ラグに関して美術館でスピーチ
ニューヨーク、アメリカン フォークアート美術館でのラグ展に先がけ、
オープニングに美術館で新進ラグアーチストたちのレクチャーがありま
した。写真はスピーチをした人たち:右からリンダ・コーグリン(Linda
Rae Coughlin), アリス・ルッデル(AliceRudell). エミリー・ロバートソン
(Emily Robertson), リンダ F・シュミッツ(Linda F.Schmitz) と小林恵。
リンダ R.コーグリン作: ”夫が長い間どうして私のやる事がきらいな
のか”分かりませんでした。ある日、卵の上を歩くようにすれば解
決する事に気がつきました!と自分の心理を描写。
アリス・ルッデル作 ”タグボート”画家の彼女は自然描写が得意。
リンダ F.シュミッツ作:暴力を振るう父親、親子のトラウマを主題に
して作品を作り続けている。材料はすべてリサイクル化繊。
私は「私が影響を受けた2人のアメリカ人」という題でスピーチをし
ました。
その一人はアン・モフイット (Ann Moffitt)。 ニューヨークに来た年、
私は初めてのパーティですすめられたマティーニに酔い、廊下でぶつ
かったもう一人の金髪の酔っ払いと一緒に倒れてしまいました。
それ以来、彼女が3年前に亡くなるまで生涯のよき友人となりました。
メイン州にある彼女の別荘で毎年過ごし、ニューイングランドを通して
アメリカ人の暮らし方、クリエイティビティ、発明の才、創造力、オリジ
ナリティを学びました。
もう一人は私が 「アメリカ人形」 の本を出版した時、「アメリカ人でさ
え忘れている古い人形から発明の才能をよく調べて出版し、あなたの
研究している事はまさに自分のやっている国際文化交流と同じです」
と励ましのお手紙を下さった元アメリカ駐日大使、当時ハーバード大学
教授であったエドウイン O. ライシャワーさんです。アメリカに来る前に
”ニューイングランドを知らずしてアメリカを語ることは出来ません” と語
ったライシャワーさんの言葉が心に残っていたのも幸いなことでした。
感動はエネルギーを生むと言われますが、何も知らなかった私はこ
の出会いから人生が変り、アメリカで感動の日々を送れるのも幸福な
人生といえます。
アメリカンキルト事典の出版(文化出版)で歴史を含む暮らしの中のキ
ルトを日本に初めて紹介してからすでに半世紀が過ぎました。
ラグもキルトと同じくアメリカを代表するクラフトで、アメリカの生活に密
着しています。誰でも好きなように作れ、下手上手の問題でないこと、
作る事の大事さを学びます。自分を表現できるのは作った人のみが味
わえる醍醐味です。キルトもラグも自分の家を美しく、そして楽し
く暮らすために作られた暮らしの文化である事を忘れないでおきまし
ょう。
参考書:「アメリカンフックド・ラグ」 小林恵著 主婦と生活社 2002年
「アメリカンキルト事典」 小林恵著 文化出版局 1982年
「アメリカン・キルト」 小林恵著(草の根で社会を動かす針と布)
白水社 1999年