小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

吉川喜也子さんの湧き出るアイデアからフックド・ラグを作る。

2014-10-29 22:12:49 | フックド・ラグ

 銀座ミキモト ホールで展示中

展示中の吉川喜也子さんの原画から川上晴美さん制作のフッククド・ラグ   A4の画用紙に毎日書いている原画、莫大な量。   展示されて ”もっと書く!” と喜びの吉川喜也子さん。
ミキモト6Fにて

 

藍染作家の吉川和夫さんの母親は父親が亡くなってから自閉症になり、何もしなくなりました。その上脳梗塞におかされ後遺症に悩みました。

和夫さんの姉上様が塗り絵をあげたのがきっかけになり、ご自分で面白い絵を描き始めました。ある時和夫さんが”母の絵を見てほしいのですが…”と申しました。
「喜んで」と答え和夫さんが車に積んで大量の箱を持ってきました。中にはファイルされた数百枚の喜也子さんの絵が入っていてその量に驚きました。

絵を描くことで元気がでて毎日好きなように書いているそうです。喜也子さんの原画から川上晴美さんがラグを作りました。喜也子さんがつけた作品の名前は「踊る帽子」です。
多分喜也子さんの心が躍っているのでしょう。どの絵に
もリズムがあり、どこからアイデアがわき出るのかすべてが違う絵です。包装紙になるような楽しい絵です。

母親を会場に連れてきた吉川さんの母親は本当にうれしそうでした。顔面一杯の笑顔。その夜は嬉しくて興奮して眠れなかったとお電話があったそうです。

私も本当にうれしく思いました。”アートってなーに?”と聞いた子供の父親は”アートって人を幸せにするものだよ”と子供に答えたアメリカ人の父親の言葉を
またかみしめて思い出します。作り出す意思を持つことは何かに導かれる不思議な力があって、何処かに神様がいるのだと信じざるを得ません。

シニアの皆さんも喜也子さんのメッエージからものつくりの可能性を学びますね。一枚の絵も人々を励まし、もしかしたら永久に残ることだってあります。

残すために作るわけではありませんが人間は生きた足跡をたどることでいろいろ進化があり、学んでいきます。

1枚の絵がフックド・ラグになり、展示されることによって喜也子さんを励ますことが出来ました。”もっともっと書きます”といってくれた喜也子さんにありがとうと言えたことは企画者として、また制作した川上春美さんにとっても嬉しいことです。

嬉しいことは世の中に波及していくことを願ってやみません。展覧会は見て「見ました」「よかったです」という人が多いのですが、それは答えではありません。 何を感じたかを即答できてこそ、パブリックに展示する意味があると信じてやみません。

展示は11月11日までです。

どうぞミキモトホールでフックドラグ展をご覧ください。心が温まります。それぞれに制作した人の物語があります。ここがただの手芸ではないフックド・ラグの不思議な魅力なのです。

アメリカで学んだ草の根のヒューーマンストーリーを皆さんのラグ作りから僭越ですが発言していきたいと思っています。

展示のチャンスをくださいましたミキモトに御木本幸吉の未来を予見した伝統でしょうか、展示のチャンスをいただきましたこと感謝せずにはいられません。

後10日間の展示です。

より多くの皆さんに努力の成果を見ていただきたいと願ってやみません。

 

 

 


フックド・ラグ展のお知らせ:ミキモトホールにて

2014-10-15 21:35:16 | フックド・ラグ

                    
                  
 「私のエンジェル」原画渡邊良重  ラグ制作:岡本登志子

                  MIKIMOTO Cultural ExhibitionNews

                                                                    

                                かぎ針で作る暮らしのアート
                                                      フックド・ラグが奏でる、日々の喜び

                       株式会社ミキモトでは、2014年10月22日(水)~11月11日(火)まで、ミキモト本店6階ミキモトホール(銀座4丁目)にて、     
                       「かぎ針で作る暮らしのアートフックド・ラグが奏でる、日々の喜び」を開催いたします                                                     。

                       19世紀、アメリカの女性たちは自らの手で「フックド・ラグ」と呼ばれる敷物を作り、隙間風を防ぐとともに家を美しく飾りました。
                       どこにでもあった穀物袋を芯地に使い古着のウールを細く切り、芯地の下から鈎かぎ針ばりで引き上げて作るリサイクルウール
                        の「フックド・ラグ」は、ものが少なかった時代のアメリカの倹約精神や開拓精神を映し出すもので、キルトと並ぶアメリカを代表す
                        るフォークアートです。現在、普通の人々が作ったフックド・ラグが貴重な文化遺産としてメトロポリタン美術館やシェルバーン美 術
                        館などにも保存されています。

                        本展では、日米間の草の根カルチャーを紹介する活動を長年行っているライフスタイルジャーナリスト・小林恵氏の企画、指導に
                        より、伝統的なアメリカンフォークアートのデザインを始め、有元利夫氏の「夜のカーテン」や渡邉良重氏の「わたしのエンジュエル」
                        など日本を代表するアーティストのデザイン、小学生が描いた絵、「生命の樹」をテーマに制作された作品など約60点を展示いたし
                        ます。温かく、ユニークでどこか懐かしい、暮らしのアート「フックド・ラグ」をご覧ください。                                                           

                                                                                【記】

                                                日時:2014年10月22日(水)~11月11日(火)11:00~19:00
                                            場所:ミキモト中央区銀座4-5-5  Tel03-3535-4611

                          主催:株式会社ミキモト
                          協力:一般社団法人日本フックド・ラグ協会  ・トヨタ自動車株式会社
                          後援:アメリカ大使館


勇気をもらうフックド・ラグ作り

2014-10-15 19:44:28 | フックド・ラグ

 バラのポスターサイズのラグです。見る人を微笑ませる美しいバラです。制作者は大津律子さん。

 少し元気のなくなったお母さんを勇気づけるために 「私と一緒にフックド・ラグ作りをはじめませんか?お月謝は私からのプレゼントです」
と出かけるのが嫌になった藤沢に住む母親を誘い、母娘でクラスに参加したのはちょうど1年半前のことでした。

 
作っていくうちにフックされたのか、みるみる明るくなっていきました。作ったのは19世紀の針ブックの絵を参考にしました。当時縫い針は大切なものでしたので針は大切に扱い小さなブックスタイルの表紙カバーの中におさまっていました。針ブックはとても時代を感じさせる楽しいデザイン画が多く当時の暮らしの文化の一端を忍ばせるチャーミングなものです。

 このアイデアから律子さんが作ったラグは「バラ色の人生」と題名をつけると顔がバラ色に輝いたのです。本当の話です。教えるほうも作る方もハッピーになれるラグ作りとはこのことです。
バラに限らず皆さんが作ったラグをそう思ったことを確信します。娘さんの大久保史子さんはお母さんを励ます言葉のアメリカンポスターでお互いに勇気づけあいました。

「親切な言葉は蜂蜜のように心に甘く体も元気になる」 というアメリカの諺の一つです。玄関にまたは部屋にこのようなラグが敷いてあれば、家族とも訪問者とも暮らしを豊かにするメッセージを分かち合え、家もあかるくなりますね。

 

  

 

               

     縫い針袋のブックカバーです      ポスターサイズのきれいなラグに出来上がりました         大久保史子さん制作のポスターサイズのラグです。

ポスターサイズのラグ61枚が銀座ミキモトの6階ホールで10月22日~11月11日まで展示されますので、ぜひ見にいらしてくださいね。会期中無休 11時~19時まで。入場無料。