銀座ミキモト ホールで展示中
展示中の吉川喜也子さんの原画から川上晴美さん制作のフッククド・ラグ A4の画用紙に毎日書いている原画、莫大な量。 展示されて ”もっと書く!” と喜びの吉川喜也子さん。
ミキモト6Fにて
藍染作家の吉川和夫さんの母親は父親が亡くなってから自閉症になり、何もしなくなりました。その上脳梗塞におかされ後遺症に悩みました。
和夫さんの姉上様が塗り絵をあげたのがきっかけになり、ご自分で面白い絵を描き始めました。ある時和夫さんが”母の絵を見てほしいのですが…”と申しました。
「喜んで」と答え和夫さんが車に積んで大量の箱を持ってきました。中にはファイルされた数百枚の喜也子さんの絵が入っていてその量に驚きました。
絵を描くことで元気がでて毎日好きなように書いているそうです。喜也子さんの原画から川上晴美さんがラグを作りました。喜也子さんがつけた作品の名前は「踊る帽子」です。
多分喜也子さんの心が躍っているのでしょう。どの絵にもリズムがあり、どこからアイデアがわき出るのかすべてが違う絵です。包装紙になるような楽しい絵です。
母親を会場に連れてきた吉川さんの母親は本当にうれしそうでした。顔面一杯の笑顔。その夜は嬉しくて興奮して眠れなかったとお電話があったそうです。
私も本当にうれしく思いました。”アートってなーに?”と聞いた子供の父親は”アートって人を幸せにするものだよ”と子供に答えたアメリカ人の父親の言葉を
またかみしめて思い出します。作り出す意思を持つことは何かに導かれる不思議な力があって、何処かに神様がいるのだと信じざるを得ません。
シニアの皆さんも喜也子さんのメッエージからものつくりの可能性を学びますね。一枚の絵も人々を励まし、もしかしたら永久に残ることだってあります。
残すために作るわけではありませんが人間は生きた足跡をたどることでいろいろ進化があり、学んでいきます。
1枚の絵がフックド・ラグになり、展示されることによって喜也子さんを励ますことが出来ました。”もっともっと書きます”といってくれた喜也子さんにありがとうと言えたことは企画者として、また制作した川上春美さんにとっても嬉しいことです。
嬉しいことは世の中に波及していくことを願ってやみません。展覧会は見て「見ました」「よかったです」という人が多いのですが、それは答えではありません。 何を感じたかを即答できてこそ、パブリックに展示する意味があると信じてやみません。
展示は11月11日までです。
どうぞミキモトホールでフックドラグ展をご覧ください。心が温まります。それぞれに制作した人の物語があります。ここがただの手芸ではないフックド・ラグの不思議な魅力なのです。
アメリカで学んだ草の根のヒューーマンストーリーを皆さんのラグ作りから僭越ですが発言していきたいと思っています。
展示のチャンスをくださいましたミキモトに御木本幸吉の未来を予見した伝統でしょうか、展示のチャンスをいただきましたこと感謝せずにはいられません。
後10日間の展示です。
より多くの皆さんに努力の成果を見ていただきたいと願ってやみません。