小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「アメリカン カヴァーレット」(ウール織り物のベッド掛け)

2008-11-30 23:13:54 | ニューヨーク暮らしの日々

アメリカのベッド掛け:カヴァレット

写真上:スミソニアン博物館より




 アメリカの暮らしの詩(うた)、キルトやフックド・ラグとともに、
布地として手作りで顕著なものに、日本ではあまり知られていない
ウール織りのベッド掛け、カヴァレットがあります。
織り柄の種類も多く、アメリカで作られた最も美しい織物の一つです。
 アメリカのベッドカヴァーはアメリカ人にとって重要な暮らしの一部
です。
キルトより先にコロニアル時代から織られていたウールのカバ
レットは縦糸がコットン、横糸の織り方や織り機により様々なデザ
インがあります。
 1820年代にジャガード織が発明されてから絵画的デザインも織ら
れるようになりました。
キルトの基本的パターンもカヴァレットのデザインから影響を受けてい
ます。
すべてが手作りで、自然繊維しかなかった時代、又人口密度が少な
かった時代、カヴァレットの織り師たちは主に男性で、織り機を背負って
食、泊付で家からへと訪ね歩き、数日で織り上げたそうです。
 今でも残っているアメリカンカヴァレットは19世紀以前に作られました。
完全な状態で残っているものが多く、殆どが自然染料であるため、現
在でも美しい色彩を保ち、皺にならず、重厚な味わいがあります。
 織師の名前や年代が織り込まれたものがあり、暮らしの歴史を忍ば
せています。
 ベッドの下にはトランクやトランドルベッドと言われる引き出して使う
ベッドが置いて
あったため、ベッドの高さは今よりも高く、カヴァレット
は床まで覆う大きいサイズがあります。
 150年以上もたった今も健在な状態で市場に残っているのは、キル
トやフックド・ラグと並んで
アメリカならではの貴重なアンティックとなっ
ています。

カヴァレット参照:
http://www.bama.ua.edu/~vwimberl/ctd415/coverlets/sld034.htm

 


 


「砂浜美術館のキルト展・・・7年間の審査を終えて」

2008-11-16 19:54:25 | キルト

「砂浜には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です」
館長は鯨さん。
 ユニークなコンセプトの自然美術館の松原でキルト公募展の審査を
始めてから7年の月日がたちました。
 東京から高知県の土佐の黒潮町への往復はニューヨークへ行く時
間と同じです。単線の小さな駅を降りると何十本もある屋根付広場の
柱に子供たちがペイントした駅前広場に出ます。ウワー可愛いらしい!
「こじゃんと巧いものが」あると立ち止まります。アンパンマンの汽車
も走る高知です。「好きなようにやればええがでー」と「巧くやろうと
思わんでええがよー」と言っているかのようです。
まづここでホットして疲れを忘れます。

広がる青い海のように、長く続く砂浜のように、可憐ならっようの花
のように、何かとてもユニークなものがありそうな所です。

 子供たちの創作力と地域意識を伸ばし、将来に役立つように、
2004年に「子供たちに教えるキルト指導要項」46ページのブックレ
ットを砂浜美術館のために書きました。株式会社凸版印刷のご好意
でパワーポイントで私が書いたブックレットを沢山印刷していただき、
砂浜美術館に寄付いたしました。その結果かどうかは分かりません
が審査で感じたことはキルトの概念にとらわれないで自由に作っ
ていると思います。伝統は学ばなければなりませんが、壊す事で進
歩があり、とらわれない事で新しいものを作っていきます。
 デザインは複雑で細かければよいと言う事でもありません。
発想のユニークさが一番大切なあなたらしになります。
2008年今年の審査の結果から感じ取る事が出来るでしょうか。

潮風大賞:「休魚」 植田壽子   潮風賞:「有難う」 西村静枝

ささやき賞:「満開」 比嘉好子  ささやき賞:「秋」 埜下鈴子 

ささやき賞:「思い出」山中志津香 らっきょうの花賞:「不思議な海」
                     中村幼稚園きく組

らっきょうの花賞:「橋」宮川真理子 らっきょうの花賞:「砂浜美術館」
                      小松和恵


らっきょうの花賞:「Tシャツアート展」らっきょうの花賞「深夜の合唱団
大方高校開放講座一同       柿内由美子

*指導要項をご希望の方は砂浜美術館にお問い合わせください。
 砂浜美術館事務局〒789-1911高知県幡多郡黒潮町浮鞭3573-5
 ℡:0880-43-4915 http://sunabi.com/  e-mail:nitari@ sunabi.com

 

 


 


「フックド・ラグの特別講座12月3日、10日、17日」

2008-11-12 22:10:03 | フックド・ラグ

ニューヨークに滞在しているために帰国の折だけ新宿の朝日
カルチャーで特別講座をいたします。朝日カルチャーのチラシ
を添付いたします。

アンティック フックド・ラグ 19世紀

 アメリカン フックド・ラグ を作る
    講師 アメリカン生活文化ジャーナリスト 小林恵

 作る喜びだけでなく、手作りは人間形成にも大変役立っています。
自分の作り出したものが、誰かを幸せにし、素敵な暮らしのエッセン
スになるとしたら作って見たいと誰でもが思います。
 開拓時代ウール布のリサイクルから生まれたアメリカの伝統的クラ
フト。わずかの道具とウール布での簡単な作り方から図案の発想法
をニューヨーク在住の講師が指導します。誰でもが作れるのがアメリ
カンクラフトのよさですが、中でもラグ作りの易しさと面白さは格別です。
それは自分の好きなように作れるからです。皆でラグ作りにチャレンジ
してみませんか?
発想の仕方:応用の仕方:デザインのバラエティ:コツのコツを短期間
で教えます。
参考テキスト:本格的ラグ作りの手引書 
小林恵著
「アメリカンフックド・ラグ」(主婦と生活社) ¥2.700(クラ
スで購入可能です)

(講師紹介)小林恵(こばやし けい)
アメリカ生活文化専門。ニューヨーク在住。主な著書 「アメリカ人形」
「アメリカンキルト事典」文化出版局、「シェルバーン美術館キルトコレ
クション」学習研究社、「マンハッタンは皿の上」朝日新聞社、 「キル
トヘの招待」 PHP研究所、 「アメリカン キルト」 白水社などタ多数。
小林恵ホームページhttp:www.ny-apple.com  ブログ:「小林恵のNY
通信」
日時: 2008年12月3・10・17日 3回 水曜日 15.30~
17.30
受講料(税込) 会員11、655円 一般13,545円
当日販売 講師オリジナル図案 (1部¥1,050) ホームスパン
(アメリカ製ラグ用
品専門販売店): 鈎針 (¥850)、
芯地(¥1,000~)、アメリカ性ラグ用ウール ストライプ(¥230~
¥900)、カッター¥27.000)、ラグ専用フレーム(27,500)等。
価格の改定が入るばあがあります。
各自用意するもの: キルト用フープ、ローラーカッター、カッティング
ボード、(ウールは織り方により適切でないものもありますので、小布、
セーターなど何でもお持ちください) 定規、サインペン。
場所:新宿住友ビル4階 朝日カルチャー
*講師の病気や、受講生が一定に達しない場合などには、やむを得
 ず講座を延期または中止することがあります。

    朝日新聞の文化活動 朝日カルチャーセンター
    〒163-0204 新宿住友ビル内 私書箱22号   
    
東京都新宿区西新宿2-6-1
    Tel: 03-3344-1947(直通)インターネット接続先
       http://www.asahiculture-shinjuku.com


 

 



 


[フックド・ラグのこと知ってほしいー」

2008-11-12 18:13:40 | フックド・ラグ

キルトと並んでアメリカを代表するクラフトですよー

 ラグを辞書で引くと襤褸(ボロ)とでるの知っている?
本当にボロなの。捨てるようなボロでもこのような宝ものが出来るのよ。
これらのアンティック フックド・ラグはすべて19世紀にアメリカの女性
たちが作ったものなの。勿論輸入ラグが高価で買えない事もあったけ
れど、自然繊維(麻・ウール・コットン)しかなかった時代、繊維は貴重
で破れ
ていない部分は捨てたりしなかったのね。”自然に帰れ”と提唱
されている今、コンピューターで疲れた頭の切り替えに、これほど
あったものはないの。最初の人でもすごく巧く作る人もいますし、3枚
作れば誰でもコツを会得できるほど易しいものなの。勿論好きなサイ
ズで自分のデザインで楽しめるし、出来上がると踏むの勿体ないほ
ど愛着がでてくるのなの。

 技術は殆どなし。慣れだけ。一本の鈎針とウールと芯地があれば
アートの素養なしと決め付けている人だって、出来ちゃうの。
 キルトとはナンですか?と聞く人はもう日本にいませんよね。
同じ時代に出来たフックド・ラグを知ってほしいの。キルとを作ってい
る人、よーく聞いて!もう一つのアメリカ人が作ったアートフォームを
知ってほしいの。写真のようなデザインなら誰でも出来ると思うでしょう?

 キルトと違って靴でどんどん踏みつけてしまうので、消耗して、残
っているものは少なくなり、キルトよりもずっとお高いものなの。それ
とアメリカ人がアメリカ人の作ったものを、とても尊敬して価値を高め
ている事も事実なの。

 簡単なストライプでも無限のデザインが出来るのはキルトと同じ。
キルトを作っている黄金の腕を持つ日本のキルターたち、ぜひ一度
挑戦してみて!ベッドルームを公開しなくてもコーヒーテーブルの下
にあなたの手で作ったラグが置いてあるなんて、素敵だと思いません?

 1月6日から24日まで銀座のミキモトホールで3週間、第3回日米
フックド・ラグ展が開催されます。日米それぞれ作家26人、日本か
らは最初に挑戦した人も参加。自称不器用の山根基世作、可愛い猫ち
ゃんも参加。選外の方たちも,
挑戦しているときはとても楽しかったと。
そしてお金で買えない価値があると・・・
いいメッセージでしょう?
それぞれのラグたちがあなたに話しかけています。

入場無料です。特にキルターの皆さん、ぜひぜひ見てくださいね。も
っとアメリカン フックド・ラグのことを知りたい方は小林恵著 「アメリ
カン フックド・ラグ」を読んで下さるとラグの歴史
やアメリカの暮
らしの文化が見えてきます。
続く・・・

写真提供:「アンティック フックド・ラグ 19世紀」
Laura Fisher at Fisher Heritage: 305 East 61st Street, NYC.

http://www.ny-apple.comのなかのクリエイティブ:クラフトジャーナル
もご覧下さい。アメリカの大学生にフックド・ラグを教え、はじめて作った
人たちのレポートです。