フックド、ラグって、それなーに?
「恵さん、ドラッグ何とかと言うもの教えているんだって?」と聞かれたこともあり驚きました。
キルトも初めの頃、キルトってなんですかと何度聞かれたことでしょうか。日本的にキルトといってもアメリカ人には通じませんでしたが今はquiltと言えなくともアメリカ人のほうが日本語のキルトになれているほどです。
Hookedのフも日本人には易しくありませんし、Rugのラも”え?”と聞き直されることでしょう。しかし手が物言う’手にはーとを’の世界です。通じなくとも構いません。
誰も知らないものを理解していただくのは難儀なことです。「アメリカンパンチワークキルト事典」小林恵著 (文化出版局)1982年、出版以来日本には600万人のキルターがいるといわれています。
公共放送でキルトを宣伝してくれているのは世界でもユニークなことですが、女性たちに職業を開放していることは同慶の至りです。
フックド・ラグはキルトと同じようにアメリカの社会現象を起こしたほどたくさん作られましたが、キルトは結婚や贈呈用にも作られもしましたが、ラグはよそ行き用に保存されたものが少なく、消耗されてしまいました。
残っている状態の良いラグはキルトよりもぐんと高価で、何十万ドルでオークションで落札されます。キルトより個性的で絵画的に楽しむこともできる理由です。キルトのようにキチンと作らないと幾何学模様が正確に連続模様にならないというルールもありません。下手にできてもチャーミングです。
フォークアートとは専門にアートの訓練や教育を受けなかった人たちが作ったものです。アートとは何か。アメリカのお父さんが息子に教えた「人をハッピーにさせるもの」との答えはまさしく正解です。
私は教える時テキストを好きなようにあなたらしく自由に表現してくださいと渡します。全生徒の作品は全部違ったものができるのは、新しい発見で本当に楽しいことです。
長い間リーダーとして世界中の橋を作り、最後の浸水式のラグを引退してから作った唯一の男性の生徒だった私の生徒の一人は、「50年間の結婚を記念したラグと心を籠めて作った最後の船の進水式のラグを作れたことは、ことのほか私の人生の喜びでした」と。
船を作った部下の人々、男泣きに泣いた最後の進水式がラグになりアメリカの美術館でも展示されました。
2度目のアメリカでのオープニングのあいさつでこの話をすると列席者から拍手が沸き起こりました。ラグの作者がいなくなった今、ラグはいつまでも人々の心に残り、感動させてくれます。
4点とも京都からいらっしゃる平野陽子さんの最初のチェアマットの作品です。クラスのすべての人の作品提出を待っていましたが、そろいましたら是非見てください。それぞれの個性に驚くことでしょう。
* 手にハート:小林恵のラグフッキングキング谷中スクール
* お知らせ:アメリカンフックド・ラグの初級クラス募集 *
2014年1月より6月まで。毎月末1度、最後の火曜日
場所:JR&千代田線、舎人駅、西日暮駅より徒歩5分。日暮里駅より7分。
問い合わせ:keikobayashiny@gmail.com ℡・(03)6670-8019
参考書/小林恵著 「アメリカンフックド・ラグ」2002年 主婦と生活社
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