小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「The Gates」 (12)

2005-02-24 12:39:37 | ニューヨーク暮らしの日々

セントラルパーク:クリストのアートワーク"The Gates"
(12)
  セントラルパークは劇場のようだ。陰鬱な2月、パークを飾ったゲー
トのお陰で散歩が楽しい。透通る青空、冷たい風に踊るゲートはア
ートというより単純に人々を楽しくさせてくれる。真面目なファインア
ートを見て感心したり、感動したりすることはあっても、ニコニコ笑う
人はいないだろう。ゲートの下を散歩するのは子供がハッピーなと
きスキップして歩くような楽しさだ。
 左右を眺め、振り向きながらの散歩。行き交う人々を咲いた花を眺
めるようにやさしくしてくれる。メトロポリタンの屋外彫刻展示場からパ
ークを眺める。しかし、やはり目線やシーンの変わるゲートの下を歩い
た方が楽しい。
 サフランカラーじゃない。オレンジだ。危険信号だ。安売り宣伝フラ
グだ。仏教徒のシャワーカーテンだ。などと批判も尽きない。
 クリストのスペルはキリストに似ているし、ジャンヌークロードの頭
文字はJ.C.ジーザス クライスト(イエスキリスト)と同じ。生まれた
のも二人は同じ年の同じ日。ゲートのエヴェントは信じがたい現実だ。
 今だけのこと。まるで狐に化かされているような気分にもなる。

「The Gates」 (11)

2005-02-23 14:26:39 | ニューヨーク暮らしの日々

クリストに対抗!サマビルゲート"The Somerville
Gates"

 
マサチュウセッツ州に住むハーゴーさん(Hargo)はテレビのウエス
トミンスタードッグショーを見て閃いた。早速サイトに書き、30人の友
人に送付したところ、リンクがリンクを呼び24時間以内に9,900のア
クセスがあった。www.not-rocket-science.com/gates.htm.

 笑いなしには見れないジョークサイトだ。
寄せられたたくさんのメールコメントも面白い。
「サイズが重要でないことを証明した」「平和は家から始まる」
「趣味と精神病の間にはデリケートなラインがある」
「大統領に立候補して欲しい」など。

 クリストの企画は
26年間要した。彼の企画は1日。
パークで働いた人は600人、彼は2人。クリストの展示期間は16
日、彼は掃除婦が来るまでなど。愉快なジョークに真剣にジョーク
コメント即時送るのも、アメリカらしくて愉快。
 ページをめくってみてください。
(翻訳エンジンはこれまたジョークになりますが、自動翻訳は英語が
分からないよりは役にたち、笑えます)


「The Gates」 (10)

2005-02-22 13:07:19 | ニューヨーク暮らしの日々
セントラルパーク:クリストのアートワーク"
The Gates"(10)


 数日寒い日が続く。17日にはファーストレディ,ローラ ブッシュが
ゲイトを見にパークを訪れた。夕べ降った雪でパークは真っ白。
 ゲイト開催から1週間たった。今日は既に印刷された何十種類もの
ハガキがパークの入り口で売り出され黒山の人だかり。1枚3ドル。
 はがきの写真と現実を目の前にして「信じられなーい!」とはがき
を持ち上げドイツ人が叫んでいる。毎日パークを歩く自分も本当に夢
のよう。この数日新聞に出たゲートの感想を集めてみると

「9/11以来、市民が集中しているパブリックアートに悲しみが癒され
ていることを実感している」
「機械化されたニューヨーカーの心を癒す唯一の自然地区、一日も早
く自然を楽しむところに戻して欲しい」
「日本の伏見稲荷のトリイのようだ」
「オレンジ色は美的でないし、悪趣味だとおもう」
「良い点といえば短期間であること、支払いがないこと,ニューヨー
ク市が潤っていることかな?」
「アートとも言い切れないし、美しいと感嘆するほどでもないし、市民
の感慨に多様性があるのもニューヨークらしい」
「何でこんなものを並べたてて面白いのだろう!」
「車洗浄のカーテンみたいだ」
「自然とアートを融和させるのも人間の価値だと思う」
「美しい自然をアーチストのエゴのために塗り替えるなんて横暴だと
う」
「21世紀に起こった最大のパブリックアートだと思う」
「人間の未来に希望が持てるし、アートが世界中から愛される非凡な
ものであることを啓示していると思う」
など意見はさまざま。そこが面白い。

「The Gates」 (9)

2005-02-16 15:00:45 | ニューヨーク暮らしの日々

セントラルパーク:クリストのアートワーク"
The Gates(9)
 2月13日NYタイムスにニューヨーク自然養育機関(NURTURE NEW
YORK'S NATURE INC. www.nnyn.org)とその創設メンバー、Paul
Hastingsとドイツ銀行(Deutsche Bank)から「クリストフとジャンヌ ク
ロード有難う」という特に目立つ1ページ広告がNYタイムスに出たお。
 ページの半分がドイツ銀行コレクションのクリストのミックスミデア 
コラージュ、その下に「2月27日まで16日間パークの散歩道23マイ
ルを飾るゲートは、ニューヨーカーと世界中から来た人々に記録的ス
ケールで顕著なパブリックアートを体験させてくれています。26年間
の粘り強いプランニングと情熱もつかの間の経験ですが、ニューヨー
ク市の自然環境養育に献身しているノンプロフイット組織、自然養育
機関にロイヤリティなしのライセンスを贈呈いただき感謝しています。
 自然養育機関の創設メンバー一同彼らの寛大な贈り物に感謝し
環境保護の使節として邁進いたします」
という公開お礼状の広告であった。
 開催されたパークのゲートから機関がクリエイトして販売するすべて
のクリストアイテムはこの機関のライセンスになる。
(参考サイト:www.christojeanneclaude.net)

「The Gates」 (7)

2005-02-15 11:02:27 | ニューヨーク暮らしの日々
セントラルパーク:クリストフのアートワーク
"The Gates"(7)


 12日からゲートのカーテンが下ろされた。セントラルパークウエスト
の14階に住む友人宅のテラスでテレビと同時にパークを眺める。
すごい眺め!オレンジ色のゲートのリボンがパーク中にうねっている。
7,500のゲートが23マイル続く。ヘリコプターが4台もパークの上を飛
んでいる。カウントダウンが始まり3!2!1!市長がゲートの上にた
たまれているカーテンを引っ張り16日間続くパーフォーマンスの幕が
下りた。チケットなし。ニューヨーク市の支出なし。寒い冬の経済を活
性化させる企画はこの日まで23年を要した。
 ミケランジェロのシスティーンチャペルの天井画は4年間かかったと
いわれる。アートの形は違っても「殆ど狂った企画」と相手にされず実
現に運んだガッツはすごい。
 「目的も、シンボルもメッセージもありません。アートの形なんです」と
ジャンヌクロード。「冷たい空気の下、歩いてみることです。それ以上
話すことはありません」とクリスト。
 ゲイトの下を2時間位歩いてみた。無条件に楽しい。すごい人!
みな楽しそうだ。

「The Gates」 (6)

2005-02-14 01:22:45 | ニューヨーク暮らしの日々
セントラルパーク:クリストのアートワーク
”The Gates”(6)


 写真はストローベリーパークにて:金曜日の午後、予定より早くに
作業が終わりホッとしているボランティアの人たち。
「つかれたでしょう?」と声をかけると「充実感で満足しています」
「皆でやれば大きなことが出来るのだという実感です。この経験から、
世の中をもっと大きく考えれるようになったと思います」
「1週間の経験は私の生き方まで変えていくように思います」
「アートがこれほどまでに皆を楽しませること、これは企画のアートと
もいえないか」とそれぞれが「やーやー!」と共感しながら話してくれ
た。4人ともニューヨーカーではないとのこと。

 遠くから自分の意思で集まってくるボランティアの若者たち。
行動することは本当に素晴らしいと若者たちの言葉に共感した。

「The Gates」 (5)

2005-02-10 12:40:25 | ニューヨーク暮らしの日々

 パークは昨日よりたくさんのゲイトが建てられ、セントラルパークの
起伏のバラエティに改めて感動した。
 行き交う人も”たのしね!”が挨拶になる。クリストを追って世界中
からボランティアで働く律儀なファンたちがいる。
 セントラルパークの見えるホテルルームは既にどこも予約済、メ
ニューもサフラン色のクリームソースを用意しているところもあるとか。
 市では20万ドルの増収を予想している。クリスト・アイテムはすべ
てセントラルパーク管理のために寄付される。

 今夜はモダンアート美術館でReichstagのドキュメンタリーを見た。
ビルディングを布地で覆ったアイデアから交渉が成就するまで24年
間を要した。プロジェクトの規模もさることながら、出来上がるまでの
プロセスそのものがすべてパーフォーマンス。多くのアーチストがや
るように失敗した画を破いたり、書き直したりは出来ない。緻密な技
術的プランニング、巨大な布地工場や大規模な施工、アイデアの大

 働いている人たちもマンモス作品、歴史作りに携わるっていること
に感動したに違いない。ビルディングが建造物でなくなった時、地上
の豆粒に見える群集から大歓声があがった。
同じようにドキュメンタリーが終わると劇場は拍手で沸いた。
アイデアの可能性と多くの人々のチームワークで出来上がるパブリ
ックアートに感動しながら、さわやかな気分で家まで歩いて帰ってきた。

「The Gates」 (4)

2005-02-09 12:43:53 | ニューヨーク暮らしの日々
セントラルパーク:クリストのアートワーク
”The Gates" (4)

 「これなーに?」と作業現場で4歳位の子供がパパを見上げて聞
いた。
「うーん。これはセントラルパーク中に並ぶんだよ」
「なんのために?」父親は横にいる私にウインクをして言った。
「アート作品なんだよ」
「パパ、アートってなーに?」
「みんなを楽しくさせたり、美しいと思うものを作り出すことをアートっ
ていうんだよ。きれいだろう?たのしくないか?」
と父親が説明した。
 息子はしばらく間を置いてから大きな声で飛び上がって叫んだ。
「ヤッホー!!」

 72丁目のパークの入り口ではクリストアイテムの売店が出ている。
初老のおじさんが自転車を止めてスタッフに言った。
「パークは公共のもので自然を楽しむためにわれわれが税金を払って
いるんだ。パークを個人の宣伝に使うのはけしからん。いくら自分でお
金を出したとはいえ、君たち彼の利益のために働いて誇りがもてるの
かね?」
 彼が去ってから4人の一人がつぶやいた。
「私たちには支払われているもの」と。

 何をやってもいつでも反対者は必ずいるものだ。
人間が作った造形と自然が融合したときの美しさ。
アイデアを具現化するのは人間の叡智だと私は信じている。

「The Gates」 (3)

2005-02-08 11:16:55 | ニューヨーク暮らしの日々
セントラルパーク:クリストのアートワーク
”The Gates”(3)

 2月7日、今日からいよいよゲイトの柱がパークに立てられる。
私の住んでいるところは70丁目のブロードウエイの角で、パークま
で2ブロック。摂氏13度という暖かさ。72丁目のパークの入り口に
はクリストスアイテム、本、スティッカー、マグネット、キイホルダー、
地図、キャップ、Tシャツ、などセールスデスクが既に出ている。

 ストローベリーパークを横切って作業を見に行く。ストローベリーパー
クの一部に毎年咲く雪割草のセクションがあり、真っ白い花が雪を押
しのけてけなげに咲いている。大嫌いな冬。しかし立ち止まって考え
させられた。可愛いい小さな花に教えられるものがある。

 坂を下りて作業場を観察。スチールベースの中央に柱を立てる前に、
柱の中側ににアルミニュームのサポートがついていてそれをボルトで
締め上げる。ゲイトになる柱2本、息を合わせて立てねばならない。
重労働ではないにしても肉体労働だ。女性たちが多いのに驚いた。
 開拓時代には女性も重労働だったけれど、若い女性たちが楽しそう
に働いているのを見るのは頼もしい。セクションごとに仕事の進み方が
違うのも面白い。
今日から毎日がパーフォーマンスを見るような楽しみがある。

「The gates」 (2)

2005-02-08 02:41:17 | ニューヨーク暮らしの日々

セントラルパーク:クリストのアートワーク 
”The Gates"”(2)

 クリストはベルリンの議事堂をウエディングケーキのように布地で覆
い、また並べ立てた傘などでも知名なアーチストだ。企画してから26
年目の成功。その理由はパークがほぼ修復されたこと、パブリックア
ートを理解する市長、最初の企画、柱を立てるため3万の穴を掘る事
をやめ600~800ポンド以上のベースを置き、そこに柱を立てることなど
で許可になった。
 もう一つの理由はアーチストはみなモンスターが必要といわれるが、
1981年に結婚したフランス女性、サフラン色に髪を染めているジャ
ン・クロードなしにはここまではいかないと巷の噂。

「なぜセントラルパークか?」の問いに「馬鹿な質問はやめて!結婚
したい人が誰でもいいのですか?」と逆襲。
「何のためにやるのか?」の質問には
「なんのためでもないの。アート作品なのよ」と煙に巻いている。
安全のために目印に使われているオレンジ色のビニールコーンがと
ころどころ盗まれ、そのくすねた目印コーンがイーベイに$9.99で売り
にだされたとか。
 12日から始まる最もドラマチックなデモンストレーションにニューヨ
ーカーは街にサーカスがやってくる期待と同じような楽しみでパーク
を散策している。
写真はセントラルパーク、メトロポリタン美術館の横。

「The Gates」 (1)

2005-02-06 13:11:48 | ニューヨーク暮らしの日々

セントラルパーク:クリストのアートワーク
"The Gates"(1)

 1857年セントラルパークが出来て以来一番大きいアートプロジェ
クト「ザ ゲイツ」の準備作業が始まった。
12フイート幅、サフラン色のパネルがスティールベース(全部で
5.000トンのスチール、エッフェル塔に使用した3分の2の量)の上
にアルミニュームにヴィニール加工された高さ16フイートの2本の
柱の間に下げられる。7.500本のゲイトが23マイルにわたって59
丁目から110丁目までのパーク中にたなびく。
 $20ミリオンのプロジェクトは,開催中の警戒も雪の場合除雪も含
めスポンサーなし、すべて個人の支出。ニューヨーク市はツーリスト
が増え、市に落とされる増収$80ミリオンと予測。
 レストランやホテルも期間中の予約を始めている。クリストの26年
にわたる夢の実現で2004年にはメトロポリタン美術館でプロジェク
ト予想図の展開会もしていた。
 既にゲイトの作品の売り上げだけで$600.000。45州から集まった
臨時雇用人は1,100人。1時間6ドル、一日一回の暖かい食事つき
でインターネットで集められた。医者,ロイヤー、建築家、エンジニア、
先生など前回のクリストのプロジェクトに参加した人も多いとか。
 雇用人にはクリストデザインのユニフォームが支給される。
写真はパークに並べられた、ヴィニール加工アルミニューム柱。


「人種のるつぼ」

2005-02-06 11:30:41 | ニューヨーク暮らしの日々


人種のるつぼ
 
人種のるつぼといわれているアメリカの中でもニューヨークほど
移民が混ざり合って暮らしているところはない。
特に最近は通りを歩いている人の言葉の種類が多く、何語を話し
ているか分からない場合も多い。
 世界中のパンをスーパーで買えることも、ありとあらゆるスパイ
スがあることでもその多様性を物語っている。
 ニューヨークには5つの区があり、クイーンズのある地区はバン
グラディッシュ、コロンビア、エクワドルなど10人中7人が外国生
まれとか。ユダヤ人、イタリア人などの移民は移民に提供された
アパートがチャイナタウンの東であったため昔はダウンタウンに多
く住んでいた。
 アメリカで一番大きいニューヨークのチャイナタウンは現在地区が
広がり地図が変わりつつある。何でもすごく安いのは貧乏人の移
民が多いせいだろう。自分が外国人であることを忘れさせるほどい
ろいろの人がいる。ニューヨークは常に新しいアイデアを求め、新し
い店が開店し、閉店し、或いは栄転?し街の様子が変わって行く
チャンレンジの街である。
写真は各国語の新聞。