チャイナタウン 歴史散歩
週末にはいろいろのところでウオーキングツアがあり、ライセンス
を持つ案内人やコミュニティサービス、コロンビア大学の歴史専攻の
生徒がNYの歴史協会と契約しているオニオンツアなど地区別、
サブジェクト別にニューヨークタイムスに出る。
チャイナタウンをもっと知りたいのでDr.フイルのツアをとってみた。
何処で何時と、普通は街角で集まる。そこで待っていてもそれらしい
グループもいない。横に立って袋からムシャムシャお菓子を食べてい
る背が高く、お腹が出ている汚いおじさんが
「ツアを待っているのか?] と聞いた。
「ドクター・フイルです] と駄菓子の袋を脇に挟んで、油っぽい手をさ
しだした。参加者は私一人。
「一人じゃ悪いからやめましょうか?」というと
「今日はあなた一人なので、楽に行きましょう。1時間半15ドル」と
いって手を出し、向かいの駄菓子専門店に案内された。
何やら自分の買いたい駄菓子を物色しているようでもある。プリプリし
て 「私駄菓子興味ないの」 というと 「旨いぜ」 とぼやいた。
そして 「特に日本の駄菓子がおいしい!」 と付け加えた。
歩くのが猛烈に遅く、数ブロックを指差し、ぼそぼそと説明する。
(しってる!) (そんなのも前から知ってる!)移民がどうしてやって
きたか、ギャングが多く無法地帯であったとか(映画でみたよ!)
面白くないので巻こうかなと思っていると、
「そうだ!面白い喫茶店があるのでお茶をご馳走するよ」いよいよプ
ロくさくないなと白んでいると、150年前の喫茶店(普通は入れないと
いうより入りたくない汚いところ)常連らしくホイホイと手を上げ、お茶と
揚げ菓子を注文した。
「これ10セントだぜ。おかわりしてもいいよ。21世紀のニューヨークに
こういうところがあるんだぜ」 とリラックスしている。
周りを見渡すとみな男性。汚い皺くしゃの現金の束を握りながら、どの
机でも夢中でギャンブルをしている。「違反じゃないの?」 「まあね」
「ここにいるだけだって違反じゃないの?気持ちが悪いわ」
窓の外は通行人で一杯。「これがニューヨークなんだよ」
「そうね。連れてきてくれて有難う。とてもよい勉強になったわ。」
というとドクター・フイルは 「15ドルではちょっと味わえないぜ」と時計
を見た。
「まったくだわ。駄菓子は控えたほうがいいと思うわ。サンキュー、
グッドバイ!」
ニューヨークのチャイナタウンはアメリカ最大の大きさで,ニューヨーク
のコミュニティの中でも最も結託している強い組織だと言われている。
ポリスの巡回はまれである。
同じ東洋人でも何が起こっているか、実情を探るのは難しい。
面白い体験であった。
写真:ニューヨークのチャイナタウン、モットストリート。2007年新年