それだけでトラウマが十分に理解できると思います。
         
  
        
左から私の横がリンダ フリードマン シュミッツ  NYフォークアート美術館でスピーチをした時の撮影

1930年ころからファッションのリーダー店であったニューヨークのヘンリ ベンデルのバイヤーをしたり,マンハッタンの56丁目
ユニークでファッショナブルなお店を持っていたこともありました。
リンダはいつもファッショナブルです。優秀なマネージャーで現在は世界中に自分のアートワーク作品のプロモーションをしています。
水着から靴下まで捨てられたテキスタイルを使用して
フックド・ラグでアートワークを作りコンテンポラリーアーチストとして活躍しています。

テキスタイルのポートレートアーチストとしてまた、癒しのアートとして心の中に隠された苦悩や感情を洗い流し、社会に問いかけています。
2009年企画した日米展でミキモトでラグを展示した時彼女の作品も展示しました。

写真左下の乳母車に座っている父親、「子供時代の囚人」という作品です。この作品は朝日新聞にも掲載されましたがリンダの人生経験
を如実に物語るものです。「涙」と題する最近の作品も彼女の内面を表現しています。

        
狼におびえる母と娘、勿論狼は父親です。泣き叫ぶ娘。苦悩に慟哭する父親など「アートとは日常の暮らしのゴミや苦悩を吐き出すため
にある」といったピカソの言葉に共鳴したといいます。

材料はすべてリンダの作品に感動した父親が拾い集めたものです。

1964年4月、初めて日本のツーリズムが解放されて渡米した私はニューヨークでティファニーの裏にあった帽子ブティック店のデザイナー
としてもぐりで働いた時のことです。オーナーはユダヤ人、他3人も
ヨーロッパで腕を磨いた帽子作りの名人たち。アウシュウイッツが解放され
たとき同じ船でNYに来た仲間で、
皆腕に刺青の番号がありました。トップの腕利きのデザイナーのレーナはドイツで有名な帽子店の娘で
家族は収容所で皆殺されたという。レーナは収容所で電気拷問を受け家の電機は24時間つけっぱなし、アトリエでもアイロンにさわれませんでした。

私を含めて6人いたアトリエで毎日彼女たちの経験談を帽子を作りながら聞くのはショックで凄い経験でありました。
一人いたドイツ人はいつも無言。黒人のアシスタントはいつも歌を歌って知らん顔。表の店から戻ってきたマダムは「ケイ!また聞いているのねッ!
やめなさーい!」と怒鳴りながら店に戻っいく毎日でした。世の中のことをあまり知らない30歳。ニューヨ―クの日々はリンダの作品を見るたびに
鮮明に思い出し, いろいろの人間と暮らしの観察の眼を開眼し、多様性を考えて世界を見る
動機となりました。

リンダの表現は素晴らしい。学ぶことも多い。自分で評価する値段も25万ドルと高価。しかし私たちはピカソにはなれないのでラグ作りは美しくて、
楽しくてほっこりし、
誰かをハッピーにできれば充分ではないだろうか。

安くても売れなくてもお金に換算できない価値を作り、作者たちが作り上げた自信を宝にできることはこの上なく光栄で嬉しいことなのです。

 

 


何を伝えたいのか。あなたしか作れないものを作るものつくりの楽しさ。

2015-01-15 14:09:29 | フックド・ラグ

              自分らしさの発見

            自分は何をしているのだろうと誰でも悩むことがあります。
            そして自分らしさとは何だろうと考えます。何を作ってもその人らしさは出てきますが訓練が必要です。
            どんな訓練?よ―くものを見る、考えながら見る訓練です。これが身につくといろいろなアイデアが生まれてきます。
            
            高知県、黒潮町にある砂浜美術館のキルトコンテストの審査員を20年近くやっています。小さな町で太平洋に面した
            白い砂浜の後ろに松原があり、その木にロープを張ってキルトを下げるというプリミティブな展示です。
            もう何十年も教えているキルトの先生もいますし、作ったこともない初めての人も子供たちも応募します。

            初めて作った人が下手ですがなかなかなものです。30年もやっていれば誰でもうまくなりますからキルト界でキルト歴
            30年とかの証明は全くナンセンスです。それを経歴に誇るのはおかしい。何を表現しているか、したいかが大切です。
            針目が細かいから、作り方が正確だからいいということでもなさそうです。古くからアメリカでうますぎないようにどこか
            間違いブロックを入れたのもうますぎるのは神様に申し訳ないと思ったおごらない精神からでしょう。

                         キルトと同じ年代にできたフックド・ラグがなぜキルトより面白いの?
            30年の経験などと言わないから自由なんです。最初に作った人のラグも古い人が作ったラグもどちらが良いということで
            はないのです。

            下のフックド・ラグはラグは ”アメリカの暮しの詩(うた)” と書いたのぼりと ”発明と考える才能はアメリカのもの” と書いた
            のぼりをアメリカのシンボル、発明と自由の女神がラッパを吹いています。

            このデザインからアメリカの暮らしの詩(うた)の真髄が理解できますか? メッセージが理解できますか?

                                      ラグ製作 上原洋子
 
                            
 
            
            3月11日の東北大震災は生きることの素晴らしさを日本中に再認識させてくれました。亡くなった方々から教わったのはつらいこと
           ですが、生き甲斐のある生き方、お互いに励ましあい、社会に役たつメッセージを小さくても考えていきましょう。

                                      ラグ製作 奥井周子
                           

                                      ラグ製作 上田恵美子
                         

            このデザインはメセナで社会貢献をしている会社の社長さんからいただいたデザインで匿名ですが、彼から社会意識ということは
          
どういうことか、いつも学ばせていただきました。「環太平洋経済連携協定」 という素晴らしく丁寧に書かれた美しい原画から
          上田恵美子さんが作ってくれました。問題提起もさることながら永久に関心事と,時代を封じ込んでいます。           
 

 

           
            


                        


 

                                            


一般社団法人日本フックド・ラグ協会2015年度新入生募集のお知らせ

2015-01-11 20:07:33 | フックド・ラグ

                        2015年度 新入生募集のお知らせ

   

     1)第3火曜日(A)午前クラス 10.30~12.30, (B)午後クラス14.00~16.00

      1/20, 2/17, 3/17, 4/21, 5/19, 6/16, 7/21, 8/18, 9/15, 10/20, 11/17, 12/15

     2)第3水曜日B)午後クラス 14.00~16.00

      1/21, 2/18, 3/18, 4/15, 5/20, 6/17, 7/15, 8/19, 9/16, 10/21,11/18, 12/9

     3)第3木曜日(A)午前クラス 10.3012.30, (B)午後クラス 14.0016.00

      1/22, 2/19, 3/19, 4/16, 5/21, 6/18, 7/16, 8/20, 9/17, 10/15, 11/19,12/10

     4)第4木曜日(A)午前クラス 10.3012.30,  (B)午後クラス 14.0016.00

      1/29, 2/26, 3/26, 4/23, 5/28, 6/25, 7/23, 8/27, 9/24,  10/22, 11/26, 12/17

 

    注)クラス日程(A),(B),決定後クラスを移動することは不可。欠席の振替はありませんのでご注意ください。
      1クラスは6名迄。申し込み順に決定します。詳細は℡:03-6317-4553 keikobayashiny@gmail.com
            に問い合わせください。

          場所:荒川区西日暮里3-18-9 (JR,千代田線西口下車、徒歩5分) 小林恵


アートとは自分らしく創作し人を幸せにすること。上手下手は別のことです。

2015-01-06 10:30:01 | フックド・ラグ

              自然を変えることはできません。自分らしさで表現することがアートの原点でしょう。

       創作はその人しか作れないものを生みます。それがあなたらしさであり、価値もあり見る人を幸せにします。

      谷中小学校の3年生が描いたカバさんとペンギンちゃんの絵は、描いた人にもその絵を見る人にも微笑を贈りました。
      練習のためフックド・ラグでその絵の複製を作り、ミキモトホールで展示しました。見にいらした人たちは ”可愛いい!かわいい!”
      と立ち止まりました。動物たちからも、”幸せだよー”の声が、かき手
からも ”可愛いねーッ” という楽しい声がきこえてきます。
      その絵でラグを作ることは絵描きからラグの作り手へ、そしてそれを見る人へと輪つなぎになり、素敵なコミュニケイションと
      なっていきます。  
        
                   谷中小学校3年生 佐久間暁子絵                        谷中小学校4年生 能戸彩藍絵 

                                                 
                   
 ラグ制作 細山萌子                                    ラグ制作 齊藤千恵子

                    
                        
一目会いたいので上野動物園に実物を見に行ってきました。

 


          

 

           同じアングルではなかなか撮れません。カバちゃんはウンチを水の中で2回もやり、水槽は緑色に変わりました。
        絵の緑色は草でなく、その色だったのですね。水槽の色が変わるほどの量で、驚きの発見でした。
        

        よく観察し自分らしく創作する子供たちの発想の素晴らしさに、改めて感動した嬉しいハッピーな午後でした。


何事も馬くいきますように

2014-12-28 16:41:13 | フックド・ラグ

 ”あの人には馬力がある”  人並み以上に働く人を言いますね

がむしゃらに働く人をwork like horse といいます。そしてもりもり食べる人ことをeat like horseともいいますね。
馬力って標準的荷役1頭分仕事の工率の単位で人間の約10倍。日本の計量法では7355ワット。といってもよくわかりません。

野生の馬狩をして馬を人間が使ったのですから馬にとって良かったのかどうか。お金持ちは今でも馬に男の夢をはせています。

                
                    ラグ制作 榎戸ゆかり            ラグ制作 福田美津江    心が和む馬たちです。

 榎戸ゆかりさんは水戸から教室に通っています。言葉の少ない方でいつも静かに笑っています。このラグが完成する前
にご両親が病気で倒れ、教室を休むことがたびたびでした。心配していましたが最後の教室に少しどうかな?と思われる
一応完成のラグを持ってきました。残念ながら修正してほしいところがありました。黙って帰りました。こういうときアメリカ
精神を盛られたフォークアートを教えている私は悩みます。自分らしさを発揮してくれればいい。楽しく作ってくれればいい。
と思いいながら訂正を強要している自分に悩みます。展覧会搬入の最後の日、ゆかりさんがやってきて一人で黙って訂正
していました。「これでよろしいですか?」というのも遠慮して私が行くまで待っていてくれました

 展示中「これいいなー」と多くの男性がゆかりさんのラグをほめてくださいました。馬のせいで巧くいったようです。
TRANSITというサイトマガジンに取材されました。
ぜひ見てください。http://www.transit.ne.jp/contents/info/2014/10/post-292.php

 アメリカ インディアンと馬は切り離せません。そしてジンギスカンと馬。英雄と馬。果てしなく馬は人間の夢を運びました。
人間の労働をたすけた素晴らしい馬たちはは開拓時代に沢山フックされています。

  
                        
                           駆け落ちラグ、より遠くへ。走れ愛馬よ!
                             車の駆け落ちより楽しそうですね。

 

 

 

 

 

 

                                      


キルトよりラグのほうが個性的で暖かく微笑ましさも増す不思議な世界です

2014-12-25 21:04:07 | フックド・ラグ

 どのラグもも皆可愛いい!

ラグはキルトのアップリケより、暖か味が出るのはウールの持つ優しさでしょうか。
こんなラグがベッドの下や、部屋のどこかにおいてあると、よほど鈍感な人でない限り 「マア可愛い!」と叫ぶに違いありません。

ラグの 「かわいさ」 は完璧な表現でないところがいい。 動物や鳥、人物にも愛嬌が滲み出るのは不思議です。

子供の描いた絵など歴史を記録することにもなり、人生の節目に贈ることが出来たらお金では買うことのできない宝ものに
なります。キルトのエクスパートは50枚以上、自分たちが作ったキルトが押し入れに眠っているそうです。
ひと針ひと針
縫いこんだキルトを手放したくないのもよくわかります。高級ブランドのドレスを50万円で購入するのは不思議
でありませんが、美しいベッド掛けに投資する人は極小です。同じく
ラグに投資する人も少ないのも住まいの感覚の違いとも言えます。

大統領ジョージワシントン夫人の財産目録にキルトもあり、ラグの上は靴で歩くのでむしろ消耗品だったのでしょう。しかし
残されたアメリカン ラグは美術館のコレクターアイテムになり、壁に装飾用として使われたりしています。
 

 ミキモトのラグ展にみなさん経験のない生徒たちが数か月~1年足らずで作ったのですからすごいことです。
”やればだれでもできる” 証明です。自分の手で作り出せる喜びは格別ですね。   

  
    
   ラグ制作 平野陽子    ラグ制作 西山恵理子    ラフ制作 山下和子     ラグ制作 真弓淳     ラグ制作 上原洋子

      

 

 

 

 

      

 

 

 

 

      


幾何学デザイン:単純の美しさ

2014-12-22 17:33:29 | フックド・ラグ

  伝統的なキルトデザインは幾何学デザインが多いのですが、単純な幾何学デザインに衝撃的な魅力を感じるのは
私だけではないと思います。 一つのキルトブロックを拡大しただけで、美しさは脳裡に記憶されます


歌舞伎の着物でも三角つなぎとか、美しい縞模様など何百年たっても永遠に魅力的で新鮮です。
        
        
     
                 ラグ制作 平尾直子                        ラグ制作 柴田万里
 

 幾何学模様は直線でつなぐのが常識的ですが、アフリカのクーバデザインは直線も手書きのように ラフイアの上に刺しています。
無数に作られたアフリカの伝統的クーバはどれひとつ同じものがありません。 しかもパターンから刺すのでなく好きなように幾何学模様を刺していきます。
 デザインした人を愛さずにはいられないような魅力的なものです。ラグ作りには易しくありませんが川上さんは見事に完成しました。
参考に名もないアフリカで作られたアンティックのラフイアの織物の上に織り目をすくって刺した幾何学デザインのクーバデザインをご紹介しましょう。
 ピカソもジャコメッティもアフリカの素朴なフォークアートから影響を受けたこと、人間の想像力、アイデアって本当に素晴らしいですね。

 
 
       ラグ制作 川上春美


フックド・ラグはウールでなくてもできますよ

2014-12-04 22:35:48 | フックド・ラグ

 え?ほんとう?

                     

   100円ショップの荷作り紐だって出来まーす。KKのイニシャル一つのパターンで5色を使いました。
  ウールははじめと終わりのストライプを表に出して表面の高さに合わせてカットし、アイロンをかけると初めも終わりも
  フエルト化してわからなくなりますがウール以外は初めも終わりも裏側に2センチ位出したままにしておきます。
  
出来上がってからアイロンをかけず濡れた手ぬぐいかスポンジで湿らします。自然乾燥で出来上がりです。
   これはA3の大きさですが5色なので資金は¥500.使用した量としては20円ぐらいでしょうか。
  練習には最適です。しかし裏には紙を貼るかして抜けてこないようにします。ミキモトの展示用に表具し額に入れました。

                     
 Tシャツのリサイクル。ニットはカッターで切れませんから鋏でニットの編目に沿って切ります。
 ニットの伸び具合で引っ張ってから5ミリになるように切る幅を決めます。鋏は100円ショップの一番長い鋏が最適です。
                     
                        リサイクルTシャツ。制作 山下和子
 コットンはウールのように滑りがよくないのでちょっと肩がこるのが難点。しかし水廻り場所、キッチンや洗面所には最適です。
                     
                     メタライズド・ポリエステル 材料提供 新井淳一
 いろいろの布地を開発した新井淳一さんの初期のころの試作メタライズポリエステル布です。現在は素晴らしい色彩があります。
 この布地も手でカットしなければならずアイロンもかけることができませんが、それが面白いとも言えます。上は表具し額に入れたものです。
                           
 ネクタイ12本でA3サイズが出来ました。ネクタイをひろげ、縦直線1センチ幅を鋏で切りました。
 
完全バイヤスでネクタイは上等のシルクなので、切り口の繊維がしっかりしてフックし易く、アイロンをかけると驚くほど
 しっかりします。バイヤスにカットすれば、切り口がほどけず着物のリサイクルも可能でしょう。
 イメージデザインがなくても、縞にしただけでも着物のの柄次第で果てしなくデザインが広がることでしょう。
 裂き織と同じ効果が出ると思いますが、裂き織は織機次第ですが、フックはかぎ針と手だけで
自由自在に好きなデザインができることが
 素晴らしい点です。ピカソは6歳まで創作の才能は誰でも素晴らしいものを持っているといいました。
 
かっこつけないで子供の様にに好きなようにやってみましょう。出来ないのではない。やらないだけです。

 

 

 

 


アルファベットは素敵なグラフイックデザインになる

2014-11-30 19:49:08 | フックド・ラグ

 アルファベットが字体は装飾的に遊べる場合が多いです

 単純な広告は仮名文字よりもアルファベットのほうがデザイン的に端的に記憶に残ります。小杉小次郎さんの手書きも楽しいですね。

                                      
      アメリカの自動車ショーのポスター          寂しくならないように友達には手を差し伸べよう     小杉小次郎 銀座百点表紙  銀座の恋の物語        
   
        フックド・ラグ制作 伊藤恵子              フックド・ラグ制作 小林 如                  フックド・ラグ制作 平石悦子
    

                            歓迎 日本 デザイン 仲條正義        
                                この本の下にはREMEMBER
                              フックド・ラグ制作 山岸郁子        忘れないでねと書いてありますが、MEM3字のスペースがないとき、
                                                        メンと2字にして REメンBER 英語と日本語の造語。楽しいと思うのは私だけ?
               
                      

        

                                             
                                         
     

 

 

                                

 


奇跡の1本松-心の1本松、フックド・ラグで表現

2014-11-20 20:03:08 | フックド・ラグ

 ”忘れられない”悲しみと希望を心にとめて残った7万本の中の1本- 「奇跡の1本松」 一目づつ草木染でポスターサイズのフックド・ラグを埋めていった感激の記録です。このフックド・ラグを亡くなった人々と亡くなったものたちへの鎮魂歌として捧げましょう。100年は保存されていてほしいと願います。高橋雄二氏撮影の心を打つほど美しく、いつみても3/11を思い出し、センチメンタルになり心が痛みます。
 岡本登志子さんが易しく
しはないこのイメージをラグ作りに選んでくれました。

 高崎市に住む岡本登志子さんは裏山で集めた草、樹の実、木の皮、くるみ、栗,アカネ、スモモ、ゆず、ヨモギ、桜、ぺんぺん草、など手で摘み濃淡は鉄と酢の焙煎液で煮詰めたりミョウバンを使ったり、いろいろの書物で調べながら試みてくれました。美しい写真もさることながらウールを染めてフックしたラグは胸がつまるほど感動的です。手つくりの温かみばかりでなく、登志子さんのものつくりへの努力は見る人の心を突きます。アメリカで学んだ名も知らず人の作ったラフックド・ラグが、日本で日本人の心をもフックできるのを見るのはやりたいことをやれる幸運と長生きして良かったと思います。

 かつて日本のキルトがいかにアメリカと違うかを選択し、「アメリカが日本のキルトに及ぼした影響」展をアメリカで展示したとき、各新聞や多数の雑誌が書いてくれました。
 中でもある週刊誌の評に「アメリカ人の血の滲んだキルトがひとたび太平洋を渡るとアメリカ人を飛び越える。我々アメリカ人にこれから何をするべきかを教えられる展覧会である」との評がありました
。私の願いが実現していることに、そして評価されたことがとても嬉しく思いました。今私は日本で太平洋を越えて持ち帰ったアメリカンフックド・ラグ作りが日本人の心を、日本の歴史をフックしていることに感慨無量になります。フックド・ラグには写真でも絵画でも感じられない何かがあるのです。手芸の域をを超えています。

 この魅力はいったいなんだろうと考えます。まさしく自然繊維の持つ手芸を越えうる ”手にハートを” の世界だと思います。
写真家の高橋雄二さん、制作者の岡本登志子さん、日本人の心の記録をとどめてくれて有難うございます。

              

      「奇跡の一本松」   高橋雄二氏 撮影       ミキモトホールで展示したフックド・ラグ。      読売新聞2014年10月24日
                                                                                 
制作 岡本登志子 
                        
        

 

 


アミシュの美し物は昔のキルトとフックドラグです。

2014-11-16 17:43:45 | フックド・ラグ

 アミシュの戒律の一つに自分を誇示しないというのがあります。お化粧もよく見せたいという願望、人よりも美しい洋服を着たいと思うのも虚栄誇示に入ります。比較してはいけないのです。

シェーカーは極限の単純美を誇りにしましたがアミシュのプロダクトで美しいものは古いアミシュキルトとフックドラグです。だけといってもよいほどです。集まって作るキルト作りが社交と楽しみになっていました。柄のある布地やデザインは他人と比較することになりご法度でした。20世紀になってウールシャーリーという日本のメリンスのような柔らかいウール地が各色作られ世紀末から1920年後ころまでに作られたアミシュキルトは木綿よりキルティングしやすいこともあって本当に美しいものです。現在はほとんどコレクターや美術館に所有されています。また現在の柄物でビジネスとして作られたキルトはほとんどが美しいものではありません。


               アミシュ デザイン フックド・ラグ 制作 岡本登志子(見事な出来栄えです)


 アミシュはルーテル派新教再組織から分かれてスイスで生まれ、迫害でドイツに移住。キリスト教徒として共同体に忠実で、厳格な規則のある派で創始者メノン シモンズの名前を取ってメノナイトと言われ、メノナイトの一員、ヤコブ アマンは教会の純粋性を保持するために一層保守的なアミシュ派を作り宗教の自由を求めて三百年前にアメリカのペンシルバニアのランカスターに移住しました。
 農耕、牧畜、自給自足の生活をし、
新しい技術や考え方を拒否し近代文明と隔離されたシンプルな暮らしをしています。独自のバイブルの解釈から服装を決め、コミュニティで暮し、謙遜、公平、丁寧にシンプルライフを続けています。自分を引き立てる虚栄心はご法度です。庭の花も競って美しい花を植えません。虫よけのマリーゴールドがふつうです。

 男性は白シャツ、黒ズボンにズボン吊り、黒いジャケット、ジッパはないのでカギホックとボタン、冬は黒いフエルトの帽子、夏はストローハットをかぶります。女性は無地のドレスかスカート、白いブラウス、肌を見せることはしません。アクセサリ―をつけることも厳禁です。白いボンネットで髪を見せません。

 戦争にはいきません。税金を払わないので年金もいただきません。病院もなくコミュニティで病人の面倒を見るそうです。学校は16歳までに生活に必要なすべてを学びます。

数年前、アミシュの小学校に無差別に10人以上の子供に発砲し、射殺しました。犯人もすぐそこで自殺した大事件が起こりました。

そのこと以上に考えさせられたことは、犯人のお葬式に犯人の棺の後を村人たちの列が延々と続いたことでした。大きくニューヨークタイムスにその写真が出ましたが、考えさせられる忘れ得ぬページとして皆がそれぞれの心にとめた事件でした。

 

 

 


シェーカーの残すもの。手に心を。

2014-11-04 23:19:16 | フックド・ラグ

 シェーカーとは18世紀、イギリス北西部のクエーカー教の一派から独立した宗教グループで1758年, Mother Ann Lee がリーダーとなってアメリカで結成されました。
開拓時代の移民は貧困で孤児、捨て子が多く、貧困者や信者も集めてコミュニティを作り自給自足でシェーカーインダストリーを確立しました。

「手にハートを」のコンセプト、労働と心、手を動かす労働こそ神に近づくと彼女の信条を貫き、100年以上継続していました。シャーカーのドアの前には捨て子を置いていく人が多く、子供たちを教育し皆で育てました。1920年ごろには6.000人のシェーカーがいたと言われています。コミューンでは結婚が許されないので継続されず、現在は12か所にシェーカー美術館として残されています。
    

  

生命の木はいろいろのスタイルで書かれました。  ラグ制作:長嶋喜美子    1845年ごろシェーカーのワークショップで作られたもの。           フックド・ラグ制作:藤原一枝

1845年ごろ描かれたシルクスクリーンのシェーカーの生命の木は左右が均等でシェーカーの精神性を表しています。現在もHankockの美術館で購入できます。

 極端に華美を避けた単純なエレガントなスタイルでアメリカで作られた家具の中でも現在は最も高価なものです。



座り終わった椅子は壁に掛けられ、床にはものを置かないシェーカーの簡素な単純美は昔の日本家屋と共通なものがあります。

ローテックの18世紀、袋に入れた種を売り、薬草も売り出したのはアメリカで最初です。、機能的な家具、道具など、多くのパテントもとっています。

ニューヨークのフォークアート美術館で最後の生き残りのシェーカーの講義を聞きました、最初に彼女が言いました。
「私の顔は皺だらけで醜いです。見苦しいといっても構いません。しかし老人だ!とだけは言わないでください」 と。

 

 


吉川喜也子さんの湧き出るアイデアからフックド・ラグを作る。

2014-10-29 22:12:49 | フックド・ラグ

 銀座ミキモト ホールで展示中

展示中の吉川喜也子さんの原画から川上晴美さん制作のフッククド・ラグ   A4の画用紙に毎日書いている原画、莫大な量。   展示されて ”もっと書く!” と喜びの吉川喜也子さん。
ミキモト6Fにて

 

藍染作家の吉川和夫さんの母親は父親が亡くなってから自閉症になり、何もしなくなりました。その上脳梗塞におかされ後遺症に悩みました。

和夫さんの姉上様が塗り絵をあげたのがきっかけになり、ご自分で面白い絵を描き始めました。ある時和夫さんが”母の絵を見てほしいのですが…”と申しました。
「喜んで」と答え和夫さんが車に積んで大量の箱を持ってきました。中にはファイルされた数百枚の喜也子さんの絵が入っていてその量に驚きました。

絵を描くことで元気がでて毎日好きなように書いているそうです。喜也子さんの原画から川上晴美さんがラグを作りました。喜也子さんがつけた作品の名前は「踊る帽子」です。
多分喜也子さんの心が躍っているのでしょう。どの絵に
もリズムがあり、どこからアイデアがわき出るのかすべてが違う絵です。包装紙になるような楽しい絵です。

母親を会場に連れてきた吉川さんの母親は本当にうれしそうでした。顔面一杯の笑顔。その夜は嬉しくて興奮して眠れなかったとお電話があったそうです。

私も本当にうれしく思いました。”アートってなーに?”と聞いた子供の父親は”アートって人を幸せにするものだよ”と子供に答えたアメリカ人の父親の言葉を
またかみしめて思い出します。作り出す意思を持つことは何かに導かれる不思議な力があって、何処かに神様がいるのだと信じざるを得ません。

シニアの皆さんも喜也子さんのメッエージからものつくりの可能性を学びますね。一枚の絵も人々を励まし、もしかしたら永久に残ることだってあります。

残すために作るわけではありませんが人間は生きた足跡をたどることでいろいろ進化があり、学んでいきます。

1枚の絵がフックド・ラグになり、展示されることによって喜也子さんを励ますことが出来ました。”もっともっと書きます”といってくれた喜也子さんにありがとうと言えたことは企画者として、また制作した川上春美さんにとっても嬉しいことです。

嬉しいことは世の中に波及していくことを願ってやみません。展覧会は見て「見ました」「よかったです」という人が多いのですが、それは答えではありません。 何を感じたかを即答できてこそ、パブリックに展示する意味があると信じてやみません。

展示は11月11日までです。

どうぞミキモトホールでフックドラグ展をご覧ください。心が温まります。それぞれに制作した人の物語があります。ここがただの手芸ではないフックド・ラグの不思議な魅力なのです。

アメリカで学んだ草の根のヒューーマンストーリーを皆さんのラグ作りから僭越ですが発言していきたいと思っています。

展示のチャンスをくださいましたミキモトに御木本幸吉の未来を予見した伝統でしょうか、展示のチャンスをいただきましたこと感謝せずにはいられません。

後10日間の展示です。

より多くの皆さんに努力の成果を見ていただきたいと願ってやみません。