小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「一寸見・日本の不思議」

2008-01-10 17:39:13 | ニューヨーク暮らしの日々

テレビの不思議
 
長く外国に住んでいて日本に来ると日本人として気になることがあ
る。テレビのコマーシャルが、特に気になる。子供を登場させて幼稚
なものが多いのは淋しい。
演出させるのは大人だ。幼稚な宣伝が多いのはどうしたことだろう。
子供たちに失礼だ。日本のデザインは優れたものが多いはずなのに、
不思議に思う。
 
ドタバタナンセンスにゲラゲラ笑う人が多い。
タレントといわれる出演者が横の人の頭をぽこぽこ叩く。愛情の表
現なのだろうか、ふざけているのだろうか。
それを見て楽しそうに笑う人がいるのもとても不思議。

 顔についてのコメントは外国ではご法度。
イケメンも人格とは関係ない差別用語じゃないかしら。テレビで日用
語になるのはおかしくないのかしら?ニューヨークタイムスにでていた
投書で「あんたは美しい」(イケメンだ?)といわれた人が
「私の本質を見ていない。こんなコメントは男性の知性のなさを暴露
している」とのことだった。
アハハ、言われてみたいけれど・・・日本の男性諸君!気をつけてね。
また
出演者のバックに飾り物が多すぎないだろうか。お金も時間もかけ
てすっきりしない。過ぎたるは及ばざるが如し。日本には素晴らしい
ものが沢山あるのに、そこを大切にせず、国籍不明な見苦しい趣味
が多すぎるのはとても残念。簡素な美しさ、簡素な豪華さ、簡素なれ
ばこその優雅さが日本にあるのを忘れられているは淋しい。
日本が誇る世阿弥の伝統や、利休の簡素の伝統は何処へ消えうせ
たのかしら。

デカダンさえ感じる一億総グルメ
 
世界中で餓死している人、貧困に悩む人がどれくらいいるかご存知?
上等のレストランは、中年の女性ばかり、または若者たちで一杯。
お金のあるなしに関わらず、若者がグルメをむさぼるのはどこかがお
かしい社会。若者は勉学に時間とお金を投資するのが当たり前じゃ
ないかしら。私もグルメ大好き。しかしどうだろう.
 
テレビは朝から晩までグルメ番組。
グルメの社会現象は、幸福な現象に違いない。しかし飽食できる繁
栄を喜ぶ前にもう少し世界を見る眼を養おう。飽食の結末を考えてい
る人がいるのかしら。
 グルメは自分で働ける分相応に楽しめばいい。若者がグルメツアに
「いきたーい!」
と叫んでいるのはむしろグロテスクに感じるのは私だけではないと思う。

 

 

 

 

 

 


日本人の精神が宿る日本の伝統建築

2008-01-04 16:21:55 | ニューヨーク暮らしの日々

日本にて、
 
日本滞在中,最も嬉しかったことは、北鎌倉に住む友人,石黒ひで
さんに誘われて古民家建築家で、「民家移築」“合掌作りと暮らす”
(講談社)の著者、滝下嘉弘氏の家を訪ねるチャンスを得たことだっ
た。滝下氏は日本古民家保存協会長を務めている。
 この法人は、古民家の保存に関する事業を行い、古民家を建てた
時代の日本人の価値観、美意識、人との交わり、自然観など彼らの
ライフスタイルを学び世代と世界の人々に誇りをもって伝えることに
より学術、文化、芸術の発展に寄与することを目的としている。

 白川郷から60年の初めに移築したと言う養蚕業の民家を、建築
家の滝下さんの審美眼で、現代の暮らしにあったスタイルに改造し
て暮らしている。美しい暮らしの空間はそこにいるだけで感動的であ
った。
 
かつてNYの友人が日本に来て、「日本はなんと醜い家屋が沢山あ
るのでしょう!日本人は美意識が高いと信じていたけれど、醜い家
に住んでいる日本人の美意識を疑いました。しかし京都の二条城で
感動しました。あの建築には日本人の精神が宿っている」と。

 旅行好きの彼女は世界中を旅行するために夏、2ヶ月休暇を取れ
る職だけを選んでいたコンピューターサイエンティストで1980年代
に博士号をとった、私のアパートのすぐ下に住んでいた友人である。
旅行が楽しみだった彼女は癌を宣告され、ある日ジョージワシントン
ブリッジから飛び降り自殺をした。
 日本の旅行からウラジオストックに向かう日、
「さようなら。美しい日本。また来る日まで」・・・連絡船のデッキより。
の一行を死後、遺された彼女の日記から発見した。
それは彼女の最後の旅でもあった。
 
美しい日本の家屋には本当に日本人の精神が宿っている!
美しい滝下さんの合掌作りの民家で、ゲルダへの鎮魂の祈りを捧
げた。
 43年ぶりのお正月を日本で向かえ、嬉しいことが沢山あった。
美しい日本は、まだどこかに残っている。
深大寺や私の家のお寺、厄除け祖師、堀の内の妙法寺にも墓参り。
見事な松並木の皇居を一周したり、お正月に散歩が出来た事は、
ことのほか嬉しい事だった。

一分の隙間もなく草も生えぬ石垣の桜田門。美しい!

東京では浅草寺に次ぐ古い歴史を持つ深大寺。奈良時代
(天平5年)創設

江戸時代から人気を持つ名寺、杉並堀の内の妙法寺

ここにも美しい日本がある。
 

 


 


2008年の新年に思うこと

2008-01-01 10:38:27 | ニューヨーク暮らしの日々

43年ぶりの日本のお正月。
ニューヨークに住んでから今年は44年目、43年ぶりに元旦を日本
で迎えた。
日本を出る時、羽田に見送りに来た友人の息子も43歳になリ、2児
の父親になっている。月日の速さと長さに感慨を深くしている。
伝統的な日本のお正月は本当に素敵。改めて日本人でよかったと
思う。
 
ニューヨークに住んでから8代の大統領たちが入れ替わった。
ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン、ジョージ・ブッシュ、
クリントン、ジョージ・Wブッシュ。
そして今年はアメリカ生活、9代目の新しい大統領が選出される。 .

 よりよき人生、よりよき世界を望んで新年の感慨を新たにするのは
世界中、共通な願い。アメリカの新聞でみたアメリカ人の元旦の抱負、
トップ10をあげてみよう。

1)やせて健康なシェープを作るぞ!
2)予算どうりに暮らす。
3)借金を減らす。
4)家族や友人のために費やす楽しい時間を持つ。
5)ロマンスばかりでなく世界観を分かち合える精神的な友人を見つける。
6)タバコをやめる!
7)よりよい仕事を見つける。
8)何か新しいものを学びたい。
9)他人を助けるボランティアをしたい。
10)今年こそ整理整頓、暮らしをオーガナイズする。

誰でも、何処にいても、開かれる前のつぼみのように元旦を期して
希望に満ちるのは、とてもすがすがしい。
皆々様、健康でよい年でありますように。
2008年、あけましておめでとうございます。