谷中も大雪に覆われた。
お寺の塀の上10センチほど飛び出ているトバの上が雪に覆われ見えなくなった。御地蔵さんの写真を撮りに行こうと思ったのも束の間、週末まで消えてしまっていた。
谷中の路地には鉢植えの花が冬中咲いているからニューヨークとは比較にならない暖かさだ。
ニューヨークの寒さは肌を刺す寒さで、道であった友人との会話はなく 「後でお電話するわ」 といってすれ違うほど寒い。私が住めるのは緯度的にニューヨーク止り。
バーモントに住むターシャテューダーさんが冬は時間があるので、絵を描いたり人形を作ったりしてすごしませんか?とお誘いのメールをいただいた時も、即答できなかった。
ターシャさんは子供の時から18世紀のファームハウスに憬れ、息子に建ててもらった家に住んでいた。美しい花園を毎朝裸足で歩き、花々と会話し、どの花がどのくらい水が必要なのかを知る。
ロングスカートからのぞくターシャさんの裸足は驚くほど大きくてたくましい。男たちが作った纏足の女と開拓女の差だ。自然に立ち向かう開拓女は泣かない。日本の身体障害者の先生が「成功の反対語は失敗でありません。やらないということです」 この言葉をターシャさんにいうと最後まで 「私の大好きな言葉です」 とおっしゃっていた。
しかし真冬のバーモントは寒い。 「であケイ、向かいの小屋に私のかわいい山羊がいるの。一緒においしいミルクティーをいただきましょう」とバケツを渡されたらどうしよう! 18世紀の染付の盥にお風呂におはいり」とお湯をはってくれたらどうしよう!と余計な想像のおかげで、珠玉の経験を積むチャンスを失った。
雪が降ればすぐセントラルパークを散歩した。
72丁目の西側のパークにベートーベン銅像があり四季を通して挨拶をしていた。ベートーベンさんこんにちわ。スプリングソナタも好きだけれど冬のソナタはいかが?白の世界にアメリカの旗が美しい。
72丁目のテラス、自然にできたスノーモンスター。 S字状の垣根が美しい。 雪の夕暮れ、詩の世界が広がる。
信号もはっとするほどモノクロに映えて美しい。 子供たちはすぐ外に出てくる。スキーもそりを持ち出して。 住んでいたアパートの窓からの眺め。
谷中のお寺の屋根やお地蔵さんの写真を撮りに行こうとしたけれど、とてもウエットで寒いので写真を撮りに行くのは中止。亀の甲だろうか。