ーダライ ラマが来るー
ダライ ラマがニューヨークに来ると、いつもブロードウエイ74丁目の
ビーコン シアターで講演がある。特に前日は前売り切符を買う人で
ビルディングをぐるっと取り囲むほどの行列が出来る。 向かい側に
はニューヨークでも有名なグルメマーケット、フェアウエイとチッタレラ
があり人垣が道をふさいでいて私は買い物の足を止められた。人垣
はダライラマがシアターから出てくるのを待っていたのだ。
傍にいくと僧服を着た若いモンクが 「私たちはみんな家族です。ど
うぞ」と人垣をかき分けて私を一番前に出してくれた。 ダライ ラマ
がビルディングから出た来たらしくみなが乗り出してみている。パト
カー、ポリスカーに続いて3台の黒い乗用車、その次の車に赤い僧
服を着たダライ ラマが一人後ろ席に座っていてアットいう間に通過し、
其の後ろにも2台のポリスカーがついていた。
「ダライ ラマは本当は皆に手を振って歩きたいんですよ」と若いモ
ンクが残念そうにいった。「昨日は切符が売り切れていて、ダフ屋が
出たみたいね」というと 「実は全切符を買い占めた人がいて、座席に
かかわらず、30ドルの切符が100ドルで売られ満席でした。本当に
私たちは怒っています。ダライ ラマも心から残 念だと言っていました」
ニューヨークらしい話だなーと思っていると、年輩のモンクがお盆に
載せた練り物のようなお菓子を皆さんにと持ってきた。私は結構です
と断ると「これはダライラマが祝福したチベットのお菓子でとても健康
にいいのです」というのでほんの少しだけいただいて食べてみた。
若いモンクは「お目にかかって嬉しかったです」といって手を合わせ
てお辞儀をした。お菓子は超まずかったけれども、オリエンタルを感じ
たすがすがしいひと時であった。