小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「キルトディーラーのブース」

2007-01-31 12:56:16 | キルト

アンティック ショーにて




 キルトはアメリカの宝になりました。キルトの専門店でなく、どこの
アンティック屋にもキルトが置かれてあったのは昔の話。
 マンハッタンには専門のキルト屋は数軒になり、しかもアポイントメ
ントが必要です。高価になったのでウインドーショッピングで買う人が 
いなくなり店を維持していけません。現在購入する多くの人は
インテ
リアデザイナーとか、ヨーロッパのコレクターが多いそうです。
あとはディーラーからディーラーへと、たらい回しになりその都度値段
が上がっていきます。
 歴史的に重要なものは殆ど姿を消しました。署名があったり歴史を
証明できる特別のキルトはオークションに出すチャンスが訪れるまで
コレクターのところで眠っているのでしょう。
 私の著書「アメリカン パッチワーク キルト事典」1983年
(文化出版局)
に掲載されましたキルトの写真の殆どは現在アメリカの美術館所有に
なっています。
上の写真でお分かりのようにつまれているキルトは極普通のものです。
 それでも100年から150年前に作られたものです。なぜ作ったのか。
展示のために作ったものではありません。基本的には暮らしを美しくす
るために、ベッドを飾るために作られました。ベッドルームが100年以
上も前から美しくキルトで飾られていた暮らしのスタイルをぜひ想像し
てみてください。アメリカの暮らしの文化を知る第一歩です。




「アメリカーナの世界」

2007-01-26 14:40:59 | ニューヨーク暮らしの日々

アメリカン フォーク アート


アメリカンフォークアートってどういうものなの?
 正式に訓練を受けない人たちが楽しみながら作った日常用品,絵
とか彫刻、陶器、メタルワーク、工具、衣服、などプリミティブなスタ
イルで素朴で計算されていないシンプルなものをアメリカンフォーク
アートといっています。アウトサイダーアートとも言われます。
 写真左上は箱や鉄板のローソク型やピンクッション。
 右上は子供のために作ったのでしょうか。木彫の肉やさん。  
 左下は日本で言えばわっぱのお弁当箱でしょうか。大事なものを
 入れたり、ランチボックスとしても使われた木箱。典型的古いペイン
 トの色です。
 右下は木製のつい立。カーテンを油絵で描いています。



 先週、年に一度アメリカンフォークアート美術館が主催するアンテ
ィックショーがありました。コレクターの手に入り、物が少なくなり、
高価になるばかりです。無名の人たちが作った素朴な暮らしの遊び
が、高価になるのも手つくりを評価し、創作を尊敬するアメリカ人の
おおらかさでないでしょうか。当時の暮らしの歌が聞こえてくる楽しい
もの
が多く、ものが少なくなりましたが、このショーは私の大好きな
楽しみの一つです。
 写真の子供に作って上げた遊び人形は当時の素朴な服装です。
 右上下写真は木彫りの動物たち。サイズは3~7センチぐらい。
 
 




「セール、セール、セール」

2007-01-18 06:30:53 | ニューヨーク暮らしの日々


セールSALEセールSALEセールSALEセールSALE






 私の住んでいるところから30分歩けば、どこもセール。賑わってい
る?そうでもない。ウインターセールとサマーセールが年間の2大セ
ール。その間に祝日記念セールも特別なセールもある。特に冬夏セ
ールのお金をかけないウインドーディスプレイのアイデアは面白い。
 アメリカの市価は卸価格の倍が原則で一応相場が決まっている。
あとは店の客筋と店構え、ロケーションで自由に決める。普通のとこ
ろでの70%オフは原価を割っている出血サービスだ。同じもの2つ
購入の方は1つ無料というのもある。
 やっと冬型のまじめな寒さがやってきた。セール?血がさわぐ?無
視無視!普通は素通りで急ぎ足のニューヨーカーが殆ど。寒くなると
ニューヨークの寒さは格別。マンハッタンをはさむ両方の河の風と勢
いを増すビル風で、風のあるときは実際の温度よりもはるかに寒く感
じる。
 寒いと脳も縮小し、同時にお財布をあけるまでアイデアがとどかない。
寒さは売り上げに響くほど大急ぎで家に帰るニューヨーカーだ。








 


新春の心温まる出来事

2007-01-10 00:20:32 | ニューヨーク暮らしの日々


地下鉄のスーパーマン

1月4日ハーレムでの出来事。
4歳と6歳の娘と一緒に地下鉄を待っていた父親の前でホーム
にいた青年が発作を起こし、線路に落ちてしまった。
電車が見えた。到着7秒前。
 彼は助けようとすぐ飛び降りた。電車が来た。
線路の間、枕木と枕木の間は長さ2メートル、深さ50センチ位
の窪みがある。彼は発作をおきている青年の上に飛び乗りしっかり
と抑えつけてうつ伏せになった。
電車は2センチ5ミリ頭の上を通過した。帽子に油がついただけで
二人とも助かった。
 ニューヨーク フイルム アカデミーの一年生、20歳の青年が動い
たならば二人とも轢かれていた。助けたのは50歳のアフリカン アメ
リカン、工事夫の彼はナショナル ニュースのインタビューで一躍有
名になった。
 青年の父親は「オートレイ氏は自分のことを考えず即座に行動し、
言葉もありません。彼と家族に祝福がありますように」と涙ながらに
語った。青年の学校、フイルム アカデミーの学長は5千ドルのチェッ
クを感謝のしるしに渡し、ニューヨーク市長はニューヨーク市の誇らし
い最高名誉賞であるブロンズ勲章を授与、家族のデズニーランド招
待、一年間の無料地下鉄券、ダーノルド トランプから1万ドルが即刻
贈られた。
 彼は「いいことをするといいことが起きるなァー。
しかしイラクで国のために戦う人こそ英雄です。人が困った時、助け
るのは当然です」
とすがすがしい発言。
 新年のニューヨーカーへの勇気と賞賛、善意へのすばらしいメッセ
ージとなった。

(写真は連日報道されたニューヨークタイムスの記事の数々)